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【ウェビナーレポート】札幌市の事例から見る、デジタル時代の市民参加の可能性


こんにちは。都市デザインとまちづくりDXに取り組むGroove Designsです。今回は、7月29日(月)に開催した札幌市との共同開催による特別オンラインセミナーの様子をレポートします!

さっぽろ連携中枢都市圏内12自治体とスタートアップの協働により、地域・行政課題の解決を目指す「Local Innovation Challenge HOKKAIDO」へ当社が採択され、札幌市と実証事業として取り組んだ内容について、当社と札幌市それぞれの担当者より共有を行いました!

■ 登壇者プロフィール

  1. 札幌市 まちづくり政策局 政策企画部 廣瀬 允也 氏

  2. 札幌市 まちづくり政策局 政策企画部 阿部 勇士 氏

  3. Groove Designs 取締役 東 宏一

「my groove」はどんなサービス?

最初に、Groove Designs 東より、my grooveについてご紹介しました。

Groove Designsが開発・提供する「my groove」は、若い世代や多様な人々のまちとの接点を生み、参加につなげ、「動き出せば、まちは変わる」と感じる人を増やすエンゲージメントプラットフォームです。

「地域のことに関わりたいけどどうしたら良いか分からない」
「もっと若い人や多様な人に地域へ関わって欲しいけど、方法がわからない」
など、まちづくりに参加する側・参加を促したい側の双方の課題を解決し、人とまちの関わりを強めるためのサービスです。

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my grooveで双方向的なまちづくりを実現!

my grooveを導入いただく際、単にツールを提供するだけではありません。
地域の皆さんが抱える課題をともに考え、目指すまちの姿や事業の目的を達成するために、私たちが持つオリジナルのフォーマットを活用しながら一緒に整理をしていきます。
それを踏まえ、リアルとデジタルを結び付け、行き来するmy grooveの活用方法を当社で企画・サポートし、目的達成に向けてともに動いていきます。

プロジェクト全体での取り組みの流れ

札幌市宮の沢地区でのmy groove活用方法は?

続いて、札幌市阿部さんより、札幌市におけるウォーカブルなまちづくりの現状と、今回宮の沢で行った具体的な取り組み内容についてご紹介いただきました。

令和4年度に策定された札幌市の長期総合計画である「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン」の重要施策として、「ウォーカブルシティの推進」があります。

札幌市は令和7年度末に「(仮称)ウォーカブルビジョン」を策定する予定であり、都心部から続く地下鉄の終点駅である「宮の沢」をウォーカブルのモデル地区として取組みを行っており、その施策の中でデジタルプラットフォーム「my groove」の活用を行いました。

my groove プロジェクトページ画面

宮の沢地区には豊富なオープンスペースや白い恋人パーク等の観光資源があるものの、駅周辺との回遊性に課題があり地域の特長をうまく活かしきれていない課題がありました。

その中で昨年度は”居心地がよく歩きたくなる宮の沢”をテーマに、リアルのワークショップとデジタルプラットフォームを組み合わせて未来ビジョンの作成に取組みました。

my grooveを活用してみてわかった、デジタルプラットフォーム利用のメリットは?

1.プロジェクトマップの公開で、取組みの進行がスムーズに!

導入前は取組み自体の見通しが可視化しにくかったり、住民の皆さんへ”何のためにワークショップを行うか”の共有が難しいなどの課題がありましたが、プロジェクトマップとして全体の流れを公開しておくことで、皆さんの理解度が深まり参加意欲が向上していたと感じます。

my groove サイト内のプロジェクトマップ

2.事前に情報共有・意見募集を実施し、ワークショップの議論やリアルなイベントがより活性化!

今回はワークショップの開催前からmy grooveを活用しました。
地域で活動してる方のインタビュー記事を公開したり、宮の沢エリアにある場としてもっと活用してみたい場所の意見を募集したりと、ワークショップ開催時点で既に認知があったことから、具体的かつ前向きな意見が多く集めることができたと思います。
また、コメントへの「いいね」で皆さんの反応も見れたことからより深い議論ができたと思います。

ワークショップの様子

Groove Designsさんからは、まち歩きのイベントでもサイトにコメントを書き込みながらイベントに参加していただいたりと、リアルな場と連携しながら進行することでより具体的かつ参考になるアイディアを沢山いただきました。

3.地域キープレイヤーを巻き込み、地域内で取組みのシェアを拡大!

最も良かった施策だと思っている点ですが、地域の3つの団体にインタビューを実施させていただき、その活動を発信する記事を作成しました。
日頃から地域のことを考えている皆さんからは学ことも大変多かったですし、ご自身の活動を発信することで取組みのシェアも広がり、認知→興味関心→理解→参加の4ステップの仕掛けを上手く作り出すことができたと思います。

my groove サイト内のインタビュー記事

リアルのワークショップとデジタルプラットフォームを組み合わせた新しい取組みと、その結果

最後に、札幌市廣瀬さんより、デジタルプラットフォームの活用で前述のメリットに加え、定量的にどんな結果となったのか、市のこれまでの施策であるワークショップと比較した結果について共有いただきました!

取組み実施前の定量的な課題は?

継続的な意見交換の方法としてワークショップがありますが、ワークショップを実施する上での課題として大きく以下の3点がありました。

  • 若年層の参加が少なく、参加者が限定的

  • 女性の参加が少ない

  • 継続的な参加が少ない

このような課題について考える中で、時間的・実施場所の制約や、リアルな場に参加する心理的なハードルがあるのではないかと仮定し、デジタルプラットフォームの活用がワークショップの代替・補完となりうるのか検証したいと考えました。

【結果①】 時間と場所の制約を取り除き、若年層の参加を促進

全ての意見募集を終えた結果、今回の意見募集への参加者の年齢内訳は20~40代が約76%を占めているという結果になりました。

絶対値としても参加率が大きくなっているだけでなく、過去実施したオフラインの場でのイベントで集計したデータと比較しても、若年層の参加率が向上していることがわかりました。

【結果②】今後の取組み方針や計画の解像度がUP

若年層の参加の一方で、デジタルを活用することで時間や場所の制約を取り除くことで参加の敷居は下げられるものの、定量的な数値として結果を出していくためには、そもそも参加したくなるようなコンテンツが必要という新たな気づきを得ることができました。

実際にデジタルプラットフォーム運用に取組んで初めて分かった改善ポイントがいくつかあったので、今後の取組み内容検討の参考になりました。

ディスカッション

各発表後は参加者の皆さんから事前、途中でいただいた質問をもとに、ディスカッションを行いました。

事前にいただいた質問

参考まで、一部の質問について札幌市のお二人からいただいた意見を紹介します!

デジタルプラットフォームの運用方法はどう作ってきたのか?
・当初考えていたよりも倍くらい時間をかけて、Groove Designsからアドバイスをもらいながら、目的など意識して運用方法を作ってきた。

デジタルプラットフォームの仕組みを、どう役所の中で展開するのか?
・my grooveへ関係部署の人にも実際に登録してもらい、リアルな使用感を把握してもらった。実際に使ってみてもらうということが大事だと思う。

my grooveの使用感はどうだった?
・SNSに近いような使用感で簡単に使えたのは良かった!マニュアルなどもあり操作は覚えやすかった。
・普段のワークショップに比べて参加者は多くなったという結果だった。そこまで多くない人たちに対して、特に、しっかり双方向的に温度感を高めていくというところにmy grooveは寄与しそう。一方で、一方向での情報収集のような大量にアンケートを何千何万も集めるというのは、他のやり方・ツールでも良いのではないか。

デジタル上での、双方向的な意見交換はどうできそうか?
・初期段階ではしっかりまず参加してもらうということは重要。場が温まってきたところでデジタル上でも双方向の意見交換を促すというのが重要ではないか。

他の質疑については、ぜひ動画もご覧いただければと思います!(動画の32分40秒ごろからディスカッションパートです)


最後に、今日のテーマを踏まえて、デジタルプラットフォームの意味やより活かすために必要なポイントについて、札幌市のお二人から所感を伺いました。

廣瀬さん:
リアルな場に行くのはハードルはあるけど、デジタルの場で意見だけでも言っておこうか、という方へ入り口をつくることにはつながったと思いまし、それが今回大きな成果だったと思います。

その上で、どう実際の活動に参加してもらうかですが、一回のやり取りで終わってしまうのではなく、双方向でコミュニケーションを取ることが重要で、そのためにもコンテンツを継続的につくっていきながら、参加のステップアップを促すことが重要なのかなと思いました。


阿部さん:
市民の皆さんも時間が限られている中で、普段の暮らしと行政の取り組みにどう接点をつくるか、お互いWIN-WINの関係になった上で、そこにデジタルプラットフォームをどう活かすか、ということが大事だと思っています。

実際、そこがうまくいっている方は、継続して取り組みへ参加してくださっています。

ちなみに、昨年度バルセロナに出張し、Decidimの取り組みなども話を聞きました。デジタルプラットフォームは良いものだが、デジタルがあることでリアルとの役割分担をより意識することが重要だという話を聞きました。

また、行政側として市民の声を聴きたいという姿勢を示すことが重要で、意見だけを聴くとか、聴いただけで終わりにせず、市民との関係性を意識すべきではないか、ということについても話を聞きました。

個人的な意見、感想になりますが、そういう市民が声を上げ、実際の取り組みに反映されていくという関係性が生まれていることは素敵だなと感じました。


【 本編動画はこちら 】


まとめ


札幌市のお二人から最後にいただいたコメントにもあるように、my grooveでは、行政と市民の間の関係性をつくっていく(エンゲージメント)、ということを重視しています。そのために必要なのが、双方向性をつくること、継続的な参加機会をつくること、お互いにWIN-WINになること、だと考えています。

これらをデジタルの場だけでは実現することは難しいため、リアルな場との連動もしながら、取り組みを進めていくことが重要だと考えています。

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