【詩の翻訳】田舎を走る車の中で/エーリヒ・ケストナー
田舎を走る車の中で
とびきりすてきな日には
空が言ってみれば
青い磁器でできてるみたいだ。
絹雲は
白い、柔らかにインクで描いたしるしに似ていて、
僕らはまるで雲が皿に乗っているのを見ているかのよう。
全世界が浮き上がるのを感じ、
嬉しそうに斜め上の方へとまばたきして、
自然を讃えている。
父は大胆にも率直にこう叫ぶ、
「素晴らしい上天気じゃないか!」
(やれやれ、父は気持ちよく大げさなことを言ってるだけなんだ。)
そして父は完璧に車を走らせる、
丘を越え、谷を抜けて。
パウラおばさんは気分が悪くなってしまった。
でも他の親戚たちは
夢中で景色を見ている。
景色にとってはそれがいいんだ。
頭の周りにはそよ風が吹いている、
日の当たった空気と草原から、
たっぷりのガソリンの間を割って。
テーオバルトおじさんは、
自分が見たものすべてを教えてくる。
報告がなくても見えるのにね。
力の限り歌にいそしみ、
リズムに乗って動き続けながら、
人々は地区を抜けて流れていく。
もっと速く車は走っていく。
そして僕らは父がこう言うのを聞く。
「森ばっかりでビールはないね。」
しかしついに父の追求は功を奏した。
父はビールをもらった。僕たちはケーキをもらった。
そして車は休んでいる。
おばさんは容器の文句を言っている。
そしてだんだん寒くなる。
それで僕たちは家へと車を走らせた。
Erich Kästner: „Im Auto über Land“, In: „Deutsche Gedichte für die Hauptschule”, Hrsg. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.], Frankfurt a. M.: Diesterweg 1966, S.85-86.