「ルール化しよう」って言ってない?
ルール化の難しさと成功への2つのステップ
本日は、新規事業支援の中で感じた「ルール化することの難しさ」について、具体的なエピソードを交えながらお話しします。ルールを策定しても、実際には形骸化してしまったり、現場で運用されずに終わるケースが多く見受けられます。このような課題を解決するために、ルール化を成功させるには2つの重要なステップがあります。
1. ルールを決める
ルール化の第一歩は、明確なルールを策定することです。
例えば、以前支援したある新規事業では、社内のコミュニケーションを円滑にするために「会議は30分以内」「議題は事前に共有する」といったルールを設けることになりました。しかし、このルールの策定には、関係者全員が納得するまでに多くの時間がかかりました。
ポイント
関係者の納得感を得るための時間確保
例えば、上記の例では「なぜ30分以内なのか」「議題共有の具体的な方法は?」という議論を重ねることで、全員がルールの必要性を理解し、受け入れることができました。このように、関係者全員が腹落ちするまで話し合うことが重要です。具体的で現実的なルール設定
「時間厳守」「議題共有」といったルールも、現場の状況をよく観察した上で、実行可能な形で定める必要があります。このルール設定がそもそも課題解決につながらないルールでは全く意味がないですからね。
2. ルールを定着させる
ルール化の本当の難しさは、そのルールを定着させることにあります。
策定したルールを定着させるためには、個人が意識しやすい環境を作ることと、意識に頼らず仕組みとしてルールを落とし込むことが必要です。
個人の意識を促す工夫
視覚化
支援先の会社では、ミッションやバリューをポスター化して会議室やオフィスに掲示する取り組みを行いました。また、デジタルツールを活用して、毎朝ルールをリマインドする通知を送る仕組みも有効でした。伝統的な手法の活用
朝礼で毎日クレドを読み上げる、ルールをスローガンとして唱和するなど、少し古典的な方法も効果的です。どんな手法を取り入れるかはその会社の文化によって馴染みやすい方法を採用する必要がありますし、できれば会社のメンバーで手法自体を選ぶプロセスがあるとより馴染みやすい採用となります。
仕組み化でルールを浸透させる
業務フローへの組み込み
例えば、あるプロジェクト管理の支援では、デジタルツールを使って「進捗報告は毎週金曜日」「週次会議の議題は月曜日までに登録」といったルールを運用フローに組み込むことで、意識しなくても自然と守れる仕組みを作りました。現場に即したルール設計
ここで重要なのは、ルールが現場の課題解決に直結していることです。過去に、運用ルールが現場の実態とかけ離れ、逆に作業負担を増やしてしまった事例も経験しました。現状の課題を正確に把握し、それを解決するルールでなければ、定着は難しいと感じました。
実体験:ルール化にまつわる具体例
支援先の新規事業で、「メール返信は1営業日以内」というルールを設けたケースがあります。このルール自体はシンプルで効果的に思えましたが、実際には「返信内容が求められる水準が曖昧」「対応可能な人数に差がある」といった問題が発覚しました。
その結果、このルールが形骸化してしまいました。この失敗を教訓に、以下の工夫を取り入れることで、運用がスムーズに進むようになりました:
返信の内容と基準を明文化
返信が必要なケースを事前に分類し、対応優先度に応じた基準を設定。人数不足への対応
忙しいときには「簡単な返信のみでOK」とする代替ルールを設け、対応可能性を広げました。
技術トレンドに惑わされない
この話を通じて感じるのは、ルール化は目的を明確にし、その達成に必要な仕組みを考え抜くプロセスが求められるということです。技術トレンドや新しいツールに振り回されるのではなく、本質的に課題を解決するルールや仕組みを設計することが最重要です。
まとめ
ルール化とは、単にルールを策定するだけではなく、それを「定着させる」までを含むプロセスです。
この2つのステップを踏むことで、ルール化の成功率を格段に上げることができます。
特に、仕組み化やDXの観点を取り入れることで、ルールの定着がより効率的かつ持続可能なものになることを意識して取り組むべきだと考えます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?