敏感な耳/グスタフ・ファルケ
敏感な耳
君は一人だった。
僕は鍵穴から
遅い時刻のランプの
くすんだ光をまだ見ていた。
どうして僕は立っているだけで中に入らなかったのか?
それでも燃えこがれ、
それでももう一度君の額をなで、
優しく囁かなければならなかったのは
僕だった、「どれほど君を愛していることか!」と。
昔からの邪悪な不安感が、
君に僕の心のすべてを見せて、
僕を次々と苦しませる。
今僕は長い夜の間じゅう寝転がって
沈黙の中で耳をすましている、
もしかして白い頭がまだ起きているのではないかと。
かつて僕は密かに笑った。
何をまだ心配しているのか!
でも彼女は知っている。
彼女は本当に耳が敏感だ。
君の心臓の鼓動なら、
たとえ唇が黙っていたとしても、
かすかな音をも聞き逃さない。
Gustav Falke: „Die feine Falke“, Hrsg. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.], Deutsche Gedichte für die Hauptschule, Frankfurt a. M.: Diesterweg,1966, S.43-44