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機関車トーマスが3Dから2Dに変わった深い理由

幼い頃から親しまれてきた「機関車トーマス」が、かつての3D表現から2Dアニメへと変わったことに気づきました。息子が最近「機関車トーマス」に夢中になり、その姿を見ているうちに、技術や表現が変わっていく過程に興味が湧き、調べてみることにしました。

3Dから2Dへの移行と背景

「機関車トーマス」は2010年から日本で3D版が放映されていましたが、2022年から2Dアニメーションへと移行しています。この変化について、3Dから2Dへの退行とも取れる動きに、どうしてあえて2Dに戻したのか、興味が尽きませんでした。技術的には3Dの方が高度であり、視覚的なリアリティも増します。それにも関わらず、2Dに戻る動きには、いくつかの意図やメリットがあるように思います。

左:2010年から日本で放映している3DCGのトーマス
右:2022年から放映している2Dのトーマス。キャラクターも幅広くなった。

1. 物語表現の幅が広がる

息子と一緒に見ていたトーマスの2Dエピソードには、機関車が空中を飛ぶシーンがありました。この描写は、従来の3Dでも技術的に可能ですが、2Dアニメの表現力によって、より自由で大胆な動きができるように思います。2Dならではの柔軟な表現が、子供にとって夢のあるファンタジーの要素を加え、楽しさや驚きを与えることが可能になっているのでしょう。

2. キャラクタービジネスとしての汎用性

2Dに移行することの利点は、ビジネス面にも影響を与えていると考えられます。2Dキャラクターは、キャラクタービジネスにおけるライセンス商品に展開しやすい特徴をもっています。
例えばおもちゃや文具、さらにはお弁当箱に至るまで、幅広く利用が可能で、その商品によって1点目で述べたような表現の自由さも残しているため、展開しやすいのです。

・3D=リアルな立体感が魅力
・2D=ライセンス商品のデザインに適用しやすい

3Dでは、その立体表現が商品に再現しにくいことも多いです。平面的な2Dキャラクターであれば、プリントやシンプルなアイテム展開も容易であり、子供向け商品としての展開の幅が広がります。

技術発展とコンテンツの本質

この3Dから2Dへの変化は、技術が必ずしもコンテンツの魅力を増すとは限らないという一つの好例です。むしろ、目的やターゲットに合わせた適切な技術選択こそが重要であり、「技術的な進化」だけが常に正解ではないことを示唆しています。技術トレンドに乗ることも大切ですが、その選択が本当にコンテンツの本質を引き出しているのか、再考する姿勢が求められるのです。

・コンテンツの本質を引き出す=技術トレンドの追従✕
・コンテンツの本質を引き出す=再考する力〇

ビジネスへの応用──新技術導入における目的意識

今回の「機関車トーマス」の例は、あらゆるビジネスやサービスにも通じるものです。特に、ソリューションや新技術の提案が求められる場面では、単に最新技術を導入することにとらわれず、真に必要な価値を見極めることが重要です。最新のトレンドや技術を提案するだけでなく、それが顧客やユーザーにとって本当にプラスとなるかを見定め、場合によっては一歩戻る勇気も持つべきかもしれません。

まとめ

機関車トーマスの3Dから2Dへの移行は、一見すると「退化」とも思われるかもしれませんが、そこには計算された意図と、現代の子供たちにとっての親しみやすさやビジネス上のメリットが存在しています。新しい技術が必ずしも最良とは限らないこと、そしてコンテンツやサービスの本質を見極め、適切な表現や手法を取ることの大切さを改めて感じました。

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