全文公開 『小児科薬剤師の本音』 その1
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本記事は私の実体験を元にした、ノンフィクションです。
このnoteでは、全文を無料で公開していきます。
最終的には一冊の書籍として出版することを目指しています。
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はじめに
はじめまして。私は「みどり」といいます。地方の調剤薬局に勤務している、30代の薬剤師です。
薬局の薬剤師としては10年以上の勤務歴があり、そのうち5年は「小児科の隣の薬局」で働いてきました。
自分が二児の父親なのと、そもそも子供が好きなのもあって、毎日刺激をもらいながら過ごしています。
調剤薬局の薬剤師は良くも悪くも、いちばん近い(多くの場合は、隣の)病院やクリニックの影響を強く受けます。
あらゆるジャンルの薬について知識を薄く広く持ちながらも、ある一点だけは突出するようなイメージですね。
なので私は、(それ以外の診療科はともかく)小児科に関してだけ言えば、他の薬剤師より、ほんの少し多くの経験を積んできたと思います。
さて、薬局の薬剤師は「薬を作ること(調剤)」以外にも様々な業務を行っているわけですが、そのうちの一つ、重要なのは「服薬指導」です。これは患者さんに薬の正しい飲み方や使い方、注意点などを説明する業務です。
現在の私は、毎日数十回、年間で一万回ぐらい、お母さんに服薬指導を行っていることになり、そうすると「こんなことを聞かれやすいな」とか「この情報、意外と知られていないな」という経験が蓄積していきます。
ところで私は読書が趣味で、毎日、何かしらの本を読んでいます。特にジャンルは設けず、読みたい本を手当たり次第に読んでいる中で、先日「開業医の本音」について医師が赤裸々に語る本を読みました。
生活の中で触れ合う職業の人が、実際に何を考えているのか。普段聞くキッカケのない、こうした「生の声」に触れられる書籍は新鮮な驚きに詰まっていました。
これ良いな、と思って自分も「小児科の隣の薬局で働いている薬剤師」だからこそ書ける本を出したいと考え、本書を執筆することに決めました。
最初に断っておきますが、これは「薬剤師が小言をいうための本」ではありません。どちらかと言えば「薬剤師の目線で “知っておいてほしいこと” をまとめた本」だと思ってください。
「本音」と題する通り、どうしても「切り込んだ書き口」にはなってしまいます。例えば「子どもに便秘薬を使いたくない」というお母さんに「いや、使ってください」と言うなどします。
当然そこに、子育てしている人を責める意図は一切ありませんし、私としては「使いたくない気持ちは痛いほどよく分かる、でも使わないと危険な場合があることを知ってほしい」という気持ちで書いています。
また本書では「お母さん」という言葉を多用します。時代の流れから考えると「お母さん、または、お父さん」や「保護者の方」という表現が適切なのでしょうが、私の経験上、実際に薬局に来る親の95%はお母さんなので、「あえて」そう記載しています。
「我が家はいつも、父親が病院に連れて行きますよ」というご家庭もあると思いますので、その場合は適宜読み替えていただければと思います。
それでは「小児科薬剤師の本音」の世界へ参りましょう。
次回
へ続く
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それでは、また。