ある行旅死亡人の物語のただの感想
積読チャンネルで1番売れた本らしい、ある行旅死亡人の物語。
僕もちゃんと読了したので感想を1つ。
あらすじ等は積読チャンネルがやってくれてるので、そちらに全面的に任せつつ感想を残しておこうと思う。
通読してまず第1に思ったのは、謎に関してはほぼ分からんかったなぁということだ。
この作品では行旅死亡人データベース、身元不明で亡くなられた方の資産等の相続人を探すために警視庁が公表しているデータベース、を記者である著者がなんとなく見ていてるところから始まる。
そこで、3400万円の現金を持っていながら安アパートに住み続け、右手指を全て欠損している状態で、かつ自宅で亡くなられているにも関わらず身元情報が分かる情報がほとんどない老女の死、というミステリーめいた謎の多くがが調査の原動力になっている。
その謎がほとんど分からなかったなぁという大きな感想ととも、まぁリアルはそういうもんだよなぁというこれまたありきたりな感想も抱いた。
読了感はさておき筆者の武田さん記者らしいが、文章にブンガクみがあって読み応えがある。伊藤さんとの共著だったが、全編武田さん視点で書いてほしかったなぁ。
他には、やっぱ瀬戸内海よりの街いいなぁとも思った。
僕は瀬戸内海に異常な憧れがある。
八日目の蝉という映画の誘拐犯の永作博美が誘拐した子供と幸せな暮らしと終わりの舞台となった瀬戸内の島々。
後ろ暗い幸せすらもうっすらと覆う瀬戸内海の暖かい街並みと暖かい人たち。
行旅死亡人のおそらく後ろ暗い謎の理由すらも包みこんでくれているようで、最終的には全てが許されるような気がするのだ。
僕も瀬戸内海近くの島々で最期を迎えれば、ブンガク的な雰囲気の傑作小説でも書けるような気がするので、どこかのタイミングで住んでみたいなと欲深い夢想をする、そんな癒やしくも卑しい感想で締めたいと思う。
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