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【解説】第14話 大学の取り組みを紹介するにゃ!

まとめ本に収録した各トピックの解説の全文を掲載

このトピックでは大学の男女共同参画の取り組みについて紹介しました。大学における女子学生の割合と、教員における女性の割合は明らかに歪です。理系の研究科で女子学生が2割いるのであれば、女性教員も2割いなければ教育、運営の面においてさまざまな弊害が出てきます。しかし、現実は女子学生2割に対して、女性教員1割に満たないといったところでしょうか? せめて女子学生割合まで引き上げようと女性限定公募などが試みられています。
 
女性限定公募を行わなくても平等に公募が行われれば女性の割合が極端に低くなることはないでしょう。しかし、アカデミアのポジションの最初のステップである助教の採用は公募による平等な選抜ではなく、教授による指名であることが多いです。特に、研究室所属の助教のポジションは教授の下につくため、教授がOKと言って決まってしまう文化があります。その時に男性教授が男性助教を指名することが多いのです。以前、「自分が女性だったら先生に呼んで貰えなかったと思う」と男性助教が言っていたのは印象的でした。
 
教員として採用されても教授(PI)になるまでは多くは任期付きです。任期無しポジションを目指して研究・教育活動に頑張るわけですが、子育て期間とかぶるとどうしても停滞してしまいます。人によって状況も異なります。子供がいない人もいれば、単身で子育てしている場合、介護をしている場合などさまざまな理由があり、個別事情を昇進の際に考慮することは難しい。そこで、男女共同参画が生活面をサポートすることで、その後のキャリアが「平等に評価」されるように努めています。
 
このトピックではじめて10匹の博士にゃんこさん達が出てきます。女性教員の見かけの割合は3割です。大学内において博士を持っている女性の数はそんなに少なくない印象なのですが、実際に大学教員として働いている割合は非常に少ないです。この10匹の中で安定して働けているのは教授のAにゃんだけです。後に出てきますが、助教のBにゃん、Fにゃんは任期の制限により助教のポジションを失います。つまり実質の女性教員の割合は1割です。また、大学は大学教員のサポートはするけど、外部資金で雇用されている研究員は対象外といったことも往々にしてあります。10匹の博士にゃんこさん達のほとんどが外部資金雇用です。サポート対象にならないということは「平等に評価」という土俵から外れてしまい、キャリアステップに不利になります。


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