見出し画像

自然資本を皆で育てる実践者コミュニティ“UERUT FOUNDER”とは

皆さんこんにちは。青葉組の中間です。
このたびリリースした”UERUT”の事業開発を担当しています(UERUTの概要や始めた背景についてはこちらをご覧ください)。

僕は、大学時代に林業を専攻・研究してきた経歴(九州大学林学科)と、企業・行政向けのコンサルティングを行ってきた経歴(野村総合研究所)がありまして、その両方の経験を踏まえて、森林の価値と企業活動をどう繋げるか?を日々考えています。

週末長野で二拠点生活をし、普段は山登りを楽しんでいます


今日は、そのUERUTの中でも、特に企業担当者向けのサービス”UERUT FOUNDER”の概要や、重要なキーワードである”自然資本”について、これまで色んな企業担当者とディスカッションをしてきた内容を踏まえて、僕の視点から説明したいと思います。


増える企業からの”脱炭素”に関する問合せ

過去から企業が森づくりに関与する取り組みは、”CSR”が中心でした。その多くが、事業活動との結びつきなどをあまり明確にせず、イメージアップ・広報活動の一環として行われていたものだったと思います。

そんな中で、我々が創業した2020年以降、多くの企業から植林事業との連携について問合せを受けました。その大半が”脱炭素”の文脈で、経営目標として掲げたCO2の排出削減のために、森林をどんどん活用・確保していけないか…といった相談でした。

CO2で森を評価されると、森の価値が矮小化される

これらの問合せに対応して議論している中で、色々と違和感を感じていました。企業側が、森林の価値をCO2でしか評価できていないということです。森が持っている様々な価値(水源涵養機能、土砂流出防止機能、生物多様性の保全…等)が無視され、逆に森の価値が矮小化される感覚を得ました。これはちょっと違うのでないかと。

結果として、CO2以外の価値も含めて一緒に高めていきたい!という話に共感をいただいたENEOSさんとKDDIさんと、植林事業にて協業を行うこととなりました。それぞれ、単純な”再造林”ではなく、生物多様性や水資源への配慮等の一工夫を行った植林を行っています。ぜひその取り組みも別途記事があるのでご笑覧いただけると。

木の苗を手で1つ1つ植え、害獣に食べられないようカバーをしています。

この両社との議論において、我々自身も森の価値を改めて捉え直して、下記のようなマップで森林から得られる価値を整理してきました(随時更新中)。


自然資本に配慮した植林・育林に関連する生態系サービスマップ(社内資料より)

フローとしての”生態系サービス”とストックとしての”自然資本” 

我々の暮らしや事業活動は、水、空気、土壌…等々、様々な資源の恵みによって支えられていますが、この我々が受ける自然の恩恵のフローを生態系サービスといい、その生態系サービスを生み出すストックを自然資本といいます。

森林をストックとして捉えて、様々な生態系サービスを提供し続けられる自然資本のポートフォリオを作っていくのが、植林・育林専門企業である青葉組のやるべきことではないか…という考えに至っていきました。

自然資本プロトコル(2016)より画像引用

林業を”自然資本を成長させる”事業に転換していくには仲間が必要

一方、この取り組みはかなりチャレンジングです。我々は植林・育林の専門集団ではあるものの、”自然資本を成長させる”ことにフォーカスした時、その専門的な知見・ノウハウ・経験はまだまだ足りません。試行錯誤しながら、この技術・理論を現場に確立させるにはどうすればよいのか、専門家に都度相談しながら悩んでいました。

同じ悩みが企業の担当者側にもありました。CO2のみにフォーカスすることに違和感を感じている担当者は多くいたものの、何をどうすればよいのか。CO2以外でどう評価すればよいのか。それは誰も正解をもっておらず、考えている人ほど、めちゃくちゃ悩んでいるという状況でした。これは、みんな、実践しながら一緒に考える場が必要なのでは?ということで、UERUT FOUNDERのサービスに行き着いたのです。

UERUT FOUNDERの概要・特徴

世の中には、いわゆる”森づくり体験”や、”研修・勉強会”のサービスが存在しますが、UERUT FOUNDERは”実践”を重要なキーワードとして、下記4つのステップを踏んでいきます。

  • STEP1 企業価値向上に繋がる自然資本への投資を企画する

  • STEP2 プロとともに森づくりを実践し、環境変化を観察する

  • STEP3 自然の複雑性を体感し、自社事業との接点を再発見する

  • STEP4 学びをもとに、自然資本も企業価値も成長する事業をはじめる

現場に実際に足を運び、生物や周辺環境を学んでいきます

STEP1 企業価値向上に繋がる自然資本への投資を企画する
色んな専門家に話を聞いても、インプットだけでは結局アクションに繋がらないという声は多く聞きます。UERUT FOUNDERは、寄附プログラムでも研修プログラムでもありません。企業価値向上につながる「自然資本投資」を一緒に企画していく場として、年間10組限定で、事業価値を向上させる森づくりのプラン作成を支援していきます。

STEP2 プロとともに森づくりを実践し、環境変化を観察する
入会時点で森林に関わる知識はいりません。企業価値につながる森とそのストーリーの仮説を、森林生態系のプロとともにブラッシュアップしていきます。地形や周辺の植生を観察しながら植栽する樹種を選定して森を設計。そのプランをもとに、青葉組の職人が植林して森を育てます。森が育つまでの環境変化を一緒に観察していきます。

UERUT FOUNDER トライアル観察会の様子

STEP3 自然の複雑性を体感し、自社事業との接点を再発見する
定期的な現地観察会やレポートを通して理解し、植林後の自分達のフィールドを観察。自然や生態系の複雑さや面白さを体感しながら、自然資本と自社事業の接点や関連性を、手触り感をもって改めて検討していきます。我々が設計するのではなく、参加者が学びながら実際に設計をやってみて、そのアウトプットに対してレビュー&アドバイスするスタイルです。

STEP4 学びをもとに、自然資本も企業価値も成長する事業をはじめる。
実践から得られた学びをもとに、自社事業と自然資本の接点に根ざした新たな事業をスタートできるよう、我々が保有する植林候補地から、実践の場をご用意します。事業スタート後も、UERUT FOUNDER参加者同士がつながり、実践の知見を共有できる場を提供し続けます。

どうやったら森づくりを企業価値に繋げられるかを車座で議論

目指すのは、参加者同士でコラボ・情報交換していく実践者コミュニティ

これらの特徴をもって、自然資本の成長に対するアクションを具体化していく仲間を集めていきたいと考えています。このコミュニティにおいて、青葉組は事務局ではなく参加者のひとりです。我々も一緒に考え、試し、でてきた成果を発信していく立場として関わっていきます。

これも個人的に感じている課題感ですが、”自然資本”という大きなテーマに対して、個社や個人で対応していくのはかなり無理があると思うのです。一方で、国や機関が統一的なルールや方針を決めていくのを待っていても遅すぎるとも思うのです。この状況においては、想いと行動力のある有志が集まり、先進事例を作り、それ自体を国の方針に反映させていく、そんな動きが必要だと思うのです。

そう、僕らが目指したいのは、自然資本を成長させる実践者が集まる”UERUT FOUNDER”というコミュニティです。

UERUT リリースイベント・個別相談会を開催します

この度12/4に、UERUTリリース記念イベントを開催します。
上記にて概要を説明したUERUT FOUNDERの説明会も兼ねておりますので、もしご興味がある方は是非下記からイベント参加いただけますと幸いです!

ディスカッションや懇親会もあります!ぜひご参加ください!

イベントのお申し込みはこちらからご応募ください。

また、個別のオンライン相談会も受け付けております。下記フォームからご相談事項や日程候補など入力いただき、現地観察会や、定期イベントなどでは、参加者同士で、どういった意図で、どういった森づくりを設計し、それをどのように本業の価値に転換しようとしているのかを、お互い情報交換をする場も設計したいと思っています。

個別ご相談窓口フォーム 

ぜひ、これからの新しい森づくりを一緒に実践していきましょう!


◾️会社ホームページ


いいなと思ったら応援しよう!