全文公開 『1000万円の奨学金を背負って社会に出た話をしようか』 その2
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本記事は私の実体験を元にした、ノンフィクションです。
このnoteでは、全文を無料で公開していきます。
最終的には一冊の書籍として出版することを目指したいです。
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序章 1038万円の重石
第二節 奨学金とは何か
そもそも奨学金とは何でしょうか。独立行政法人である日本学生支援機構(以下、JASSO)のホームページによれば、その取り組みの意義について、
「憲法、教育基本法に定める『教育の機会均等』の理念のもと、経済的理由で修学が困難な優れた学生等に学資の貸与及び給付を行っています。」
とあります。
すなわち奨学金とは、「経済的に余裕のない学生が教育面で不利にならないよう、お金を工面しますよ」という制度です。
お金を出しているのは大学や地方自治体などもありますが、私も含め利用者の9割以上がJASSOを利用しています。
奨学金に関する現状についても記しておきます。
2022年に日本学生支援機構により行われた「学生生活調査」によると、奨学金を受給している学生の割合は、大学(昼間部)で55.0%、短期大学(昼間部)で61.5%、大学院修士課程で51.0%、大学院博士課程で58.9%となっています。
また2023年に労働者福祉中央協議会から発信されている「奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書」によれば、借入総額は310万円、毎月の返済額は1.5万円、返済期間は14.5年が平均値となっています。
具体的な金額の範囲としては、「200~300万円未満」が25.8%、「100~200 万円未満」が19.5%、「300~400万円未満」が17.0%、「400~500万円未満」が12.1%です。なお、私を含む「1000万円以上」の借り入れは全体の0.8%となっています。
返済義務のある貸与型と、義務のない給付型がありますが、給付型は全体の2%に留まり、98%が貸与型です。
まとめると、奨学金は大学を始めとした高等教育を受ける人の半数が借りていて、金額の平均はおよそ300万円。そのほとんど全員に返済義務がある、ということになります。
その返済については「苦しい」が44.5%(同アンケート)を占めており、ニュースでもしばしば「返済困難」「奨学金破産」などの言葉を見掛けます。
「奨学金を借りて社会に出ることの困難さ」は社会問題となり、学生本人や、これから子供を持ちたい親に将来的な不安感を植えつけています。
私の話に戻りましょう。最初は「なぜそんな金額になったのか」からお話していきます。平均借入額の3倍にもなる金額に膨れ上がってしまったのには、私の通った学部が大きく影響しています。
次回
序章 1038万円の重石
第三節 薬学部と奨学金
へ続く
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