【詩の翻訳】時代の風景/ゴットフリート・ケラー
時代の風景
深い谷間に微光を放つ鉄道があり、
橋が谷とレールを
はるばると越えていく、それぞれの柱が一つの塔で、
人工の冠を戴いて空中にそびえ立ち、
雲に向かって広い弧を支えている。
古代ローマのもののようだが、新しくて輝いており、
森に覆われた山々を結びつけている。
橋の上には車が走っていない、
というのも水晶のような水が上の方で流れているからで、
その清らな流れを船乗りたちは讃えるのだ。
下の鉄の谷底では
車の長い列がうなりを上げて通り抜ける、
幾百の落ち着かぬ心臓を携えて、
きっちりと北から南へ、鳥の速さで。
その上の方では小魚が波を切って泳いでいる。
ゆっくりと、白い帆を持つ白鳥のように、
華麗に青い天空の奥底の
上の方を一艘の船が東から西へと走る。
安らぎに満たされて船乗りは舵にもたれかかる。
素敵な冒険じゃないか?
Gottfried Keller: „Zeitlandschaft“, In: „Deutsche Gedichte für die Hauptschule”, Hrsg. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.], Frankfurt a. M.: Diesterweg 1966, S.80-81.
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