【解説】教えてリンさん!研究者になりたいの!
まとめ本に収録した各トピックの解説を掲載
こんにちは。本エッセイ漫画をナビゲートしているリンです。日本の大学で博士の学位を取得し、海外ポスドクや特任教員、正規教員など色々な経験をしてきました。まだまだ不安定な立場ですが研究を仕事として続けていきたいと思い頑張っています。
本作は「女性研究者概論」として博士の学位を持つ女性研究者の一般的なキャリアを追いつつ制度の紹介や問題点を具体例を挙げています。それらを描写するため必要なアカデミア社会の骨格も丁寧に説明しています。女性研究者だけではなく、これから大学・大学院を目指す学生や、大学院の仕組みを知りたい親やパートナーにも参考になるかもしれません。
本エッセイ漫画は2018年6月から2020年12月までウェブ上で連載された全30話(28トピック)をまとめたものです。連載当時は月に1トピック2ページの漫画を掲載しましたが、今回これらをまとめるにあたって、それぞれのトピックの解説を加えました。アカデミアの仕組みを単純に解説しているトピックもあれば、問題提起しているトピックもあります。表立って主張することが難しいテーマに関してはポップな見出しの中に密かに主張を忍ばせています。解説にはそのような表テーマと裏テーマについてネタばらしを書いています。
トピックの前半は「仕組みの紹介」の要素が強いです。後半は実際のアカデミア的社会問題を取り上げて議論していきます。また、連載時には発表しなかった女性研究者の「結婚・別居婚・子供・キャリアの中断」というテーマを扱った第29話を書き下ろしで加えました。
アカデミアの世界は環境変化が著しいです。この文章を執筆している2021年と連載をはじめた2018年で異なる制度もあります。例を挙げるとすれば、科研費の採択結果が年度はじめの4月から2月に前倒しされたことでしょうか?これまで4月になるまで次の年度の予算が確定しないことから雇用している研究員の継続が確約できませんでした。2月に分かることで見通しを立てやすくなりました。本作はあくまで2020年前後に書かれた作品であることを踏まえて読んでいただければと思います。
●この文章を執筆した当時、科研費の採択結果が前倒しになって良かった旨を書きましたが、最初の年は2月の末日の発表で、4月採用のための2月の教授会には間に合わないという現実が待っていました。