「収集癖」のない店主
紫陽花が綺麗ですね。
写真をたくさん撮って、まとめてアップしようと思っていたのですが、なんだかそのために写真を集めているみたいに思えてきたので、ちょっと一休みしています。
ところで、この店主。
全くと言っていいほど「収集癖」がない。
BAR の店主、ましてやこうして音楽なんぞも少々掛けている店なのだから、
「秘蔵の一本」「秘蔵の一枚」くらいあっても良さそうなものなのだが、
ご期待に添えず申し訳ないが、
ありません。
お酒に関しては、もう、「在庫は酒屋に任せておけばいい」くらいの気持ちで、無くなったら補充する、買い溜めは一切しない、という方針でいる。都心の店舗の特権なのかもしれないが、選りすぐりの銘酒を在庫している酒屋は、すぐ近くに、いくらでもあるのである。酒棚には店のキャパシティに相応しい数しか置かない。
音楽に関しても、うちの CD棚はだいたい400〜500枚程度入るのだが、聴かなくなったものは、どんどん中古屋さんへ売りに行って、随時入れ替えを行っている。収蔵はしない。開店してこれまでで、4〜5回くらい入れ替わっただろうか。売りに行くと中古屋さんの店主に「また渋いのばっかり持って来て・・。」と言われるが、多分「売れないものばっかり持って来て・・。」という意味だと思う。
いずれににせよ、とにかく、「収蔵」よりも「回転」を意識している事は間違いない。
これは、性格からきているのだと思うが、使わないもの、売れないものが、埃をかぶって場所を占領しているのが、どうにも我慢がならない。使いたいもの、売りたいものが、それを他所へ退かさなければ取り出せないようでは、元も子もないではないか。
以前、とんかつの「いもや」という名店が神保町にあったのだが(一昨年閉店)、その店内、特にカウンターの中を除くと(というより丸見えなのだが)、潔いくらいに「何も無い」のである。かつ、キャベツ、パン粉、味噌汁、飯、それだけ。ついでに愛想も無い(笑。実に清々しい。棚卸など2分で終わりそうなものである。
同じく、神保町に「甲子屋酒店」という日本酒の専門店があるのだが、こちらも数はさほど多くないのかもしれないが、いつ行っても新鮮な酒、新しい入荷のものを売ってくれる。埃をかぶっているものなどひとつもない。とにかく「ハケ」がいいのである。
これらの店は、僕の理想とするところである。
BARには「お酒」も「音楽」も、コレクター的に収集されるお店の方もおられて、それはそれで尊いことだと思うし、そこに夢やロマンを感じるファンがおられることは重々分かる。
が、どうにも僕にはそれは性に合わないようである。
理由は、やはり店といえども生き物と一緒で、「新陳代謝」が行われていないといけないような気がしてるからである。
「水」も「音」も流れてなんぼ。 留まれば濁る。
「ねえ、珍しい一本とか、隠し持ってるんでしょ。」
とか、
「これぞ!!、っていう一枚掛けてよ。」
なんて言われることもあるが、
申し訳ないが、ないものはないのである。
そんな店主の気質を反映してか、お客さんに関しても、それは同様である。
少しづつ、少しづつ、入れ替わって行く。
「新陳代謝」が行われているようである。
いや、こちらがされているのか。
この「note」をご覧になられた方が、新しいお客さんになられますように・・。
神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。
いえ、「秘蔵のお客さん」になって頂いてもいいんですよ(笑。
お待ちしております。
Hideaway / softy & Mondo Loops
Lofi Records
2021
(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)