お部屋探しSNSというものを考えた

 5限を終え上ヶ原キャンパスから東へ帰るとき、6両の今津線は帰宅客でごった返す。西宮北口駅に着き、帰宅客が一斉に解放されると、反対側の階段から多くの人々が電車に乗り込まんとする様子が見える。大阪などで仕事を終え、今津線沿線の家に帰る帰宅者たちだ。
 ここで私は考えた。今津線の沿線に住んでおらず、通勤通学のために下りの電車に乗る人がいる。一方で、同じ数今津線の沿線に住んでいて、大阪に通うために上りの電車に乗る人がいる。少なからぬ数が、それぞれの住居を交換できるはずだ。

 At HomeやSuumoでは家探しをするために関西→賃貸→路線選択→駅選択→条件選択→検索という煩雑なステップを取るが、この検索設定は保存できる。要は何度も同じ検索ページを何日おきかに見て、新しい物件を見つけてね、というユーザーエクスペリエンスを想定しているのだろう。また、希望条件に合致しそうな物件があった場合は、その物件がEメールで紹介される機能もある。
 しかしこのような日々消えては新たに追加されていく物件を確認するには、検索よりもSNSのような、スワイプすれば更新されるユーザーエクスペリエンスが望ましい。また営業にとっても、いちいち反感を買うリスクを負いながら電話をする手間が省ける。

 まず、部屋探しをしたい人は、希望の条件(キッチン、アクセス、希望入居時期など)を登録して、該当の物件を見ていく。希望に合致する新たな物件が投稿された際には、通知タブに表示される。
 また希望についての詳細やその理由について、その記事をポストできるようにする。希望の立地に住む人にDMを送って聞きたいことを聞いたり、住居の交換の交渉を可能にする。
 営業は不動産業者用のアカウントを持っていて、登録したアカウントとその希望条件をそれぞれスワイプして閲覧できるほか、自社で紹介できる内容と登録された希望条件の合致するアカウントを検索できる。その人の記事も閲覧できるので、この人は料理が趣味だからキッチンの広い部屋を紹介しよう、といったパーソナライズされた物件の紹介が可能になるだろう。
 即座に紹介できそうな場合は営業がDMでその物件を紹介する。希望入居条件と合えば内見に向かう。

 またこのようなSNSの存在によって、人気の物件や顧客の需要を不動産会社は直接把握できるようになるだろう。8畳未満のワンルームのような不人気な賃貸物件を建設するインセンティブも薄れるだろう。また入居者にしてみても、不満の多い間取りをSNSを通じて知ることにより、より質の良い物件や自分に合った物件を見つけるリテラシーを高めることになるだろう。このような条件が積み重なれば、国内で良質な物件が徐々に質の悪い物件を淘汰していくきっかけになるかもしれない。

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