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木は植えて終わりじゃない ~大きく育てるために大切な仕事「下刈り」~

先日はGreenForestersのイベントで、人生2回目の植林体験をしてきました。木は一人前になるまでに何十年もかかるし、育てるのは手間暇かかるよね、と頭では理解しておきながら、実際に植林体験してみると、、想像以上に大変な仕事で頭が下がりました。前回の記事でもご紹介させていただきましたが、木を育てるには植林して終わり、じゃないんです。本日は、植林したあとに大切な仕事「下刈り」についてご紹介したいと思います。

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1、下刈とは

畑で野菜を育てるとき、雑草が生えてきたら養分を奪われないように、と雑草を抜きますよね。それと同じように、ヤマに木を植えた後も雑草や雑木(植えた木以外の木)の刈取りが必要です。このことを「下刈り」と言います。植林したあと何もせずに放置しておくと、雑草や雑木に覆われ、太陽の光や雨水が十分に行き届かず生育不良を起こしてしまいます。

下刈を行うタイミングは雑草が伸びきる夏です。植栽してから5~10年までの間(他の木よりも背が高く成長するまで)毎年行います。

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2、こんな機械を使ってます

刈払機が主流ですが、エンジン式が開発される前は人力鎌で下刈りを行っていました。刈払機の導入により作業効率は格段にあがりましたが、近年では更に省力化を図るため、高性能林業機械の導入も進められています。

①刈払機
下刈りといえば刈払機。草刈機といえばイメージつくでしょうか?エンジン、シャフト、回転鋸(丸ノコ)で構成された草木を刈っていく機械です。林業では、柔らかな草だけでなく、時には鉈などが必要な強靭な雑木も刈取る必要があるため、農地や庭園などで使用されているものよりも刈る力が強い機械を使用しています。

②高性能林業機械(自走式刈払機)
林業全体でみると高性能林業機械の導入は約90%が伐採や集材(伐採した木を森林内から道沿いまで集める)を目的としたもので占めています。一方で、木を育てるために必要な経費のうち、下刈りが占める割合は4割にも達します。自走式刈払機の導入はまだまだこれからですが、導入が進めば省力化が期待できます。

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3、うまくするためのコツ(刈払機を使用した場合)

実は....林業に関する記事をこうやって書かせていただきながら、恥ずかしながら実際に木を育てた経験はほとんどありません。。植林は人生で2回、枝打ちは人生で1回だけ。本日のテーマ「下刈り」は経験ゼロ。。なので実際に現場でお仕事されている方に下刈りのコツをお伺いしました!

①次の一手を考える
炎天下の夏に行う下刈りは、体力との勝負でもあります。手元だけでなく、進む先の状況を確認しながら、次はあそこに移動しよう、などと行動を先に考え、無駄な移動を抑えながら長く続けられるような工夫が大切です。

②苗、石、切り株の確認
せっかく植えた苗木を誤って伐ってしまわないために、下刈りを行いながら、苗か雑木か、の判断を瞬時に行う必要があります。また石か切り株か、の判断も重要です。刈払機の右側に石や切り株などの障害物が当たってしまった場合は、刈刃部分が右側方に跳ね上げられとても危険だからです。下刈りを行う際は周りに人がいないか、石や切り株がないか、安全に十分気をつけて行ってくださいね。

 木を育てるのは時間がかかるだけじゃないんです。危険な仕事でもあります。木が育つまでのストーリーを知れば知るほど、木材製品に対してより一層の愛着をもってしまうのは私だけでしょうか?次回以降もどうやって木が育てられるのか、さらに紐解いていきたいと思います。お楽しみに!

■氏名:上野 みさこ
■所属:GFnote編集部ライター
■紹介文:地元京都は山に囲まれた盆地。自然は身近な存在だった。学生時代に始めた登山をきかっけに、日本の美しい自然を守っていきたいと思うようになる。現在はGIS(地理空間情報)に関する仕事をメインでしつつ、いろんなことに挑戦中。

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◆参考文献
下狩りとは下刈りのコツ小型自走式刈払い機林業機械の変遷高性能機械の保有状況


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