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自然資本の価値を知り「みんな」で森をつくる。UERUTは100年先の未来への第一歩
課題を解決することにやりがいを感じ「林業がいちばん課題が多い産業だったから」という理由で、大学では林業計画学を学んだという「株式会社GREEN FORESTERS」取締役の中間康介。新サービス「UERUT」は、どのような林業の課題を解決し、どのような未来をつくり出す仕組みなのでしょうか。UERUTの構想を詳しく伺いました。(聞き手/平川友紀)
きっかけは林業の働き方改革
ーまず、中間さんが代表の中井さんや顧問の中川雅也さんとともに「株式会社GREEN FORESTERS」を立ち上げることになった経緯を教えてください。
僕は当時、ベンチャー企業を支援する仕事をしていました。その中でたまたま、林野庁内で、林業の課題を解決するために、ベンチャーや異分野のアイデアや技術を活用できないか…という話がでていたんですね。そこでこれまでの経験を基に書いた企画書が公募審査に通り「サステナブル・フォレスト・アクション(SFA)」というアクセラレーション・プログラムを立ち上げることになりました。
そこに審査員として呼んだのが、岡山県西粟倉村で森林管理会社「株式会社百森」を経営していた中井だったんです。そしてプログラムの参加者側にいたのが、和歌山県で育林業を手掛ける「株式会社中川」の中川さんでした。造林専門の事業者が少ないという話から、僕らが造林会社を立ち上げて全国展開していこうじゃないかと盛り上がり、それが会社の設立につながりました。
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ー林業における働き方改革が注目されて、複数のメディアで取り上げられましたよね。
SFAではいろいろな事業アイデア・企画のプレゼンを聞きました。その結果、林業に関する便利なツールやシステムがあったとしても、それが有効に活用されるかどうかは、結局経営者や使う人のモチベーション次第なのではないかということを感じました。
林業は自然に対峙しながら、自分とも向き合わなければいけない仕事であると、林業経験者の方々からお伺いしました。単なる作業だと思ってやるのか、意思をもっていい森をつくろうと思ってやるのかで、仕事の丁寧さは変わってくるのだと。そこで3勤1休、1日6時間勤務や日給月払いなど、現場職人のモチベーションが上がる仕組みや働きやすさを会社の強みにしていくことに取り組みました。それがUERUTにもつながっていくんです。
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本当の森づくりの価値をどう訴求するか
UERUTが始まるきっかけには、大きく二つの話があります。一つは、スタッフの冬の仕事として木工品をつくること。もう一つは、働き方改革をずっとやってきたけれども、待遇改善の限界と森づくりの限界を感じ始めたということです。
造林事業は、補助金によって成り立っているビジネスモデルです。そうすると単価が一律で、売り上げの上限が決まっている。だから収益を上げようと思ったら、作業の効率化・迅速化を図ることが中心となります。
でも、そもそも森に関わる仕事をしながら、地元や地方での暮らしを充実させたいと思ってうちに来てくれるような人が、みんな作業の効率化にモチベーションを保ち続けられるかと言ったら、そうじゃないかもしれないなと。また、これまでどおり、ひたすらスギ・ヒノキの再生産を進めるだけでいいのかという疑問もある。
けれども補助金がベースである以上、使い道は決められていて、スギ・ヒノキを予算のルールどおりに植えるという作業以外は評価されないんです。だったら、補助金以外に森づくりの工夫が評価される仕組みをつくり、植林という仕事の単価を上げることができないかと考えました。
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ーそこでつくった仕組みがUERUTということですか。
そうです。UERUTには、僕たちの生活が自然資本の上に成り立っていることに気づくきっかけとして、木工品に触れながら森に関わってもらう個人向けの「UERUT PARTNER」と、森づくりの実践を通じて企業が手掛ける事業と自然資本の接点を感じてもらおうという企業向けの「UERUT FOUNDER」があります。
企業向けの話をすると、自然資本に対して問題意識をもっているけれども具体的なアクションにつなげられていない企業担当者はすごくたくさんいて、よく相談を受けるんですね。でも実際には、どんな企業であってもいきなり森づくりにお金を出そうとはしてくれません。
なぜなら、自分たちの会社の事業の内容と、森づくりによって得られる自然資本の価値とのつながりがイメージできていないからです。本来は、どの事業もなんらかの自然資本に依存して成り立っているのですが、そこがイメージできていないと単発のCSR活動で終わってしまいます。それだと、本当の森づくりの価値はまったく訴求できません。
だから、そもそも森はどういう価値をもっているのか、自分たちの事業がどういう自然資本に依存しているのかを知ることが大切なんです。僕たちは、その事業がどのような自然資本の上に成り立っていて、森の価値と企業価値の接点やストーリーを一緒に考え、実施すべき森づくりの活動を明確化するようにしています。すると、より良い森づくりをしていくことは、事業がさらなる強みを発揮することや持続可能性を高めることにつながっているのだと理解できるようになる。
しかも僕らは造林会社なので、フィールドをもっていて、すぐに森にアクセスできます。実際に植林できる技術もある。だから実効性を担保することにもなります。つまりUERUTは、お勉強の場ではなく実践するための場だと。そういう場は、今までなかったと思うんです。
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UERUTは豊かな森づくりのコンソーシアム
さらに、UERUTの参加企業同士も情報共有していけるようにしたいと考えています。森を育てるのはすごく時間がかかることで、通常の事業活動とあまりに時間軸が合わない。企業が単独で取り組む課題としてはスケールが大きすぎると思うんです。だからこそ、いろいろな企業に参加してもらい、ノウハウを共有しながら「みんな」で森づくりをやっていく。最終的には、多種多様な会社が集まったコンソーシアムのようなものになっていくことをイメージしています。そして、森づくりはみんなが当たり前にやっていることだというムーブメントまでもっていきたい。
ーなるほど。UERUTはコンソーシアムなんですね。そしてそれがムーブメントを生み出していく。
市場がないのにそれぞれが小さく尖ったことをやっていても拡がりがありませんし自然資本を一方的に消費していることに対しての免罪符の範囲だけで森づくりを考えていると、ただ植えただけでよしとなってしまう。
そうではなく、こういう植え方をすると生物多様性に貢献できたなど、お互いが得た知見や情報を共有することが大切で、それを各企業が自分たちの商品やサービス、企業価値とつなげていくことで新たな市場が生まれていくんですね。つまり、普段は競合している企業同士も、協調してみんなでやらなければいけない領域として、自然資本への投資があると思っています。そうすれば自然資本も回復するし、市場が生まれて企業の事業にもプラスになり、僕らも持続可能な形でより良い森づくりを続けることができます。
あともう一つ、正直に話すと、僕らの勉強ということもあるんです。結局、自然資本に配慮した森づくりをどうやればいいか、もしくはやってきたものをどう評価して観測していくかというノウハウについては、個別事例はあったとしても、体系立って整理されたものはありません。こうやればいいという方法がはっきり決まっていないからこそ、僕らも一緒に勉強させてもらいたい。
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ー確かに、UERUTの造林計画は、スギ・ヒノキ単純林の植林とは異なる一方で、原生林に戻す計画でもありませんよね。そして植えた苗が成長するには数十年かかるから、結果はすぐにはわからない。だからこそ、今始めるための理解者であり、協力者が必要だということですね。
そうですね。結果がわかるのがあまりにも先だから、なかなか一歩が踏み出せない。だから、100年先の豊かさに向けた一歩目を、みんなで一緒に踏み出しませんかと提案しているのがUERUTなんです。
UERUT note https://note.com/greenforesters/
青葉組 website https://greenforesters.jp/
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UERUTへの参画方法
①12月4日(水)のUERUTイベントに参加する
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お申し込みは以下のリンクからどうぞ▼
②UERUTをクラファンから支援する
12月1日から現場の木を使った木工ブランドUERUTをリリースしました。ぜひ、シェア&応援よろしくお願いします!
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