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湯たんぽはいらない。オルガンがあるから|極私的プレイリスト

寒いですね。
寒い日にはオルガンですよ(独断)。

オルガンの音に、みなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか。

荘厳な教会音楽、大バッハの諸作品、Jimmy McGriffさんやJimmy Smithさんたちが開拓してきたソウル・ジャズなどなど。
特に1934年生まれのハモンド・オルガンは、さまざまなシーンでグルーヴを生み出す源泉として活躍してきました。

私も人並みに幼稚園というものに通っていた時期があります。
はじめてオルガンの音色を聴いたのはあのころだったでしょう。
「かえるの歌」や「きらきら星」を歌う天使のように無垢な我々をリードしたのは、エリコ先生のオルガンでした。
エリコ先生お元気でしょうか。

長じて私は、ブルーズやソウルなどという悪魔の音楽に耽溺するダメ人間になりましたが、オルガンは、その時々に私の胸を掻きむしったり、暖かく包んだり、狂ったように踊らせたりしてくれました。

そんな魅力をご紹介したくて、寒い季節に身も心も熱くしてくれるソウルに溢れたオルガン曲を集めました。


♪ "Move On Up" by Delvon Lamarr Organ Trio (2018)

私がオルガンを再発見したきっかけのひとり、Delvon Lamarrさんは音楽的恩人と言っても過言ではありません。
個人的には現代最高のオルガニスト。
その滑らかな指使い・スマートなフレーズづくり・湧きあがる熱さで、Curtis Mayfieldさんのあの曲がさらにグルーヴィーに。


♪ "Gimme Some Lovin'" by Steve Winwood (2020)

動画公開当時、コロナに負けずお元気なWinwoodさんを見られて嬉しかったことを憶えています。
The Spencer Davis Group時代の名曲を、若いプレイヤーたちとリラックスした様子で歌ってくれました。
UKロック史上最高のハモンド・マスターからの、HEY!の掛け声で今日も元気!


♪ "Behave Yourself" by Booker T. & The MG's (1962)

メンフィスの偉人、Booker T. Jonesさんはもう神さまみたいなもん。
スタックスを(いや、南部のソウルを)支え続けた方々ですからね。
最初のグループ名義で大ヒットした「Green Onions」からめちゃくちゃブルージーなスロウを。
録音時、Booker T.さんが18歳、Steve Cropperさんが21歳だったなんて!


♪ "Moondance" by Georgie Fame (1991)

クールなオルガンといえばFameさん。
なんとVan Morrisonさんご本人をゲスト・ヴォーカルに迎えて「Moondance」を演ってくれています。
ロマンティックな歌詞も、おふたりのデュエットとオルガンで大人っぽく、さらに真夜中の雰囲気に。
名手Robben Fordさんのギターもオシャレ〜。


♪ "Kool and the Gang" by Pierre Swärd Organ Jazz'n Soul Group (2015)

御年70歳のスウェーデン人、Pierre swärdさん率いるオルガン・トリオ。
なんとタイトルが「Kool and the Gang」って!
黒さともちょっと違うけど、この前のめりのファンク大好き!
「c'mon!」のコールと歯切れの良い鍵盤が気持ちいい〜。
バンドが楽しんでプレイしているのがこちらにも伝わります。


♪ "Gotcha Now Doc" by Cory Henry & Yoran Vroom (2015)

冒頭のLamarrさんとともにCory Henryさんも、新世代のオルガンの素晴らしさを教えてくれた方です。
共演するのは、こちらもヨーロッパ新世代を代表するドラマーYoran Vroomさん。
このデュオは凄い!
終盤のユニゾンとか鳥肌もん!
Henryさんのゴスペル・フィーリングに応えて、ハモンドB-3が歓声を上げているようです。


最後にひとつ変わりダネといいますか、一見してブッ飛んで狂喜した映像があるのでご覧ください。

♪ "A Woman" by Lachy Doley (2021)

ハモンドの横にあるのは、クラヴィネットだよね…
と思ったらなんかボディの上に飛び出てるアームでギュワンギュワンってトレモロかけてる〜!
Jan Hammerさんもびっくり〜!

DoleyさんはオーストラリアのSSWだそうですが、Horner社のD6を自分で改造してピッチ・ベンドをかけられるようにしたそうです。
クラヴィネットの発音原理はエレキ・ギターと同じとはいえ…まさに狂気の天才。
ブルーズ・ロック魂全開で、後半のハモンド・プレイも熱い熱い!
こっちはJon Lordさんかい!

いや〜いいモノ見せてもらったなぁ、満腹です。


TARO music store, thanks for letting me take pictures of the organ.


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