サブリミナル効果とは?|脳で何が起きているか考察してみた。
サブリミナル効果
皆さんは、「サブリミナル効果」というものを聞いたことはありますか?
何かしらの画像がたったの10ミリ~50ミリ秒提示されただけでは、私たちはそれが何かを「見る」ことはできません。
「見えた」という意識に上がってこないのです。
しかし、人の顔の写真とそれをバラバラにしてつなぎ合わせた画像のどちらかを10ミリ秒間だけ見せて、「今の画像は人ですか?それとも人ではない何かですか?」と聞くと、なんとなく人に見えた/見えなかった、というように見事正解を言い当てることができるんです。
これが、サブリミナル効果です。
ここで、このサブリミナル効果に関する面白い研究を紹介します。
あるアメリカの映画館で、映画「Picnic」の上映中に5分おきに「コカ・コーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」という文字を表示するという実験が行われました。
その文字はたったの1/3000秒間しか表示されないので、当然私たちは「見えた」とは感じないわけです。
しかしその結果、コカ・コーラの売り上げが18.1%、ポップコーンの売り上げが57.8%上昇していたことが分かりました。
すなわち、無意識の中で「コカ・コーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」といった文章を読み、その指示に従ってしまっていたというわけです。
私たちの脳がいかに単純か、よくわかりますね。
この研究結果から、サブリミナル効果は催眠効果を生むとみなされ、CMなどの広告にこの手法を使用することは禁止とされてしまいました。
サブリミナル効果はなんのためにある?
実はこのサブリミナル効果、実は哺乳類や鳥類でも確認できています。
とはいっても、無意識に食欲をそそられるために機能しているわけではもちろんありません。
自分に危害を与えるかもしれない敵から、いち早く逃げるためです。
すなわち、「天敵」をじっくり目で見て「天敵だ!」と認知する前に、天敵らしきものがいるかどうかをこのシステムによって見極めることで、「逃げるべきかその必要はないか」をより早く判断しているんですね。
「何かが動いた」「何かが光った」といった知覚だけでなく、「それが何か」をそれなりの精度で瞬時に判断できるなんて、改めて生物の脳システムの優秀さに感心してしまいます。
脳では何が起きている?
では、少し話を戻して、、
我々は、どうして見えていないもの(見えたと感じないもの)を認知することができているのでしょうか?
ここからはもっと掘り下げて、脳で何が起きているのかを見ていこうと思います。
通常、私たちは物体や景色を「視覚野」で見ているとされています。視覚野は後頭部あたりに位置している脳部位で、名前を聞いたことがある方も多いと思います。
脳の活動を画像として見ることができるMRIを使えば、何か物を見ているときにこの視覚野が活発に動いていることが確認できます。
面白いのはここからです。
このサブリミナル効果を体験している状態で脳の活動を見たところ、なんと視覚野ではなく、別の部位が活動していたことが分かりました。
その名も、「扁桃体」と「視床枕」です。
この2つの脳部位は脳の中心部の奥深いところにあり、情動に関与しているといわれています。
ではなぜ、この2つの領域が視覚野より先に反応していたのでしょうか?
この答えは、実は視覚情報の伝達経路にあります。
実は、目から入ってきた視覚情報は、直接視覚野に行くのではなく「外側膝状体」という部位を通っていきます。
この外側膝状体の役割は未だよくわかっていないのですが、これは視床という脳部位に含まれ、先ほど述べた視床枕(こちらも視床に含まれる)及び扁桃体と非常に近い場所にあります。
すなわち、これはあくまで私の仮説ですが、以下のようにまとめられるのではないでしょうか?
目から入った視覚情報は外側膝状体に伝わり、そこから視床枕や扁桃体などの周辺部位、および視覚野に送られる。
サブリミナル条件では視覚情報はほんの一瞬のため、視覚野に情報が行くまでの十分な情報が得られない。→視覚野の活動はみられない。
しかし情動に関与している視床枕や扁桃体には情報がすでに行き渡っているため、見たものが「嬉しいもの(食べ物などの報酬)かそうでないか」「見慣れたもの(人の顔)かそうでないか」「怖いもの(天敵)かそうでないか」が判断出来ている。
終わりに
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!
今回はサブリミナル効果について、その意味と役割、仕組みについてまとめてみました。
具体的な脳部位の名前がたくさん出てきて少し複雑でしたが、今回初チャレンジした手書き脳画像は役に立ちましたでしょうか?(笑)
今後もわかりやすくて面白い記事の投稿目指して頑張りますので、もしよければ スキ♡ の方お願いします!
また、今回参考にした本はこちらです。
この本の主題はこころの科学ということで、子どもの発達障害や愛着形成やについてわかりやすくまとめています。今回の記事ではこの導入の一部分を参考にさせていただきました。
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それでは、また次の記事でお会いしましょう!