ハンドボールはなぜ「マイナー競技」なのか?
みなさんこんにちは。
体調を崩しております。というか、喉の調子がどうやら悪いようです。
大杉です。
さてさて、今日たまたまインスタを見ていたら、あるニュースを目にしました。
それは、
ハンドボール元日本代表 土井レミイ杏利選手の引退です。
実は私、高校生の間はハンドボール部に所属しておりました。
それもあり、今回のニュースにはかなり衝撃を受けました。
ちなみに試合も見に行ったことがあり、生土井選手を見ることができました。
引退試合となるプレーオフは今週の金土日にあります。
見に行く予定はなかったのですが、どうにか最終戦だけでも見に行こうかと思います。
のでジークは最終戦まで残ってください。
スター選手の引退
ところでこれを読んでくださっている皆さんに聞きたいのですが、皆さんはハンドボールを知っていますか?
聞いたことがある、なんとなく、くらいの人は多いと思います。
ですが、やったことのある人はごく少数になるのではないでしょうか。
正直、ハンドボールの知名度は他のメジャースポーツに比べるとそこまで高くありません。
そして、今回の土井選手の引退はハンドボール界にとってもかなり大きな出来事になるのではないかと思います。
彼は「ハンドボール日本代表元キャプテン」という大きな肩書きとともに、もう一つの顔を持っていました。
それは、「インフルエンサー」です。
皆さんも一度くらい耳にしたことはあるのではないでしょうか。
「レミたん」として、総フォロワー数700万人を超える超人気ティックトッカーとしても活動しています。
ハンドボールを知らない人にも広まってほしい、その思いでSNS活動も活発に行なっています。そんなハンドボールを世に広める第一人者であるレミたんの引退は、かなり大きな事態です。
未だにマイナーと呼ばれる理由
そんな有名人を有するハンドボールも、未だにマイナースポーツと呼ばれています。
なぜこのスポーツは有名になれていないのでしょうか。
その要因と思われる(私の考えも含みます。)をこれから書いていこうと思います。
メディア化の少なさ
まず一つにはこれがあると思います。
そもそも、テレビでハンドボールの試合を目にしたことがありますか?
私はオリンピックの試合しかみたことはありません。
もしかしたらしていたのかもしれませんが、それでも本当に気づかないレベルでしかしていないのです。
逆に、野球やサッカーなんかは夕方にテレビをつけたらたまたまやってた、なんてことはザラです。
だから、お茶の間でも学校でも
「昨日のハンドみた?」とか
「テレビでやってたハンドのあれ面白かったよな」とか、
そんな話をしようにもできないのです。
小学生チームの少なさ
これ調べて自分でもびっくりしたんですけど、小学生の登録チームが非常に少なかったのです。
実際に、現在日本ハンドボール協会に登録されている小学生チームは、計430チーム(2016年6月)です。
ハンドボールは中高から一気に増えるイメージがありますが、それでも小学生チームが平均1県10チームあるかどうか、というのはなかなか少ないのではないでしょうか。
比較として小学生の野球チームを出してみると、登録チーム数だけでもなんと9842チーム(2023年JSBB加盟チーム)。
減少傾向にあり、1万チームを切ったのも統計開始以来初だそうですが、それでもこの圧倒的な差。
スポーツに親しむ中で、特に幼少期〜児童期の運動経験はその先のスポーツ参加に大きな影響をもたらします。
心理的にも技能的にも運動の土台となる時期にハンドボールに触れることのできる機会が少ないのは、かなり大きな問題ではないかと思います。
スター選手の存在・知名度
先ほど話に挙げましたが、これも大きな問題です。
たとえば、
野球選手といえば誰を浮かべますか?
これは野球をしていない人でも、「大谷翔平」などすぐに名前が浮かぶのではないかと思います。
他にも、
サッカー選手といえば誰を浮かべますか?
三苫薫、本田圭佑、長友佑都など、サッカーを滅多に見ない私でもいくらか思い浮かびます。
このように、有名なスポーツは定期的にスター選手が存在し、それに伴い人気・知名度も上昇します。
ハンドボールでも宮崎大輔選手、土井レミイ杏利選手、最近では安平光佑選手など、ずば抜けた選手や優秀な選手は存在しますが、ハンドボール選手としてメディアに出るほどの絶大な知名度や影響力がそこまで得られていないのも現状です。
その裏には、当然前述したメディア化の少なさも影響しています。
「プロ」の存在
実は、ハンドボールにはまだプロリーグは存在しません。
今は実業団(会社で働きながら、試合にも出場する)でのチームは存在し、実際にそのチームでリーグ戦が行われているのがトップリーグです。
しかし、それはあくまで実業団です。
ハンドボールのみで食っていける体制がまだ日本には整っていません。
現在トップレベルのプレイヤーとされる安平選手は、現在北マケドニアのリーグでまさにプロとして活躍しています。
「プロ」という明確な選手としての到達点がないことも、ハンドボール人口の少なさに関係しているのかもしれません。
マイナースポーツからの脱却
では、どうやったらハンドボールはいわゆるメジャースポーツ化していくのでしょうか。
わかりやすいのは先ほどの項目の裏を返す、つまり
メディアの露出機会を増やす
ハンドボールチームを増やす
スター選手を生み出す
プロリーグ化する
ということですが、まあそうも簡単にはいきません。
実際、ハンドボールはプロリーグ化しようとして2022年にプロリーグ化構想が出されましたが、資金面の問題などからも未だ踏み切れていないのが現状です。
では、他に実現可能性のあるものとしてどういったものが考えられるでしょうか。
ハンドボールに触れられる環境を作る
一つはこれです。
方法はいくつかありますが、たとえば
総合型地域スポーツクラブの中にハンドボールクラブを作る
小学校教育で触れる機会を作る
ゆるスポーツなど簡単に触れられる機会を増やす
などが挙げられます。
特にゆるスポーツなどは、誰もがスポーツを楽しむきっかけになるし特別な難しさがないため、ハンドボールの入り口としてはとても有効ではないかと思います。(私がゆるスポーツをとても好きだからということもあるのですが)
他にも、ハンドボール特有の空中を飛んだシュート、相手ディフェンスとの駆け引き、体全体を駆使した投げてくるボールへのセービングなど、それぞれの楽しさを最大限味わえる設計を特に小さい世代の子には体験してもらい、魅力を知ってもらうことが必要であると感じます。
著名人、OB選手の発信
これは、これからもハンドボールに触れられる可能性を増やしていくためには必要なことです。
前述したゆるスポーツの「ハンドソープボール」も、元日本代表キャプテンの東俊介さんが制作に携わりました。
レミたんや宮崎大輔さんらも、ハンドボールを広めたいという思いで活動しています。
そういった有名、名の知れた選手が発信・普及活動を続けていくことはこれからも重要な要素の一つではないかと思います。
ハンドボールの魅力を体育で活かす
これはどこかで見たことがあったか自分で考えたかはあまり思い出せないのですが、ハンドボールは非常に色々な技術、身体操作を秘めています。
飛ぶ、投げる、走る、反応する、切り返す、捕る、周りを見るなどなど、基礎的な運動能力となる要素がたくさん詰まっているのです。
これを体育授業で積極的に取り入れていくことで、ハンドボールに親しむということだけでなく、運動能力の向上も達成することができるのではないかということです。
終わりに
ここまで色々と書きましたが、たとえば文化としてそもそもハンドボールが根付いていない、他の競技が圧倒的に人気など、ここで述べた要因以外の要素もたくさんあります。
大事なのは、ハンドボールには魅力が大いに詰まっており、誰しもがきっと楽しいと感じられる素敵なスポーツであるということです。
今回はハンドボールについて触れましたが、他にも知られていくべきマイナースポーツはたくさんあります。
誰しもが多様なスポーツに触れ、自身の好きなスポーツを選択し、生涯を通してスポーツを継続できる社会になっていけば良いなと感じます。
もっと書こうと思えば長くなりますが、今日はここまで!それではまた!
参考文献
・公益財団法人 日本ハンドボール協会
日本ハンドボール 小学生チーム数&部員数 集計
https://www.handball.or.jp/uploaded_file/content/doc/53/02_2016小学生協会登録&活動実数一覧表.pdf
・ジークスター東京 土井レミイ杏利 現役引退のお知らせ
https://www.zeekstar.tokyo/news/info/15659/
・TikTok レミたん
https://www.tiktok.com/@anriremi
・世界ゆるスポーツ協会 ハンドソープボール
https://yurusports.com/sports/handsoapball
・Full-Count 15年で5000チーム消滅の衝撃 学童野球の人気回復へ•••本当に把握するべき「実態」
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