本日の読書 #082 「日本人がイレズミを嫌いな理由」
参考書籍:『イレズミと日本人』山本芳美
第三章 イレズミ=やくざ者? より
日本人がイレズミを嫌いな理由。
先日、こんな記事を書いた。
外食先で出会った全身イレズミのお父さんに、5才の息子が反応してしまった、という内容だ。
そこで「子どもにイレズミについて説明することの難しさ」を痛感し、今回『イレズミと日本人』という新書を読むに至った。
私は基本的に何事に対しても極端な考え方はしないようにしている。
だからイレズミに対しても、特別強い忌避感や嫌悪感を持ってはいない。
ただ、そんな私でもイレズミは少なくとも「好き」ではないし、自分で入れようとは全く思わない。
また我が子がたとえば20歳になってイレズミを入れると決めたとき、(強く反対はしないが)決して快くは思わないだろうと思う。
ではそもそも日本人は、何でイレズミが嫌いなのだろう?
考えてみればプールや温泉で見られる「イレズミ、お断り」も、日本に特有のものだと感じる。
調べてみると、「従業員がイレズミをしていたらどう思うか」のアンケート結果は、年齢層で大きく変わることが分かった。
結果がキレイに三等分されていて興味深い。
1950〜60年代生まれ:絶対許せない
1970〜80年代生まれ:許せない
1990〜00年代生まれ:どちらでもない/許せる
といったところか。
ここで著者が提唱する「日本人のイレズミ嫌い」の理由を見てみる。
そのうちの一つが「任侠映画の流行」。いわゆる「やくざ物の映画」のことだ。
これが大流行したのが1970年代。
流行りすぎた結果、イレズミと「不良性」とが固く結ばれてしまい、それが日本人全体の国民感情となってしまった。
結果として温泉やプールは、一般客が怖がったら商売上がったりなので、イレズミを規制するに至ったと。
本書はその他にも刑罰、内湯など、様々な観点から「日本人とイレズミ」を考察していた。
また同じ読み方の「刺青」「入墨」「黥」「イレズミ」の違いも解説されていて、なかなか面白い読書体験だった。