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【清水由起のデータから読み解くギフト事情 vol.11】オケージョンごとに最適化した商品拡大で身近な存在となった「体験ギフト」


体験することの価値の高まりがギフトへも反映

ギフトでは、食品や雑貨を中心として圧倒的に“モノ”を贈ることが主流ではあるが、モノ消費からコト消費へのニーズ変化によって体験や経験が注目され、ギフトとして贈りやすい商品も増えたことで、体験ギフト市場は飛躍的に伸長している。

これまでにも旅行業者が発行する旅行券や全国共通お食事券など、額面が記載された体験タイプの金券は存在しており、エステ券や遊園地のチケットをプレゼントするなど“体験を贈る”市場は存在していたのだが、体験ギフトを専門に手掛けるソウ・エクスペリエンス㈱が設立された2005年頃から急速に広がり始めた。2007年に「一休.comギフト」(㈱一休は2023年12月末にサービス終了)が開設、2010年には「EXETIME」(㈱ユナイテッドスペース)が発行され、現在では多くのカタログギフトにも体験型商品が掲載されるなど、大手ギフト事業者も次々参入しており、検索画面に「体験」と入力すると「ギフト」がサジェストされるようになるなど、体験ギフトは一つのギフトジャンルとして確立されている。

なお、体験ギフトは、体験が数多く並んでいるカタログギフト(選べるギフト、チョイス型ギフト)をプレゼントする形式が多いが、下図グラフ上の「市場規模」には、体験の金券(表面に金額が記された汎用性のある旅行券、食事券など)や体験型のカタログギフトの数字は含んでおらず、特定の体験(特定の施設等での特定の体験)として贈られるギフトを指す。

オケージョンに合わせた商品バリエーションが増加

日本で流通している体験ギフトの多くはカタログギフトであるが、カタログギフトはフォーマルギフトの印象が強いため、体験という新しいギフトジャンルを以てしても、利用されるシーンが限定的になってしまっていたという側面があった。よって昨今では、ギフトオケージョンごとに、より特化した体験ギフトの提案が増えており、それによって人気が高まっているという背景がある。

例えば母の日には個室スパやエステやホテルでのアフタヌーンティーを、父の日にはオーダーシャツやオーダージャケット、乗馬体験を、敬老の日には老舗旅館への宿泊や温泉を、結婚祝いや結婚記念日には夫婦二人でできる体験を、出産祝いには子供と母親が一緒に体験できるベビーマッサージやベビーサインのレッスンを、子供の日や子供の誕生日にはベビーフォトやプログラミング教室、農作物収穫体験を、宴会の景品ではクルージングやテーマパークのチケットを、など、現物ギフトと同様にオケージョンに合わせた体験ギフトの商品バリエーションは格段に増えており、消費者にとってより身近な存在になっている。

コロナを経て高まる「体験ギフト」の存在価値

2023年5月に新型コロナウイルスの位置づけが5類に移行した以降、観光地やイベント会場、宿泊施設やレストランにも、多くの人が訪れている。さらに、インバウンド観光客の復調も相まって飛行機や新幹線などの交通機関も混雑している様子が見受けられる。人々が、コロナ禍でもっとも自粛せざるを得なかった「体験」を求めていることは間違いなく、「体験」というサービスを通じて従来味わえなかった満足感や経済的価値を提供する体験ギフトの存在価値は、ますます高まっていくものと考えられる。

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