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前日

友達と会う約束があったが、
支度が終わってから、キャンセルの連絡が。
体調を崩してしまったらしい。
もちろん友達の体調が第一優先なのだけれど、
顔面工事も、着替えも完了しちゃったな〜。
あとは髪だけセットすれば…。
あ、髪、綺麗にしとくか。
思いつきで美容院へ。

なんて便利な世の中。
その日の朝に、その日の昼間の予約ができるなんて。
美容師さんも急に予約が入ってびっくりですよね、
すみません。
ドタキャンされた女が伺います。

地元を離れて数年経つが、
なかなか固定の美容院が見つからない。
技術はもちろん、
イメージ共有がしやすく、話す雰囲気が合い、
数時間が苦にならない所がいいな。
と、何店舗か試しているが、
未だに出会えず。
今回も初めましての美容院。

本日お忙しい中、
ドタキャンされた女を担当してくださった方は、
私のざっくりした要望に、黙々と近づけてくれ、
しかも着ているTシャツのデザインが、
わかる人にはわかる進撃の巨人。
これは個人的に高評価。

シャンプー台に移動。
目を瞑り、このニート期を振り返る。



ニートなりに悩み、進み、転び、また悩む日々。

今までの仕事は、
「これになりたい!」
と目指す場所があり、看板があり、
上りも下りも茨の道も、全力疾走してきた。
それが今回辞めて、
初めて道が無くなり、
ただただ広い大地で迷子。

「私は何になりたいんだろう。」
と道を探したり、穴を掘ってみたり。
ただ、ふと気がついた。
必ず「何か」にならなくてもいいんだ、と。
「何か」になろうと必死すぎた。
行き先や、目的地に向かう看板ばっかり探してた。
周りの景色が見えてなかった。
そう思って一旦寝転んでみた。
広い空を見ながら、
ゆっくりゆっくり考えた。

私のなりたい私。
 身近な人を笑顔にできる人になりたい。
 愛してくれる人に倍の愛で返せる人になりたい。
 私が愛せる私でいたい。

そう思ったら、
道はないけれど、歩き出せた。
何となくだけど、進む方向がわかった。
まだ道も看板も見つからず、
全て予感でしかないけれど。
自分を信じて進んでみよう思った。



そんな事を考えていたら、
「仕上がりこんな感じですけど、どうですか?」
と美容師さん。
鏡にはサラサラストレートの見た事ない女性が。
あぁ、私か。
生まれつき癖毛で、
パーマ風にセットするのがお決まりだったが、
「ストレートも似合いますよ。」
と美容師さん。
知らない私、発見。
美容師さんが着てるTシャツのリヴァイ兵長も、
心なしか笑っているように見えたり。
…いや、見えないか。
この方にはまたお願いしたいかも。



家に帰り明日から働くための準備。
緊張、不安、楽しみ、やる気…感情色々。
新一年生の気分。
何回も一年生は経験してるのに、慣れない感情。
きっと、毎回飛び込む世界が違うのと、
毎回違う私が飛び込むから。

お風呂上がりにもう一度、鏡を見つめる。
ちょっと癖毛が戻ってきてるけど。

私の知らない私、明日から頑張るぞ。
心臓を捧げよ!

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