ひとつの歌が、思い出のスイッチを入れた!
雨の日は・・紅葉した葉が路面にいっぱい。
もみじって 散っても、雨にぬれても、どうしてこんなに綺麗なんだろうね。
余裕を持って出かけてきたために、早く着き過ぎちゃった。
あまり早く施設に入ってもいけないと思い、駅前の公園をぶらぶら歩くと、傘をさす人々が忙しく行きかう。
のんびりと歩いているのは私と鳩だけ。
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会場となっている部屋に入ると、すでに出席者のみなさんが待っておられます。軽く会釈をしながらピアノの前へ行く途中、
「先生、先生! これ見て!」
1人の男性が写真を2枚テーブルに置いて、私を呼んでいらっしゃいました。
「この前、サーカスの歌って言ってたやろ?
木下サーカスってありましたねぇ~、って先生しゃべっただろ?」
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前回、この歌をプロブラムに入れていたのです。
他の場所である人からリクエストされた歌ですが、
そのときは(『美しき天然』?聞いたことないなぁ~)と思ったのです。
調べていくうちに、メロディーだけは聞き覚えがあるなぁ。
サーカスや、チンドン屋の呼び込みにもよく使われた、との説明を見つけ、
(そうだわ、私の中でもなぜかサーカスのイメージがある)と思って、調べ続けていました。
なんと、明治38年にできた歌で、昭和20年代初期まで音楽の教科書に載っていたとか。
あぁ、それで高齢の方たちにとっては知ってる人が多い歌なんですね。
皆さん、お口が動きます。
歌っていらっしゃる!
歌詞は 日本の美しい風景を格調高く綴っています。
作詞 の武島羽衣と言えば、かの滝廉太郎の『花』(春のうららの・・・)をつくった人ではないですか!
ますます、興味は尽きず、You-tubeにUPされている音源を色々見てみました。メロディーは 歌いやすい、短調ですがなんか日本の歌だなぁ~と感じる調べです。楽譜も簡単に作ることができました。
前回、トークの場面で、この歌について少しおしゃべりしていたのでした。
私にとっては、サーカスとイメージが結びついていることも。
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その男性が見せてくださった写真は、まさに木下サーカスのテントの前で撮った写真でした。
「あのあと(前回のこと)自分の部屋へ戻ってから、古い写真を出して来てみたんよ~。たしか、昔木下サーカス行ったよなぁ~って。
あった、あった!
ほら、これが僕。」
一緒に行った数人の友人たちとサーカステントの前に並んだ若いときのお顔が写っていました。
「おかげで、昔のこと、なつかしく思い出したわ~。ここに写っている人たちのことも、ああ、そうだったなぁ~って思い出して・・・」
とても、晴れやかな笑顔を見せて下さった。
歌ひとつで、昔の自分を思い出す、その頃の思い出がよみがえってくる。
イベントが終わって、大きな声で「ありがとうございました!!」とおっしゃったので、私も「貴重なお写真見せて頂いてありがとうございました!」
とお返事すると、にこにこしながら部屋を出て行かれた。
どの歌が、どんな思い出に繋がっているかはわからないけれど、
今までにも、たくさん その人なりの物語をお話してくださるケースがあったけれど、
やっぱり、いいな、特に「昔の歌」 ね。