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一枚の自分史:ルーツをたどる旅

二〇一七年六十七歳の秋、映画「君の名は」が若い人を中心に話題となり大ヒットしていた。映画とリンクするような光景がそこにありました。福井県勝山市薬師神谷の白山神社、父の郷の村の鎮守さんです。

その秋の始まり、奈良の室生龍穴神社に立ったとき、衝撃をうけるような既視感に襲われた。道路から神社に上がるところから、記憶の中の父母の郷の白山神社の造りと酷似していたのです。

一説には、室生にも 白山信仰の流れはルーツとしてあるかもしれないということでした。そのことを話したら、この龍穴神社へと誘ってくれた点描曼荼羅作者のアーシャが、彼女の祖先のルーツが、 奇しくも私のルーツと同じ一帯にあるらしい。 尋ねたいということになり、ちょうど自分史活用アドバイザーになったところでいいチャンスとばかり喜んで、二人のルーツを辿る旅をご案内をすることになった。  

アーシャと丸岡町の役所に行き、ルーツを辿りに来た旨を伝え、遡れる最大までの戸籍謄本を出してもらった。そこで多くの発見をして、そのあと、ルーツの郷の情報を「千古の家」を訪問して得ることができた。いずれ、限界集落になるだろう郷にまだその家は建っていた。持ち主不在となるのは時間の問題だった。

この一帯には白山神社が多く散在している。最後に、子どもの頃の記憶を辿って薬師神谷の白山神社を訪ねた。ここはまるでジブリの世界だった。

父が赤ちゃんのとき神隠しにあったという話がある。村中で大騒ぎになった。どこを探してもいなかったが、やがて、この神社の切り株で泣いているのが発見されたというのである。

ほんまなの?というのはさて置いて、ますますジブリの世界、そして「君の名は」の世界だと思った。

そのあと、母の郷も訪ねたのですが、この旅は 八十八歳の叔母にお別れを言う旅にもなりました。その冬に大雪の中で逝ってしまったのです。

夕陽がりんりんと落ちていく。「君の名は」の映画のごとく時空を旅する時間でした。

不思議な偶然が重なっての旅でした。必然だったのか、何かの計らいだったのか。今、私は、父の戦争の物語を書いています。


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