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代弁してくれてありがとうと思った漫画
いづれコミックエッセーのような形でゆるく、それでいて人の心に優しく響くように描きたいと思っていたテーマがあります。
けれどもデリケートなテーマだけに表現方法がまとまらずグズグズしていた時、私が描こうと思っていたものに絵も言葉も近いコミックエッセーをnoteの創作大賞2023応募作品の中から見つけました。
その作品がこちらです。
私には双子の姉がいるのですが、よっちゃんと同じく統合失調症です。
3、4年前、姉が精神病棟に入院したと母から連絡がきた時のショックは大きく、おなかの中にいる時からずっと一緒だった一卵性の双子の姉の異変になぜ一番先に気づかなかったのかと自分を責めた時期もありました。
それを越えてたどり着いた境地は、「今の姉の方が好き」。
子供とは思えないくらい聖人君子だった小中学生の頃より、今の「変」な姉の方がずっと自然でいい。
そして今まで見て見ぬふりしていた姉の変化に真っ向から向き合おうと思えるようになった今の自分も好き。
この作品は、私がうまく書き表せなかった姉への気持ちを見事に描いてくれていると思いました。
一番共感したのは、姉であるよっちゃんの存在を受け入れられなかった奥敬子さんの意識が大きく変わったきっかけを描いている場面です。
「人と人との本当の通じ合い」ってなんだろう?生まれる前に家族が示し合わせて役割を決めているとしたら?そういう通じ合いがあるとしたら?
と考えて、よっちゃんの役だけはムリだという思いに至るシーンがあります。そして最後はこの通り、よっちゃんの存在が光を放ち始めます。
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私も似たような発想を持っていて、生まれる前の話し合いの中で姉が先に生まれることを決めて、私が背負いたくない長女としてのプレッシャーをまるっと引き受けてくれた気がしていたんです。
姉は子供の頃から、泣き虫な私の世話をしてくれて、人一倍頑張り屋で優しい人でした。
それ故に、いろいろな人間関係の中で心が疲弊して、ついにはシャットダウンしてしまった。
でもそこから、平穏に見えた私の家族:真面目な父、良妻賢母の母、優等生だった姉、個性をひた隠しにしてそれなりに世間に合わせていた私、全員が一回ぶっ壊れて、今それぞれが新しい家族のあり方を模索している真最中です。
奥敬子さんとよっちゃんの世界観が書籍になってくれたら、遠くにいるデジタルに弱い私の家族にも届けることができるのになと思っています。
私の家族だけではありません。
「どんな人もそのままで素晴らしい」
このメッセージが広がったなら、人知れず生きづらさを抱えている全ての人に希望の光がさすでしょう。
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