葬儀の日、父の亡骸をさすりながら泣いていた人
自信を持て、君ならできる
「校長先生にむかし言われた言葉が、俺を長く支えてくれてさ、だからおかげさまで踏ん張れましたよ」
葬儀の日、男泣きしながら、父の亡骸にそう話しかけていた50代半ばの卒業生がいました。
公立高校の学校長を経て退職した父親のもとへは、卒業生が時々、尋ねてきてくれることがありました。
「結婚します」とか「事業を起こしました」とか、さまざまな報告をかねて訪ねてきてくれました。
時には「離婚した」とか、「交通事故を起こしてしまった」とか、「会社を辞めてこれからどう生きていったらよいか」などさまざまな相談ごとも持ちこまれていたようです。
自信を持て、君ならできる
「校長先生にむかーし言われた言葉が、俺を細く長く支えてくれてさ、だから、踏ん張れましたよ」
父の葬儀の日、男泣きしながら、父の亡骸にそう話しかけてくれていた50代半ばの卒業生。
高校を卒業してすぐに、ご両親を一度に無くしたために、新聞配達店に住み込みで働きながら、夜間の大学を出て、学校教員になった方でした。
・自分が選んだ道なら、それは最高の道なんだ
自分らしく生きるとはどういうことなのか。それがわかると、人生は美しく変わり始めます。でもときどき
・自分のしたいことがわからないとか
・自分が何が好きかわからない・・・
という状態に陥る人が存在します。
・「自分の使命を探しなさい」
・「自分を大切にしなさい」
と言われたり、本にもそう書いてあったりしますが、生き方を迷っている時は「それはいったい、どうやるのか?」という部分が解らない。
方法とノウハウを知りたくて、本を読み自己啓発セミナーやカウンセリングや、メンタルコーチングに行き学んでも、なかなか変化できない。書いてあることが腑に落ちない。
長い、薄暗いトンネルをなかなか抜けられないまま、生きにくさを感じて日々過ごしてるようなそういう人が、恩師である父を訪ねてくることも、半年に1回くらいありました。
父の亡骸をさすりながら泣いた男性もそんな一人でした。
「聞いているのかいないのかくらいのあいまいな相槌を、首を何度も縦に振りながら、当時「うんうん」と繰り返して聞いていた父は、帰り際に
「もう無理か、やめてしまおうかと、迷いや後悔が襲ってきたら、あともう少しだけ、頑張ってみようと思い返しなさい。自分が好きで選んだのなら、今の道が最高なんだから自信を持て、君ならできる!」
そこから逃げ出すことを優先させずに、まず踏ん張ってみることを父は、推奨したようでした。
「自分が好きで選んだのなら、今の道が最高なんだ、自信を持て」
「校長先生に、強く手を握られて言われた記憶が、あれから34年たっても、まだ自分を細く長く支えてくれる、おかげさまで踏ん張ってこれた、ありがたかった」
父の葬儀の日、子供のように大きな声で泣いてくれたその人は、すでに子供を指導する側になり、かなり経験値の高い年齢になっています。
それでも、時間を経て尚、愛ある言葉は暖かな記憶の中に、バワーを持って息づいていくと思われます。