【What's Up greenz!】greenz.jp副編集長のスズキコウタに、最近の仕事と暮らしのことを聞いてきた
こんにちは、グリーンズ広報スタッフの日菜子です!普段はあまり聞けないけっこう深いところまで聞いちゃうnote限定企画「What's Up greenz!」。
グリーンズのメンバーって、どんな風に暮らしているの?
日々、どんな仕事や挑戦をしているの?
グリーンズに”いたい”と思う理由とは...?
などなど、ぐいぐいっと聞いていきますよ!「いかしあうつながり」とともに歩き始めているグリーンズを知ることができる内容もたっぷりなので、お楽しみに。
今回お話を聞いたのは、greenz.jp副編集長のスズキコウタです。
昨年完成した我が家のテラス。コロナが終息したら、みんなでバーベキューと音楽が楽しめるように、完成早々なのにリノベーションを決断。工事進行中。
「自分の持っているリソース」
ー よろしくおねがいします。今、私の家にはわんちゃんがいるんですけど、めっちゃ癒されていて。いい感じになっています。
犬は、新型コロナウイルスなんか知ったこっちゃない。そのマイペースぶりがいいよね。
鈴木家の愛犬、チップ。吠え癖があり、オンライン会議でいつも迷惑をかける。
ー 今日はポップな感じで最近の話を教えてもらいつつ、後半はグリーンズでの活躍についてガッツリと聞いていければいいかなと思ってます。 では「最近はどうですか」っていうところからなんですけど。どんなことをしていらっしゃるんですか。
感染拡大が始まった頃に鈴木菜央さんと編集長会議で、自分の持っているリソースで何か社会に役に立てられることをやった方が良いんじゃないかと話していて。
それで久しぶりにプロボノを受け始めてます。既にあるスキルを持ってボランティアをするのがプロボノなので、「自分の持っているリソース」ですよね。自分の思ってもいなかったスキルに気づいたりするのが楽しい。最近は新たな分野での挑戦や人脈が生まれていますよ。
ー コウタさんはプレイリストも毎日やっていましたね。私、何気にいつも楽しみにしてました。
それも「自分の持っているリソース」ですよね。音楽の知識と、選曲家という経験。ただ、社会の混乱期に、自分がどういう音楽に救いを求めたかを記録しておきたいという意図も強かったかな。毎日更新はやめてしまったけど、アーカイブは山のように残っているし、思いつくと最近も更新しています。
創作と実験の舞台に立てることへの感謝
ー 改めて、コウタさんがグリーンズで何をしているのか、教えてください。
端的に言うと、記事の企画編集校正と、そのマネージメント責任者ですね。菜央さんが示した方向性を受けて、さまざまな視点から企画をしたり、ライターさんのネタ提案を受け止めたり。あと、最近は「作文の教室」や「メディアの教室」という講師仕事もしてます。
ー ちなみに講師の仕事っていつぐらいからやられているんですか?
2013年かな。兼松佳宏(YOSH)さんは「愛のある無茶ぶり」をよく使うんですけど、「greenz global」という英語版の編集長に未経験の僕を任命して。その英語記事のライターインターン育成を始めたのが最初。
ー すごいもう長いですね、7年ぐらいか。
なんかあっという間だね。
ー コウタさんが最近感謝をしている人はどなたですか?
いっぱいいますが、まずは編集部のメンバーは、この混乱した中でどのように創作意欲を保ち、フレキシブルに動くか、最善を尽くしてくれているなと思います。もちろんライターさんにも感謝しなきゃいけませんね。最近は、「greenz challengers community(以下、GCC)」という派生編集部をつくって、若手ライターさんと実験的な記事を量産していて。そういうことをグリーンズが許してくれる、その企みに集まってくれる人がいるのは大感謝。
ー 他にもいろいろな名前があがっていましたが、レストランの名前もありますね。
特に「SALONE TOKYO(サローネ・トウキョウ)」さんかな。僕が今一番大好きなリストランテで、緊急事態宣言の直前、ここで母とコースを食べて、よし家にこもろうと決意した場所。シェフの樋口敬洋さんと永島義国さんは、料理の感性やスキルはもちろん、細やかな配慮も天才的です。コロナが落ち着いたら、みんなで会食に行こう!
誕生日のときに「SALONE TOKYO」さんが出してくれた記念プレート
緊急事態宣言期間中は、「SALONE TOKYO」さんのパスタセットを時おり注文。この究極の美味しさで家族の不和を何度乗り越えたか・・・。
メンバーの様子を見つつ、挑戦を楽しんでいく
ー そんなコウタさんですが、周りから「バランサー」と言われるんですか?
昔、たしかこれ、Qちゃん(元スタッフ・河野奈保子さん)に言われたんだよね。直接じゃなくて、ひとづてに「スズキコウタはグリーンズのバランサーだから」って言ってたと聞いたんです。それを社外の先輩が、僕にこっそり教えてくれました。
ー なるほどなぁ。
グリーンズで、たぶん僕は寡黙な方だと思うんですよ。授業や登壇のときは、めっちゃ喋りますが。あまり喋らず、チームの様子をじーっと観察して、「あ、こっちに手をつけよう」とか「こっちに手をつけよう」とか。そういう動きはしてると思いますね。
ー なるほど。みんなの「場」的な意味でバランスを取れるって言う感じに思われたってことですかね。では、次ですね。今勉強してることは何ですか。
学びの空間や機会をつくることが、編集者としても講師としても重大任務なので、その試行は常にしてるかな。また、ソーシャル・ディスタンスや外出自粛で、世界中の豊かなコミュニティがどんな危機にあるか。それに対してどのようなアプローチを試みているソーシャルデザイナーがいるか。そのリサーチとアウトプットは、GCCメンバーと日々の編集会議で深くしていますよ。
ウイルスのパンデミックでなく、優しさのパンデミックを。そんな活動を取り上げた記事。(鈴木菜央企画、スズキコウタ編集、GCC執筆で製作)
ー 「グリーンズに『いたい』と思う理由」は、「チャレンジが要求されるから」と聞きました。
グリーンズって、現状維持が許されない職場なんですよ。常に自分には、属するチームにはどんな「成長の余白」があるかを見つけて、その余白を埋めることに取り組んでいないと、居場所がなくなる。そういうシビアさが、気持ちいいです。
だから例えば記事がヒットして「ああ、こういう企画でこういう書き方をしたらヒットするんだ。じゃあこの手法で量産すれば安泰だな」ということをしてると、取り残される。
トライ&エラーが楽しめる人に向いているし、僕はそういう姿勢で前職も働いていたので、それが心地いいかもしれない。
ー でも、プレッシャーに耐えかねる人も絶対いますよね(笑)
だよね(笑) 僕も一度、休職したし。
ー そこに負けじと挑戦していく。
ですね。僕はたまに個人事業主としても、プロボノとしても仕事をすることがあって、最近では編集業界ではないですが、ある憧れの人との機会も生まれました。でも、外で仕事すればするほど「本籍はグリーンズにある」って思うんです。大変だけど、気持ちよく働けるから。まぁ、これからは分からないけどね!(笑)
地球や社会の持続可能性を考える前に
ー 「いかしあうつながりがあふれる社会」というビジョンについて、どう考えていますか?
2016年に菜央さんとソーヤー海さん一行と、カリフォルニアで開催している「Bioneers」っていうサステナビリティについての国際会議に行ったんですよ。
その頃のグリーンズは「ほしい未来は、つくろう」がスローガンで。そんなビジョンを持つ非営利情報媒体が日本から来たよー。そんな感じでいろいろな取材をしたんです。
ただ、カンファレンスで人と話すにつれ、ひとりひとりがほしい未来を思い浮かべて、そこに向かって猪突猛進していく方法で、果たして社会はつくれる・変えられるのか、僕は分からなくなっていったんです。そうしたら、菜央さんは前年にシアトル郊外の「ブロックス農園」に行って、すでに気づいていました。つながらなきゃいけない。他人や自然とはもちろん、自分自身の心と身体とも。
サステナビリティの技術的・学問的な最前線を知るために行った国際会議で、最前線でなく、自分の目の前の世界のサステナビリティを考えることはできているか、と突きつけられました。そして、孤軍奮闘〜個々人のビジョンだけでなく、誰もが持っている感性やスキルや気持ちをつなげて、いかしあっていく。それだな、と思ったんですね。
「Bioneers」の会場前で、一緒に行ったメンバーと
ー 「コウタさんは、どんな『いかしあう〇〇』をつくりたいんですか?」
いかしあう表現、いかしあう創作、かな。ひなちゃんもライターをしてるんで分かると思いますけど、あらゆるコンテンツの製作ってすごく孤独な仕事じゃないですか。1人で悶々と考えて、ああじゃないこうじゃないって並べ替えて、言葉を直す。孤軍奮闘で追求するのも楽しいけれど、みんなで叡智を出し合って表現や創作をしてみたい時期です。
実際、GCCのメンバーと3時間という制限の中で、みんなで一緒にゼロから1本の記事を書く。その様子を完全生中継するイベントを10月11日(日)にやります。近日こちらに参加ページができます!
ー 私は他の媒体でも結構書いてますけど、グリーンズほど、同じ目線に立って進んで行くみたいな感覚って全然やっぱりないですね。フィードバックと共に返ってくることは少ないです…
そうなんだ。グリーンズは、素晴らしい才能と経験を持っている編集者の方々に恵まれています。編集者も得意分野・詳しくない分野があるので、ライターさん同士の「いかしあうつながり」で記事がつくれるようになっている。
ー 続いて「グリーンズでこれから何にチャレンジするんですか」
greenz.jpは、もうゼロになったと僕は思っていて。いつも年の暮れになると、来年にどんな取材手法や企画軸で勝負していくかを考えるんですが、それがコロナですべてできなくなってしまったんです。なので「greenz challengers community」という実験プロジェクトが大事になってくる。
GCCとして発信している記事は、決して試みとしても読者獲得数的にも、成功しているものばかりではありません。むしろコケたなあと思うときの方が、今は多い。でも、なぜコケたのか。なぜ手応えがないのか。もちろん、なぜこれは成功したのか。その検証で次が見えてくるといいなと思って、僕を含めて7人のメンバーが必死にトライ&エラーをしています。
ー 面白そう。それは楽しみです。
2020年1月、現在のところ最後に現場で開催した「作文の教室」にて。オンライン化によって、授業構成をかなり改訂してますよ。9月にまたやります。
実はテレビっ子な副編集長のリコメンド
ー 最後にオススメしたい本を教えてください。
他のメンバーが紹介しなそうな変化球で考えてきましたよ。
まずは「マツコの知らない世界」っていうテレビ番組。これが何で面白いかって言うと、なんかみんな偏愛っぷりをひたすらさらけ出しているんですよ。その偏愛の対象も、タピオカやアレンジレシピみたいな定番だけでなく、ラーメン屋の小どんぶりとか、デパートの包み紙とか。この番組とプレゼンターたちから編集の技術が学べるんです。
ー 「編集」っていうのは、例えばどういう感じですか?
編集者ってたとえばフリーで独立するときに、独自のテーマを掲げて活動を始めることが多いけれど、そのテーマって自分の偏愛しているヒト・モノ・コトから見つけたりします。その偏愛しているものを同好会的に愛することも楽しいけれど、多角的に観察をして自分の解釈を加えることで編集コンテンツになっていく。なので、そういったキャリアを目指している方にはおすすめしています。
ー そういう見方いいですね。ちょっと私も観よう。次は「モヤモヤさまぁ〜ず2」ですか?
大ファンなんです(笑) 初回から一度も欠かさず見ているんですよ。アメリカに住んでいた頃も、後輩に録画を送らせていたし。この番組から何が学べるかと言うと、やっぱり観察する能力がすごいんですよね。
さまぁ〜ずにしか見つけられないものをちゃんと発見して、どんどんいじって掘り下げていく。散歩で出会うまちの風景や人のふとした仕草だったり、コミュニケーションの仕方だったり。本当に些細なところを見つけたら観察して、ユーモアに乗せて視聴者に提示する。まちの面白さをどうやって可視化して、形にしていくか。すごく勉強になりますよ。
ー 良いですね。観たくなっちゃう、これ、みんな観たくなるな(笑)
あとは、本ゼロ冊はふざけてると思われるかもな、と思ったので駆け足で。
『英国シューマッハー校 サティシュ先生の最高の人生をつくる授業』。これはサティシュ・クマールと辻信一さんのサインが入ってますけれど。すごい宝物のような本で。2013年の本ですね。最近もgreenz.jpで記事が出たサティシュ・クマールさんの教えを、辻信一さんがまとめた一冊です。厳しい意見と、希望をくれる優しい御大ですね。なんかポストイットだらけで汚ったないんだけど、僕の本(笑)
ー 読みたい。
もう1つはあえてちょっと過激な本を選んでみました。これは『さよなら、消費社会』っていう結構過激なメッセージの本で。たぶん大学生の頃に読んだんですよ。
カルチャー・ジャマーだとかアドバスターズっていう言葉が出てくる本で、どういうことかって言うとadvertisement(広告)をbustする(やっつける)…まぁゴーストバスターズならぬアドバスターズっていうことなんですよね。タバコだとかいろんな広告がアメリカにはいっぱい日本同様に貼られていて、それをガーっとペンキで塗って書き換えて、タバコなんて吸うな! っていう広告にしちゃうとか。そういう面白いことやってる人たちです。
ーありがとうございました。
スズキコウタ
greenz.jp副編集長として、日々の記事製作以外に、作文や編集についての授業を行う。15年近く、クラブDJ活動をしていたけれど引退。パーティーはもう飽きた(笑) 今は、ひとりでコース料理を”瞑想的”に食べる「孤食」がマイブーム。インスタは、いつしかグルメアカウント化。
INFO: greenz.jpライターも各地からゲスト参加!文章を書くのが楽しくなる、greenz.jp副編集長のスキル習得ゼミ。
作文の教室 (実践編)2020年9月19日(土)よりスタート! オンライン開催なので、全世界から参加可能。
丸原孝紀さん、山中康司さん、村崎恭子さん、松山史恵さんをゲスト講師にお迎えします。どのように作文力〜企画力〜編集力を身につけ、伸ばしてきたのか。ともに学びましょう!