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愛犬とグリーフを分かち合った話

前回、ペットロスを経て…で書いたように、私の実家には親子の犬がいた。どことなく気高い親犬ポポに比べ、子のジュンは、誰かれ構わず、人を見つけたら「撫でろ!」と、しつこい。自分のマズル(鼻面)で器用に人の手を自分の頭の上へ持っていき、頭を撫でさせる。しかも、すぐにはやめさせない。「もっと!もっと!」と、延々撫でる羽目になる…。

そんな甘えん坊のジュンが、親犬ポポとお別れした。ポポは、なくなる直前、ジュンを呼び、何やら会話をしていたらしい。そして、ジュンが立ち去った後、まもなくしてポポは息を引き取った。

ポポの火葬を終え、気がつくと、ジュンの犬相が変わっていた。誰が見ても、悲しみに満ちた表情にみえる。明らかに元気もなく、食欲減退、散歩も行かず、犬舎に引きこもり状態だった。(まだ、犬を外で飼育するのが普通の時代でした)

それでも、私が一緒だと散歩に出かけた。散歩というより、ポポを探しているようだったのだが、もしかすると、ふらりと帰ってくる私と同じく、ポポも戻ってくると思っていたのかもしれない。

そんなある日、相変わらず犬舎に引きこもり、呼んでも出てこないジュンを見ているうちに、泣いてしまった。するとジュンは一瞬で、私のところへ来て慰めてくれたのだ。その行動に感動し、さらに号泣していると、ジュンは私の気を引くようなしぐさをし、遊びに誘ってくれたように見えた。

この頃、ジュンは大好きな父に対して、分離不安になってしまい、父が車のエンジンをかけると、帰宅するまで鳴き続けていた。その為、父は出かける1時間前からエンジンをかけジュンが気づく前に戻ってきていたし、私もなるべく帰省した。みんな、ジュンのために、できる範囲でグリーフケアをしていたと思う。

文章を書いて気づいたこと

私たち家族も、それぞれポポに対するペットロスはあったはずだが、今思うと、ジュンのグリーフケアを通して、私たち家族も、ジュンと共にグリーフワークをしていたのかもしれない。



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