「山づくり」へのそれぞれの想い
こんにちは。青葉組で事務を担当している栃木団のスタッフです。普段はPCの前で作業をしており、今回初めて現場にお邪魔しました。
普段、ほとんど山歩きもしないですし、林業とはなんぞや?くらいの素人の私から見て感動したことをお届けできればと思っています。
ヨゴロウ畑~ほかの山づくりとはどう違うの?~
青葉組では普段森林組合さんの下請けでお仕事をさせて頂くことも多いのですが、今回お邪魔した「ヨゴロウ畑」は自社で初めて所有者さんから直接お預かりした山です。
ヨゴロウ畑がこれまでの林業と違う点として、これまでは仕様書に沿った仕事でしたが、予算など決まったことはあるものの、何を植えるかなどのある程度自由な裁量権があるところが違います。
また、伐採を前提とした山づくりではないところも大きな特徴です。
これまでは数十年後に伐採してお金にするための山づくりでしたが、ヨゴロウ畑は伐採を前提とした山ではありません。
この山があることで、山に興味を持ってもらえたり、多様な生態系がはぐくまれたり、その先にある私たちの生活が豊かになったりするような山づくりを目指しています。
木を切ればお金は生み出せるが、ヨゴロウ畑はそれだけではないナニカを生み出せるはず。造林は形になる。手をかければかけるほど形になり、生み出せる仕事だというところが大きな違いです。
チームとして仕事をするということ
さて、現場に伺ったときは、ちょうど雪が降ってきたため、作業員の方はいったん下山して作業をされていました。(大きな輪切りの丸太を鎌のような道具で転がして、積んでいく作業の途中でした)
拝見していて、最初に感じたことは、『こんなに声を掛け合って仕事をしているんだ!』という驚きでした。
はたから見ていても、雪もちらつく寒い中、決して楽な仕事でも、安全な作業ばかりでもないはずなのに、お互いに笑顔で、時に笑いながら、声を掛け合って仕事をしていることに、心から驚き、感動しました。
上手に木を転がせたら『ナイスー!』と声をかけたり、『この木は死んでいる?生きている?』と確認し合ったり、とにかく常にコミュニケーションをとりながら仕事をしている姿がとても印象に残っています。
他にも、一人が別の作業に入ったら、自然とほかのメンバーもそちらのお手伝いに流れて行って、お互いにどう手伝うか、どう動けばいいかを即座に判断して動き始めているのも、日頃のコミュニケーションの賜物だと感動しました。
現場で動く一人一人が当事者として仕事に関わって、その時、誰が何をすべきかを見ることができて、チームとして仕事をしているのだ、ということに強く感動しました。
山をつくるだけではない、それぞれがヨゴロウ畑に見る景色
その後、ヨゴロウ畑はどんな取り組みをしていて、どんな気持ちで働いているのか、という点について、お話を聞くことができました。
未来のモデルケース
まずは、多様な生態系の森を作ることや、森ができた先にある川や水が美しくなる未来を想像していたり、この森づくりが知見を増やしたり、活かしたりする場所にもなり、未来のモデルケースにもなるかもしれないというお話を聞きました。
『殺すより生かす』という言葉もありましたが、冒頭にご説明した通り、ヨゴロウ畑は伐採を目的とした山づくりではありません。山が放置されていたところに、そこから木を植えて、もう一度森にする、そして森を作っていき、そこに何かが生まれる、そういう未来を思い描いている方が多かったように思います。
新しい生態系だけではなく、笹を刈り、山を整えることで、本来そこにあった植物たちも生えてくることができるようになると、もともとの生態系も生き返らせることになるのだというのも感動しました。
広葉樹とはちみつ
他にも、ヨゴロウ畑は、針葉樹ではなく広葉樹を植えており、はちみつが取れる木も植えているそうです。はちみつという身近なキーワードが生まれることで、林業に携わったことがない方にも身近に感じられて、はじめての人でも入りやすいし、山づくりのスタートの地になるのではないでしょうか。
そして、それがこれから先の山づくりへのビジョン、きっかけになるかもしれません。
広葉樹をまとめて植えることはなかなかないので、そういうところもこれからのノウハウにもなるかもしれない。そうやって、人に近い森を作り、見てもらい、知ってもらえることが、訴える力になるのではないか、とそこまで考えていらっしゃる方もいました。
お話を聞いて
みなさん、ヨゴロウ畑をどうするか、という視点ではなく、ヨゴロウ畑を起点として、これから先の未来の仕事、その先の世の中のビジョン、山を作ることで得られるかもしれない未来を見つめて仕事に取り組んでいるのだということでした。
そんな話の中で、ヨゴロウ畑は、青葉組も初めての試みだからこそ、これから造林に携わる人にも興味を持っていただけるかもしれない、そしてそれを見た方が、自分もやってみたいと思ったり、森林組合の方が『青葉組ならこんな森もあそこまでできるのか』と希望を持っていただいたりするかもしれない。それがさらに輝く未来への一歩になるということがわかり、明るい未来を感じました。
現場統括や班長の視点
そんな中でも、現場統括や班長がいつも通りの姿勢と気持ちで、予算や期限の管理や、事故のないように安全管理などを意識しているというところも大事な要素なのかなと感じました。
こういう取り組みを通して、様々な理由で誰もが諦めてしまうようなところでも、『青葉組があの山を森にできたんですか!』と、驚かれるようになったら面白いし、青葉組の強みになっていくはずだとのことでしたし、みんなが楽しそうにしていたのも印象的だった、と笑顔を見せてくれました。
チームとしても、これまでそれぞれが人生で学んできた知識を活かしたり、それを学んだりする場所にもなることを期待しているそうです。
熱い思いを共有できる仲間達
お話を聞いている中でもう一つ、感動したことがあります。それは、心に持った熱い想いをほかの方の前で胸を張って発表できて、聞く側もそれを温かく受け入れる雰囲気が当たり前にあったことです。
ともすれば、未来の話というのは少し恥ずかしかったり、みんなの前だと照れてしまってはぐらかしてしまうこともあるかと思うのですが、誰もそういうことがなく、聞く側も茶化したりせず、一人一人が話し終えるまでしっかりと耳を傾けていました。こういうところでもお互いを尊重し、仲間として大切に思い合っているのだろうな、と感じることができました。
実際に現場を歩いてみて
最後に現場を案内していただいたのですが、素直な感想は『こんな急な坂を刈り払い機を持って登って、さらに作業までしているの!?』です。
滑りにくく歩きやすい靴で行ったつもりですが、どこに足を置ける場所があるのか、こんな坂でどうやったら立てるのか、登れるのか、私にはさっぱりでした。手を引いてもらわないと登れない場所も多く、そんなに歩いていないはずなのにすぐに息が切れました。
ただ、上の方から見る景色や風は清々しく、とても気持ちが良かったです。現場の方が毎日大変な思いをして森を切り開いたからこその景色なのかと思うとこみ上げるものがありました。
さいごに
現場に行くまでは、『大変なお仕事なんだろうなぁ』という気持ちも想像でしかなかったのですが、今回実際に歩かせていただくことで、どれだけ大変なのかを少しだけ見ることができた気がしました。
だからこそ、想いがなければできない仕事なのだろうとも思いました。
ヨゴロウ畑。ここが目的の地ではなく、始まりの山になる!ここから何が始まるのだろう!と、終始ワクワクした気持ちでした。そして、私も皆さんと一緒にこの先の未来を見ていきたいと強く思いました。
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