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実体験を元にしたフィクションです。①
『育休ラスト1ヶ月」』
朝、目を覚ますと、隣で我が子が小さな寝息を立てていた。もうすぐ1歳になる。ついこの間まで首も座らず、ミルクを飲んでは眠るだけだったのに、今ではハイハイで家じゅうを駆け回り、つかまり立ちまでできるようになった。
あと1ヶ月で育休が終わる。
復帰したら、朝は慌ただしく家を出て、帰宅する頃には我が子はもう寝ているかもしれない。今のように、昼間の成長をすぐそばで感じることはできなくなる。そう考えると、胸の奥がぎゅっと締めつけられるようだった。
妻が出かけた後、小さな声で僕を呼び、腕を伸ばしてきた。抱き上げると、にこっと笑う。たった1年の育休だったけれど、僕の中では、今までのどんな時間よりも濃密だった。
仕事に戻るのは不安もあるし、正直、寂しい。
でも——。
「よし、今日は思いっきり遊ぶか!」
まだ1ヶ月ある。この1ヶ月で、できる限り我が子との時間を噛みしめよう。仕事が始まっても、この日々を思い出して、家に帰ったらまた全力で向き合おう。
育休の終わりは、きっと新しい家族の形の始まりでもあるのだから。