これは「あなたの責任だ!」と上司に指をさされながら怒鳴られていると、神様に助けられた

神様に助けられるとは、一体どういうこと?と言いたくなる人もいるだろう。

しかし、私は神様に助けられた。この世には、神様なんているはずもないと思い込んでいたのだが、私は初めて神様の存在を意識した。それは、上司に「あなたの責任だ!」と指をさされながら怒鳴られているときのことだった。

本題に入る前に、かんたんに自己紹介をさせてほしい。

私は、発達障害のグレーゾーンだ。うつ、パニックを併発している上、まばたきチックをもっている。(ほんとにやっかいだ)

グレーゾーンの主な特徴を紹介すると

·3人以上になると会話ができない

·言葉の情報のやり取りができない

·マルチタスクは絶対ムリ

端的にはこんな感じだ。もちろん、このような特徴と長年付き合っているのだから、ある程度の解決策をもっている。

たとえば「3人以上になると会話ができないから、可能な限り1対1で会話する。席は、必ずと言っていいほど横並びもしくは90度」「情報は聴覚<視覚のほうがインプットできるので、図解にしながら聞く・話す」「マルチタスクは絶対ムリ!だから、シングルタスクオンリー」等。

今でこそ、解決策を見出せたのでなんとか生きているが、一般的や普通が好きな集団に属してしまうと非常に浮いた存在になるので苦労する。一見すると、人様と見比べても変わりないほど普通だから、集団に属した際に普通を押し付けられるとたまったものじゃない。それが、グレーゾーンの私の主な特徴である。

本稿では、そんな私が体験した神様との出会いについて書く。

ここから本題に入るのだが、私の職場は、地元では誰もが知る超有名ビル。(今はもう辞めてしまったのだが)ビルの清掃である。

そもそもなぜ上司に指をさされながら「お前の責任だ!」と言われたのかというと、私が仕事をおぼえられず、ミスをするからだ。

前述のとおり、私は言葉のやり取りだけではインプットが困難。脳のワーキングメモリー機能が著しく低いのか、聴覚野が機能していないのか、はたまた視覚野との連動の滑らかさに欠けるのかは定かではないが、インプットのためには文字化図解化の必要がある。

しかし、この上司の前ではメモ禁止令が発令されているため、私は窮地に追い込まれていた。たとえるなら、まるでサスペンスドラマの劇中で、断崖絶壁に追い込まれているかのような窮地の状況である。

そもそもなぜメモ禁止令が発令されたのかというと、上司いわく、メモを取ると時間が押してしまう為とのこと。つまり、時間が押すことによって、上司のイライラを増幅させてしまうのである。(これは私がメモの仕方を試行錯誤する必要あり)

しかし、私は言葉だけでは認識が大きくズレてしまう。そのため、私にはメモが必要と幾度と伝えてきたのだが、イライラのピークを迎えた上司は、不快感をあらわに、大声でメモ禁止令を発令した。そして、あまりの威圧的な姿勢におどろいた私は、言い返すことができずに従ってしまったのだ。

それからというもの、メモができない私はミス連発する始末。ミスを減らそうと、間違えないよう慎重に取り組めば時間を要し、頭をフル回転して覚えることに時間を費やすと、覚えた内容をアウトプットするばかりで雑談ができなくなる。つまり、雑談モードの際は、ダンマリキャラ。

世間は口数が少ない人をみると、嫌がらせをしたくなる風潮が残っている。なぜなら、嫌がらせをしてもやり返される心配がないからだ。同僚のストレスも蓄積するため、同僚から報告を受けているであろう上司のストレスは、もはや限界値に達する。

そんなとき、私はビルのメインロビーでミスをした。ミスした私に向かって、これまで見たことがない形相で指をさされながら「あなたの責任だ!」と怒鳴りつけられた。

当然のことながら周囲には大勢いる。地元では誰もが知る超有名ビル。名のある企業がわんさか入っているので、人通りがないわけがない。その場所で、上司は怒鳴った。

そのとき、私には周囲が止まっているかのようにみえた。いや、周りの視線が私達に集まっていたところを考えると、おそらく止まっていたのだ。

すると、一人の年老いた紳士が近づいてきて、次のように話したのだ。

「私には困ったことがありまして、先日使ったトイレの扉の錠が固くてね。なんとかならんかね」

私と上司は、紳士の話に耳を傾け、場所や時間、状況など詳しく話を聞いた。

それからというもの、上司は担当者に電話を入れて確認し、そうこうしていると上司の怒りは収まったようす。

そして、電話をしている上司をよそに、紳士は去り際に私に言った。

耳元で「がんばりなさい」と。

つまり、見兼ねた私を助けてくれたのだった。(まるでスカッとジャパンだ)

清掃スタッフの立場から「お客様は神様だ!」精神で接する必要性はあるのだが、まさか「お客様は神様だった」と感じさせられる体験をするとは。

もちろん、お客様に助けられるようでは、私が未熟であるとも言える。グレーゾーンの特性を改めて理解する必要があると感じたが、同時に、振り返ると上司のようなタイプには理解されてこなかったと気付かされた出来事だった。

今回、これは「あなたの責任だ!」と上司に指をさされながら怒鳴られていると、神様に助けられた話を執筆した。

これまで、この世に神様がいるとは思いもしなかったが、今回の出来事を機に考えを改めた。

少なくとも、私が見た去りゆく紳士の姿には、後光が差していた。いつか私も、困っている方に手を差し出せる人になりたいものだ。

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