本当にゲームプログラマになりたいかと言うとそうでなかった人たちはテクニカルアーティストになる

いわゆる、ゲームプログラミングと言えば皆さん、ファイナルファンタジーでしょうか? 僕の世代はファイナルファンタジーを作るのがゲームプログラマでした。

業界あるあるレベルなのか、先生でさえも苦虫を噛み潰しながら面接で「FFを作りたいとか言うな」と仰るレベルなので、ファイナルファンタジーはまことしやかに注目を集める程度には大作で有名なゲームなのでしょう。

僕もRPGツクールを買ってファイナルファンタジーみたいなゲームを作ろうとしていた時期がありました。実際そんな簡単にできるわけがないのですが。

実際のゲームプログラマの多くはファイナルファンタジーは作れません。それらしいシステムの元になる部分は作れます。例えば、FFだとATBというシステムが採用されていますが、それぐらいならほとんどの人が作れます。

しかしながら、FFを構成しているのはATBではなく、物語を形作っている物量です。FFだけでなく、ドラクエだってクロノトリガーだって物量がゲームのほとんどを占めています。

ここでゲームプログラマにありがちな人生として、中学生の頃にFFのようなゲームを作るにはC言語を勉強すればいいと勘違いしてプログラマを目指します。しかしながら、本当に作りたかったのはシナリオだった、心を動かす背景グラフィクスを作りたかった、という人も中にも居たりします。

非常に悲しいことではあるのですが、最初の進路選択のミス、プログラマとしての適性、慌てて進路変更して才能ある人を見て挫折する、その他環境諸々によって、本当はやりたいことがあるのだけれどもプログラマをやっている、という人たちが少なくありません。

こういう人たちは、グラフィックが好きだったり、音楽が好き、というバックグラウンドを活かした専門職に就きます。ゲームプログラマもただプログラムを書く、というわけではなく、具体的にどのセクションやパートを担当するかで作るものがガラリと変わります。

よく、ゲーム業界のプログラマ事情を知るには、スクエニの募集職種一覧を見ろ、と言われたものです。ファイナルファンタジーはプログラマが作る、というわけではありません。ゲームシステムのコアな部分だったらアルゴリズムを考えたり、アーキテクチャとお友達のプログラマが担当します。

一方で、グラフィクスを司ったり、サウンドを司るような人はテクニカルアーティストになります。日本語に訳すと技術的な芸術家です。プログラムのことがわかり、芸術方面にも明るい。そんな人がテクニカルアーティストになります。

テクニカルアーティストにも細分化が進んでいます。基本的にはグラフィクスとサウンドです。グラフィクスにも、映像なのかリアルタイムなのかでセクションが変わります。サウンドも音楽、効果音、音響に分かれます。

なぜテクニカルアーティストという人たちが必要なのか。それはプログラマしかやっていない人は芸術の何が良いのかわからなければ、アーティストもプログラムがなにかわからない。バベルの塔ですね。お互いに共通言語を持たないのでコミュニケーションができない。

良い作品を生み出すにはアーティストの全力が出せる状態が良い。共通言語を持つテクニカルアーティストが、アーティストの言葉でもってプログラムを書きます。すると、アーティストは全力で芸術力をゲームにぶつけることができるわけですね。

現在はサウンドでもシステムプログラムであればゲームプログラマに入れるのか、いやいやDAWが操作できるからテクニカルアーティストだろうとか、職種の分類が難しい職業です。しかしながら、テクニカルアーティストがいなければアーティストの言葉をプログラムに起こせません。

そういうわけでなかなか難しい職業ではありますが、ゲームプログラムと言うとあまり認知されていないのが現状です。プログラムを書くだけじゃなくて芸術方面の実践がある人はなかなか貴重な人材です。ゲーム業界以外のIT業界でそういう人材なかなか見つからないよなぁとなりましたら、ゲーム業界が積極的に青田刈りをしているので漏れなく採用できません。残念。

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竹渕瑛一(GRGSIBERIA)
普段は研究していて生活が厳しいのでサポートしてくれる方がいるととても嬉しいです.生活的な余裕が出ると神が僕の脳に落書きを残してくれるようになります.