【詩の翻訳】荒野じゅう/テオドール・シュトルム
荒野じゅう
荒野じゅうに私の足音がこだまする。
それは大地から虚ろに響いてついてくる。
秋がきた、春は遠い——
かつて至福の時があったのだろうか?
立ちのぼる霧があたり一面にさまよい出る。
草は白く、天はなんとも空虚だ。
ここに五月に来てさえいなければ!
生と愛——それがいかに飛び去ってしまったことか!
Theodor Storm: „Über die Heide“, Hrgb. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.], Deutsche Gedichte für die Hauptschule, Frankfurt a. M.: Diesterweg,1966, S.23
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