【詩の翻訳】あらゆる風のなかにある街/ゲオルク・ブリッティング
あらゆる風のなかにある街
あらゆる方向から風が滑りこむ
窓と扉を至福に満ちて開け放している街の中へ。
朝の風は森と草原の香りを運んできたのか、
昼の風は成熟した野原の暑さで鋼鉄のように響いたのか、
夕の風は月のかがり火と星のように青い布を揺らしたのか。
いつもあらゆる男たち、あらゆる娘たちと女たちが帆のように斜めにかしいで街をゆく
というのも雲と森の息吹が彼らの上で銀の弦のように鳴るからだ。
Georg Britting: Die Stadt in allen Winden. In: Gedichte des Expressionismus. Hrsg. von Dietrich Bode. Stuttgart: Philipp Reclam jun. 1991, S.217