明治憲法下の体制には、多くの欠陥があった。しかし日本は、その欠陥を改めることは出来なかった。
一般に、制度に欠陥があっても運用で何とかすることは可能だが、つまりは現行憲法下の日本が行ってきたような、要するに憲法の条文は変えないまま解釈を変えるという類いのやり方だが、明治憲法下の日本はそれも出来なかった。
そしてそれが、日本が戦争にのめり込み、惨敗していく、大きな原因のひとつとなった。
一例だが、明治憲法下の体制には、首相を選出する規定が存在しない、および首相の権力が弱いという大きな欠陥があった。当時の日本は船頭多くして船山に上るの右往左往状態だったのだが、それがその原因のひとつだった。
その典型のひとつが小磯内閣成立時で、小磯国昭が適任とは誰一人思っていないのにそう決められるという、まさしく迷走だった。(若槻禮次郎著『明治・大正・昭和政界秘史-古風庵回顧録-』より)
そして現行憲法にも、幾つもの不備や欠陥がある。それを改めないのは、過去の日本が犯した誤りを繰り返すことに他ならない。
そしてそれは、絶対神ではない人間が行うことに完璧は有り得ない以上、一回改正して終わりでは無く、不断にバグフィックスとバージョンアップが重ねられなければならない。
と言う話。
(なお、『木戸幸一日記』の記述は若槻禮次郎とは全く違う。読み比べてみると良いと思う)。