ビニ傘讃歌

ビニールの傘が好きなの
安くって何者でもない
何にでもなれるわたしに
よく似合う

たかが傘だよ
高い金かけて雨に備えるの
わたしらしくはないじゃない　

けれど雨降る中雑に
ずぶ濡れになれる女に
なりたくはない

コンビニで
100円ショップで
薬局で
買うのビニ傘

無くしたらまた買う　
壊れるまた買うの

わたし怖いの何もかも
無くなるその日愛着を
覚えたもののその不在
その不在に泣くわたしなど
この世にあってはいけないの

透明不明脆弱な贅沢を買う
ビニ傘は自由の銃よ
バーンバンバン雨が降る
バンバンバババン闇が来る