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スポーツツーリズムの意義と可能性とは?

みなさんこんにちは。
大杉です。
やっと寒い(?)時期が始まってきたのかなと最近の天気を見て感じますが、子どもの頃はあと2,3週間もすれば雪が降り始めた気がするのでやはり暑くなってきているのだなと感じます。今日この頃です。

東京で昔どうだったのかは分かりませんが、私の地元はそのくらいでした。

さて、公表はしませんが私の地元は山奥でわりと寒い場所です。
もう半分くらいが高齢者になっているのではないかと思うくらい、道を歩けば大体高齢の方とすれ違います。
(実際高齢化率は45%を優に超えていました。)

私はスポーツが大好きで、そのきっかけは少し離れた高校に行ってはじめてハンドボールに触れた事でした。
つまり、地元にいるときはあまりスポーツに関心はなかったのです。

まあ、この高齢化率や人口の少なさを考えれば、そもそもスポーツに触れる機会が少ないのは自明のことかもしれません。


そんな中で、私はいずれ地元にもたくさんのスポーツに触れられる場所を作りたいな〜とぼんやり考えてみます。
でも、現実的に考えれば難しいのも事実です。
そもそも、スポーツの意義がその地域では薄く感じられるのではないかと思います。

じゃあどうやってスポーツが普及されていけば良いのだろう、、、
と考えた時、二つの案がパッと出てきました。

一つは、総合型地域スポーツクラブです。
これはいつか書いた記事で少し触れた気もするので、ぜひそれをご覧ください。

そしてもう一つが、スポーツツーリズムです。
パッと名前でもイメージはつくかもしれませんが、ここで事例も含めつつ少し詳しく話していこうと思います。

スポーツツーリズムとは?

大前提、スポーツツーリズムとはどういう意味の言葉なのでしょうか。

言葉の意味で捉えると、
スポーツ+ツーリズム
ですね。

スポーツはそのまま、ツーリズムは一般的には「観光」みたいな意味ですね。
厚生労働省によると、

ツーリズムは、継続して1年を超えない期間で、レジャー、ビジネス、 その他の目的で日常生活圏外の場所を訪れ、そこで滞在する人々の諸活動であって、旅行・滞在先で報酬を得ることを目的とする活動を除くものからなる

厚生労働省「ニュー・ツーリズム研究」より引用

だそうです。まあほぼ観光の一言で済ませられそうですね。

では、「スポーツツーリズム」と括ったときにはどのような意味になるでしょうか。
観光庁によると、

スポーツの参加や観戦を目的とした地域の訪問や、地域資源とスポーツを掛け合わせた観光を楽しむスポーツツーリズムの推進を通じ…

国土交通省 観光庁より引用

という感じだそうです。


基本的には言葉通りの意味ですが、大きく2つの軸がありそうです。
ここからは、その2軸

  1. スポーツの参加や観戦を目的とした観光

  2. 地域資源とスポーツを掛け合わせた観光

についてそれぞれ深掘りしてみていきながら、その意義についても触れたいと思います。

スポーツツーリズムの意義

そもそも、スポーツツーリズムにはどんな意義があるのでしょうか。

簡単に挙げると以下の通りです。

  1. 地域の経済効果の高まり

  2. 交流人口の増加

  3. 観光資源の顕在化

  4. 観光力の向上

私が個人的にかなり面白いと思うのが、
3.観光資源の顕在化 です。
それも含めてこれから書いていく2つの軸を詳しく説明したいと思います。


1.スポーツの参加や観戦を目的とした観光

まず一つ目の参加や観戦を目的とした観光では、特定の地域、特定の会場で行われるスポーツや大会に参加、観戦をする人を誘致する活動がメインになっています。

分かりやすい例が、ラグビーワールドカップです。
世界中のラグビーファンが日本に集結して、結果として6000億円以上の経済効果があったそうです。
その理由として、ただスポーツを見にきただけではなく、長い滞在期間の中で日本の観光を楽しみ、様々な地方を訪れたからでもあります。
これは「日本」という地域のスポーツツーリズムの一例であると言えます。

他にもBMX,スケートボードのようないわゆる「アーバンスポーツ」も若者を呼び込むスポーツツーリズムとして全国各地で行われています。
有名な例としては埼玉のさいたまスポーツコミッションや茨城県のムラサキパークかさまなどがあります。
ただ熟練者が行くだけではなく、初心者向けの講習会やプロ選手による体験会があるなど、気軽に行きやすい場になっています。

これは、先ほど挙げた意義の中で言うと特に

  1. 地域の経済効果の高まり

  2. 交流人口の増加

に当てはまるのではないかと思います。
遠方から来た方などは、ここで宿泊したり翌日に観光したりと、地域の経済効果の向上に寄与しているといえます。


2.地域資源とスポーツを掛け合わせた観光

ここからが面白いところ(個人的に)です。

地域資源とは、例えば豊かな自然や名産品のように、その地域の魅力とも言えるもののことです。

それとスポーツを掛け合わせるとはどういうことなのでしょうか。

有名な例を挙げると、徳島県三好市の「ラフティング」と「ウェイクボード」があります。

こちらはスポーツ庁より引用した動画になります。
三好市には吉野川という自然が豊かな河川が流れています。
この吉野川が、ラフティングとウェイクボードの二つに非常に適した環境となっているのだそうで、上流は流れが激しくラフティングに、下流は波が静かでウェイクボードに最適だそう。

この環境を利用し、ラフティングやウェイクボードの大会や体験を行うことで、たくさんの人が訪れるようになりました。
そして、2017年に国内初の「ラフティング世界選手権」、2018年にアジア初の「ウェイクボード世界選手権」が開催されるほどになりました。

ここでさらに驚くべきことは、徳島県三好市は人口が3万人にも満たない都会とは言えない地域であることです。
地域資源を有効に活用し、スポーツをきっかけに観光客を多数誘致することのできたスポーツツーリズムの大成功した事例の一つと言えるでしょう。


これは、先ほど挙げた意義のうちの

3.観光資源の顕在化
4.観光力の向上

に特に当てはまるかと思います。


他にも、私の好きな「ゆるスポーツ」は、最近「ご当地ゆるスポーツアワード」という大会を開催しています。
これは、ご当地の名産品や文化を活かしたゆるスポーツを考案する大会です。

ここで考案された競技によって少しでも地域に関心を持ってくれて、そして足を運ぶようなことがあれば、それもスポーツツーリズムと言えるのではないかと思います。
ちなみにご当地ゆるスポーツは応募中です(2024.10.30現在)ので、ぜひ応募してください。


スポーツツーリズムのこれから

スポーツツーリズムには、スポーツに関心を持った方が訪れる観光的な意義があることはもちろん、山口ら(2013)によると、地域への愛着が強くなることもわかっています。

最近では、「武道ツーリズム」というスポーツ庁の推進する取り組みもあります。

日本といえば武道、と考える人も多いのではないかと思います。
何かしらの武道にルーツのある地域で、武道の体験会など様々なプログラムを実施しているものです。

それぞれの地域には、その場所特有の魅力が何かしらあります。
私の地元もかなりの過疎地域ですが、思いつくだけでもたくさんの魅力・特産品があります。

地域の新たなまちづくり、地方創生の一手としても、スポーツツーリズムはこれから重視される取り組みになると思います。
また、生涯スポーツの観点からも、街に一つ特有のスポーツがあるだけで意欲も変わります。
これから、さらなるスポーツツーリズムの発展、進化が行われることを願い、そして私自身も地域のスポーツの位置付け、発展についてもっと勉強しようと思います。

今日はこの辺りで終わります。
ありがとうございました!!!


参考文献

・国土交通省 観光庁 スポーツツーリズムの推進
https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/inbound_kaifuku/chihoyukyaku/sports-tourism.html
最終閲覧:2024.10.30 14:03 更新:2024.3.22

・スポーツ庁 スポーツツーリズム受容拡大プロモーション事業
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop09/jsa_00048.html

・TOMARO+ Media スポーツを観戦・参加しながら旅行?日本のスポーツツーリズム事例を紹介!
https://www.palacelink.co.jp/media/archives/357
最終閲覧:2024.10.30 14:05 更新:2022.1.21

・Mywells スポーツツーリズム
https://kenkokeiei.mynavi.jp/step/sports-tourism#
最終閲覧:2024.10.30 14:06

・スポーツ庁web広報マガジン DEPORTARE 人口3万人に満たない地域が「アウトドアスポーツ」の聖地に!〜自然資源を生かした徳島県三好市のスポーツツーリズム〜
https://sports.go.jp/movie/report/3.html
最終閲覧:2024.10.30 14:07 更新:2018.10.3

・世界ゆるスポーツ協会 地域の魅力を発信するゆるスポーツを大募集! 「第4回ご当地ゆるスポーツアワード」開催決定!
https://yurusports.com/archives/15472
最終閲覧:2024.10.30 14:09 更新:2024.10.15

・地方創生に向けたスポーツツーリズムの推進状況:スポーツコミッションによる交流人口増加策に着手した矢板市の事例
石川 智, 斉藤 麗, 関根 正敏, 小山 さなえ
体育・スポーツ経営学研究 2023年36巻 p,15-34

・スポーツツーリズムを通じたまちづくりに関する研究 ―スポーツツーリストが来訪する地域における 住民のスポーツ活動の視点から―
秋吉遼子, 山口泰雄,  朴 永炅, 稲葉慎太郎
SSFスポーツ制作研究 第2巻1号 p.144-151  2013


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