全文公開 『1000万円の奨学金を背負って社会に出た話をしようか』 その3
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本記事は私の実体験を元にした、ノンフィクションです。
このnoteでは、全文を無料で公開していきます。
最終的には一冊の書籍として出版することを目指したいです。
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序章 1038万円の重石
第三節 薬学部と奨学金
私が卒業した学部は、薬学部です。
薬剤師になるには「薬剤師国家試験」を通過しなければならず、そのためには薬学部を修了することが求められます。
私立の薬学部の学費はどの大学でもほぼ共通で、年間で約200万円かかります。ただ、これなら1000万円はかからないように感じられますね。
しかし実際に私立の薬学部を卒業するのには、1200万円が必要です。
なぜなら薬学部はいま、「6年制」だから。
薬学部は2006年以降、学校教育法の改正に合わせて、従来の4年制から6年制となったのです。病院実習や薬局実習といった「実務での授業」がふんだんに取り入れられ、その分、学費は高額となってしまいました。
駿台予備学校によれば、私立大学文系学部における4年間の学費総額は平均で約410万円、私立大学理系学部は同様に4年間で約550万円とあります。この数字からも、薬学部の学費が取り立てて高額であることが理解できます。
もちろん実際には、ここに更に生活費が上乗せされます。私は実家から通っていましたが一人暮らしの学生も多く、すべてを合わせると、ひとりの人間が薬学部を卒業するまでに1500万円程度かかると言われています。
これは私立医学部、私立歯学部に次ぐトップクラスの費用となっており、それに合わせて学生が奨学金を借り入れる金額も、当然跳ね上がります。
先ほどは「250名に1人の金額」などと嘯きましたが、私の学年に少なくとももう一人、満額の月額14万円を借りた人がいる、と聞いたことがあります。
さてここまで退屈な話が続いてしまいました。序章はこのくらいにして、第一章に移りましょう。
章タイトルは「冷凍うどんと胡麻油」です。私が奨学金を借りることになったいきさつから、およそ人間らしい生活をしなかった社会人一年目までを簡単に振り返ってみます。
次回
第一章 冷凍うどんと胡麻油
第一節 「薬剤師になりたい」
へ続く
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それでは、また。