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【解説】第10話 いつ産んだらいいにゃ?!

まとめ本に収録した各トピックの解説の全文を掲載

子供を持つ人生を選択した場合、キャリアステップと出産子育てが重なることは避けて通れません。そして、この時期の多くの研究者が任期付き雇用です。この一時期に集中する幾重もの波を乗り越える方法として、「学生の時に出産できたらいいよね」と無責任に提案しました。学生といっても大学院生です。もう20代後半です。いい大人です。
 
学位をとってある程度業績を出してそれなりのポジションを取ってから、と考えると漏れなく高齢出産です。さまざまなリスクは20代と比べて高くなります。ドクターの学生の時に出産・子育てできる環境が普通になれば、もっと選択肢が広がるのではないかと思います。
 
最後のコマで描写したアメリカにいた頃に見た学生は日本人の女性でした。凄くしっかりプランニングして出産しており、とても感心したのを覚えています。2人目も同じようなスケジューリングで出産し、ロスなくPh.D取得して今でもしっかり研究を続けています。
 
学生の時の数か月はとても長く、3年で学位が取れないとストレスを感じたりするかもしれませんが、研究人生を長い目で見た時、3年で学位を取ることに大きな価値はあるのでしょうか?もちろんパートナーとの信頼関係が必要になります。しっかり話し合って一緒に乗り越えていけるパートナーがいれば十分に可能な選択肢だと思います。
 
といいつつ、自分自身にそれが可能だったかと言えば難しかったです。信頼できるパートナーも、研究を続ける自信も無かったし、出産を選択する文化的背景もありませんでした。これからの世代に、そういう選択肢を躊躇なく選べる研究環境づくりを積極的に行いたいと思っています。
 
このトピックでは女性研究者に多くみられるキャリアの流れを描きました。私自身が長く研究を続ける中でこのパターンが非常に多いことを実感しています。後半のトピックでは何故このパターンが多いのか?議論していきます。


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