【贈り物相談室/お客様相談室 令和6年11月号】デパート!物語お客様相談室②
1991年から放映の『デパート!物語』は、伊勢丹相模原店を舞台とした。
しかしながら、相模原店には番組で駆け込み寺となったお客様相談室は存在しなかった。
当時の組織で言うと、売場を単位としてセールスマネジャーが責任者となり、上位に販売部長、営業統括部長、店長という役職だった。従って番組に登場したお客様相談室長は販売部長で、その下にいる販売課長が店頭で発生した問題(クレーム)の相談、解決をする実質的な要職だった。店頭の販売経験が豊富で対応能力の高いベテランが配置された。
問題(クレーム)の多くは、顧客の「不満」「不満足」である。不満はヒト・コト(サービス)に、不満足はモノ(商品)に対して顧客満足が実現できない状態にある。いずれにしても、1000人以上の従業員と数多の商品を抱えていれば大小の問題は毎日のように発生する。
起きてしまった問題(クレーム)は一つ一つ解決するしかない。
大事なことは、問題を起こさないように予知、予防ができるチームワークを築くことである。
90年代の伊勢丹相模原店は、集客動員のために来店促進として粗品を配ることが多かった。
特に毎週の催事場は告知するチラシを新聞折込で配布していたが、カード顧客や購買経験顧客に対しては封筒にチラシを入れて個別で訴求した。その封筒に先着1000名様と限定して粗品や廉価の頒布品の情報を入れて、お客様の来店を促進した。相模原店は土地柄、インテリアやリビングに関心のあるお客様が多く、特に『生花』が粗品として成功を収めた。春先にはカラフルなお花を配布して喜ばれた。何回か好評を得て、いよいよ4月の大きな催事の時に、『バラ』を2000本用意した。開店と同時に催事場の入り口で封筒と引き換えに『バラ』をお渡しするのである。何度も経験しているので担当者もルーティンな準備をしていた時に、生花売場の担当者が、薔薇の棘が取られていないことに気が付いた。配ることが出来ない。
直ぐに販売課長に報告がいく。
販売課長は事実の確認を行うが、配布しないという選択肢は無い。開店までの一時間でどのように対応が出来るか。50本単位で梱包された400ケースに、セロハン紙に包まれた2000本の棘付きの薔薇の花。先ずは刺抜きの方法。生花売場にある刺抜き用の器具は数本。生花担当者は朝早くから出勤しているので、刺抜きのチームをつくる。ケースを空けてセロハンを外すチーム、棘を抜いて、またケースに戻す。単調だが人海戦術が必要となる。続々と出勤する従業員、セールスマネジャーに事情を話して人を集める。もちろん全館10時の開店体制は整えなければならない。店を挙げて後方部門や営業統括部長までもが応援に入る。
お客様は開店前から長蛇の列となる。販売課長は全館の開店体制をチェックしながら、刺抜き作業は『バラ』の配布完了時間の午前中に間に合うか判断する。
結果、すべてのことはお客様にご迷惑を掛けず、無事に一日を終える。
お客様のご満足と従業員の働き甲斐が何よりのご褒美である。
もしこの一件をテレビドラマにしたら、大活躍する主人公やお客様相談室のメンバーの奮闘ぶりが想像できる。
問題(クレーム)を起こさない予知、予見と事前に未然に防ぐチームワークが、顧客の満足と従業員の矜持を得ることが出来るのである。
次回は、実際にあったクレームの対応と処理をお伝えします。
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