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【水田実の季節のギフトカレンダー3月】 意味を知って贈り物を楽しむ


日本発祥 「ホワイトデー」 あれやこれ

こんにちは。毎回次月のイベントカレンダーをもとにシーズンイベントや記念日、行事などからピックアップして、その由来や贈り物、MDのヒントを含めてギフトビジネスを探ってみようと掲載しています。

 さて本題に入る前に来月の3月ですが、記念日や行事なども目白押しの月になります。

 その内容をちょっと書いておきます。3月は語呂合わせがいいのかスイーツをはじめ“食品”の記念日が多いのも特徴です。そして防災対策や花粉対策も本格スタート。さらに行事では、卒園・卒業に、月中からは“お花見”ムードも高まって「さくら色」が店頭で満開となっていきます。月の後半は小中高生の春休みがはじまり人出も多くなります。あと4月に新社会人や新入生を迎える人の新生活に向けての準備や引っ越しなどの人の移動も多い月にもなります。

 また、個人的に注目しているのが3月7日の2分の1成人式を祝う“十歳(ととせ)の祝い”。この記念日は、2012年に日本記念日協会に認定され、比較的新しい記念日と思われがちですが、この10歳という節目の歳を祝う慣習は、昔から全国各地で見られたようです。この日を学校でお祝いするところも増えてきているようで、大手流通業界も注目しています。今後の動向が気になりますね。
この3月は何かと贈り物や手土産、お返しも多い月になりますが、縁起を担いだ贈り物で贈る方、贈られた方の双方が幸せを感じる贈り物をしましょう。

前置きが長くなってしまいましたが、今回は2月14日のバレンタインデーのお返しの日で、市場規模860億円(2022年度/矢野経済研究所)と「ホワイトデー」のあれやこれにスポットを向けてみました。

ホワイトデーは日本発祥の記念日!!

バレンタインデーはキリスト教から発祥※した記念日ですが、言わずと知れたこのホワイトデー。実は日本発祥の記念日なのです。

その由来は諸説ありますが、その一つは1977年(昭和52年)。博多の銘菓「石村萬盛堂」の当時の社長がお菓子作りのヒントを探っていたところ、少女雑誌の投稿に「男性からバレンタインのお返しがないのは不公平だ」というのを見つけたそうです。そこで、男性が女性にマシュマロを返す日を「石村萬盛堂」の代表銘菓「鶴乃子」(マシュマロ生地で黄身餡を包んだ博多銘菓)をヒントに作れないかと考えたのがきっかけだそうです。そのお菓子のコンセプトも「バレンタインデーに君からもらったチョコレートを、僕のやさしさ(マシュマロ)で包んでお返しするよ」なのですよ。ちょっとロマンチックですよね。

 日にちについては、百貨店の岩田屋(現三越岩田屋)からの助言もあり、3月14日を「マシュマロデー」としました。
その7、8年後、百貨店より「マシュマロだけでなく、もっと幅広くバレンタインのお返しの文化として浸透させられないか」「マシュマロの白を想起させるホワイトデーに名称を変更できないか」などの提案があり、「ホワイトデー」という言葉が誕生したのです。(参考資料:農林水産省/政策統括官付地域作物課「ホワイトデー2021」より)

その他の由来には、1973年に「メルシーバレンタイン」としてマシュマロやキャンディ、ビスケットを贈る日としての「不二家」と「エイワ」の共同キャンペーン説や、1978年に全国飴菓子工業共同組合(全飴協)が「キャンディを贈る日」として制定した説などがあります。どちらにせよ、70年代、各社の商品販促という“想いは同じ”が、ホワイトデーとして約50年近くの時を重ねてきたのでしょう。

しかしこの「ホワイトデー」。どこが制定したのはどうもはっきりしないのですよ。前出にもあるように、言い出したのは百貨店だとしても、どこが制定したのか?で煮えきれないのです。とはいえ、1978年に全国飴菓子工業組合がバレンタインデーのちょうど1ヶ月後となる3月14日を、キャンディーをお返しする日と決め、その2年後の1980年に三越と電通の協力を得て一大キャンペーンをスタートさせたことにより、「ホワイトデー」として市場浸透・定着していったというわけです。

 もともとホワイトデーが定着した要因には、日本にはいただきものをしたらお返しをするという慣習が根付いていますから、言わば“返礼”記念日ということですね。

※バレンタインデーの発祥については、ギフト研究所ホームページ「ギフトの知識」の2021年1月12日「日本と世界のギフト事情を調べてみたらNo.2 『バレンタインデー』」をご覧ください。

ホワイトデーは、なぜ『ホワイト』なんだろう?

このホワイトデー、当初は「マシュマロデー」にはじまり、そこから百貨店がマシュマロだけでなくいろんなものを販売したいということで、マシュマロの“白”をとってホワイトデーとなったとのことですが・・・。個人的にはこれが本当のような気もするのですが、今では「ホワイト=白」は、“混じりっ気のない”、“純粋”といったことから白は「純愛のシンボル」という事を表しているそうです。

 その他、前出のマシュマロの白と似ていますが、飴の原料である砂糖が白いからという説もあります。

 時代を経て、なんだかこう言った事を考える方の努力が伝わってきますね。(笑)

ホワイトデーのお返しに気になる“菓子言葉”

花に“花言葉”があるように菓子にも“菓子言葉”があるのです。
例えば、ホワイトデーに贈る本来の定番アイテム?「マシュマロ」ですが、口に含むとすぐに溶けてしまうことから、その菓子言葉は“すぐに消えてしまう→あなたのことが嫌い”“関係を終わらせたい”といった意味があるそうです。これって知った時は衝撃的!でした。ただ一方で“ふんわりとした優しい愛”という意味もあるそうなので少々安心。
 菓子言葉という意味で無難な返礼アイテムと言えば、“あなたと同じ気持ちです”“これまでと同じ関係を保ちましょう”の意味をもつ「チョコレート」。その他、チーズケーキやタルトなどのケーキ類には特別な意味はないのでバレンタインデーの義理チョコ返し向きです。特に女子はケーキ類が好きですから・・・しかし男子は出費が掛かりますね。
ちなみにその他、特別な意味をもつ菓子をあげておきます。

【お返しに意味がある菓子】

  • マロングラッセ : 「永遠の愛」

  • マカロン : 「あなたは特別な人」

  • カップケーキ : 「あなたは特別な存在」

  • 金平糖 : 「あなたのことが好き」

  • キャンディー : 「あなたが好き」「愛が続きますように」

  • ドーナッツ(穴あき) : 「あなたが大好き」

  • マドレーヌ : 「仲良くなりたい」「あなたとより特別な関係を築きたい」

  • キャラメル : 「一緒にいると安心する存在」

  • ティラミス : 「元気付けて」

  • クッキー : 「友達でいよう」「仲の良い友達の一人」

  • バウムクーヘン : 「幸せが続きますように」「幸せを重ねる」

  • ドラジェ(糖衣菓子/特に糖でアーモンドを包んだもの) : 「幸福の種」(別名称)

  • チョコレート : 「あなたと同じ気持ちです」「これまでと同じ関係を保ちましょう」

  • マシュマロ : 「あなたのことが嫌い」 「関係を終わらせたい」または「ふんわりとした優しい愛」

  • グミ : 「あなたが嫌い」

こうして調べてみると奥が深そうですね。

 さて、そんな菓子言葉の意味は、どこから来たのか?
 意味をもつ菓子を見ていると、その多くが海外から来たもので、独自の背景や菓子の特徴が発展していったもの、あるいは名前に込められたものなどがあるようなので、ルーツは様々なようです。
 気になる方は、このホワイトデーのみならず、シーズンギフトなどに相手が喜ぶような意味をもつお菓子を贈ってみるのも楽しいかも。ただし、相手を勘違いさせたり、がっかりさせたりさせないよう注意しましょうね。
また、ギフトは“感謝の心”と相手の“喜ぶ笑顔”が大切ですので、贈る相手の好みみがはっきりしている場合は、菓子言葉にとらわれずお贈りするのがいいと思います。

 ちなみに、比較サイト「Picky's」を運営する株式会社rentryのインターネット調査(2023年1月時点/n=210)によると、「女性が本命からもらえたら嬉しいものは?(複数回答)」の回答のうち、「お菓子以外のギフト」が54.8%で半数以上となっています。ついで「市販のお菓子」51.4%です。
 さらに、「ホワイトデーにもらえたら嬉しいスイーツは?(複数回答)」では、「チョコレート」が51.4%、「ケーキ」が46.7%、「クッキー」が33.3%となっています。ご参考まで・・・。

海外にインフルエンスする日本発祥の「バレンタインデー」

この日本発祥のホワイトデーは、韓国や中国、台湾といったアジア圏にも広がっています。ちなみに多くの日本の文化が入っている中国や台湾では、ホワイトデーの事をそのまま中国語にした「白色情人節」と呼ばれています。面白いですね。
 台湾の3月14日の白色情人節は、旧正月が近いのもあって、そこまで大きな盛り上がりとはなっていませんが認知はされているようです。
 ただし韓国のホワイトデーは、菓子を詰め合わせしたバスケットと花束のセットで彼女にプレゼントして若い男女を盛り上げています。
この日は菓子業界だけでなくフラワー業界も盛り上がっているようですね。その他にも、アクセサリー業界、化粧品業界がホワイトデー商戦に便乗してイベントを打ち出しています。ちなみに韓国でも“義理チョコ”が浸透しているようです。

韓国のホワイトデーに見かけるお菓子が入ったバスケット。

一方、欧米では頂いた贈り物に対して“返礼”する慣習がないので、ホワイトデーはありません。ただイタリアの男性から女性へミモザの花を贈る「ミモザの日」のように、花を贈るフラワーデーなどがあります。
また米国には、「クッキーデー」(12月4日)をはじめ、「アイスクリームの日」(7月第3週日曜)など、自分や家族で楽しんだり、親しい友人同士や恋人同士でプレゼントしたり、交換し合ったりする食べ物の日が一年を通してもの凄い数があります。

最後に、
「矢野経済研究所」によるとホワイトデーの市場規模は、2021年900億円から2022年890億円、2023年は860億円(見込)と年々減少傾向にあります。バレンタインデーの義理チョコも、時流からパワハラやストレスにつながったりと、今後減少傾向が続くと考えられます。
またZ世代ではバレンタインデーやホワイトデーも“友チョコ”が主流で、男女関係なくチョコや焼き菓子を贈ったり、交換したりしているようです。
日本ではホワイトデーが年中行事として定着していますので、現況のままにしておくには惜しい記念日です。この機会にトレンドワードを盛り込み、新しいホワイトデーとして自社商品の販促活動に落とし込んでみてはいかがでしょう。


水田 実
ギフト博士(研究家)。 日本の伝統的な贈り物の慣習や世界のギフト事情という視点で消費者や市場の動向を分析している。市場の動きを敏感にキャッチし施策化する提案力は評価が高い。 ギフトの知恵袋として教授の異名を取る。ギフト研究所所属


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