CiONワンマンライブ「THIS IS CiON」感想

行ってきました、パシフィコ横浜のシーオンワンマンライブ!

というわけで感想記事です。いつも長々考えこみすぎて旬を逃すので、今日は書いたままで即出ししてみることにしました。ではどうぞ。



・最高のリーダーにしてヒーロー、栞音の誠実さ

栞音が凄かった。

なんといっても、今日の感想はまずこれに尽きます。

これまでもその抜群の歌唱スキルは十分に認識していたものの、最初に強烈なインパクトを刻みつけられた愛佳の存在感と進化の目覚ましさゆえに、どうしても個人的には印象が薄れがちでした。

ですがこのワンマンを振り返ると、今日はとにかく栞音の日だった……という感想がまず出てきます。

たとえるなら、愛佳は規格外の才能とパワーで突き進む、少年漫画の主人公のようなタイプ。彼女こそ、歴史に名を刻むべく生を受けた天性のヒーローだと思っていました。もちろん、いでもその見立てが間違っていたとは全く思いません。

ですが、シーオンのヒーローは彼女ひとりではありませんでした。

ステージから丁寧に語られた、栞音の言葉の一つ一つ。それらからは、目に映る誰一人置いていかないという愛情の深さ、そして何物からも目を背けずにまっすぐ向き合うという誠実さがはっきりと感じられました。

彼女のここまでの道のりは、ただボーカリストとして稀有な才能があっただけ、努力を重ねてきただけ、ではないはずです。

前例のないグループをリーダーとして先頭で引っ張る、強い強い責任感。数えきれない苦難を乗り越えてきた経験。あるいは、涙ながらに語った罪悪感すらも。

そんな彼女の人生丸ごと全てが形作った、「この人についていきたい」と思わせる人間力。

それこそが、栞音のヒーロー性だと感じました。

本当に、凄い人です。


・「好きになってもらう」ためのライブ

アンコールまで含めて2時間強のワンマンライブで披露したのは、全16曲(+後述の特別パフォーマンスで17曲とも言えますが)。

決して少なくはありませんが、2〜3曲ごとにMCを挟んでいたこともあり(画像でもブロックごとに区切られています)、決して限界まで楽曲を詰め込んだライブではありませんでした。

その代わりに、特に前半戦は「知ってもらう、好きになってもらう」ことに注力していた印象があります。

ピアノ・杏実の影ナレからの本編スタートに始まり、サックス・佳子の「宇宙人」キャラを押し出したシュールな時間など、たっぷりアピールやトークの時間を取ることで、メンバーの愛嬌やキャラクター性を存分に披露する場面が記憶に残りました。

これは推測ですが、こうしたアプローチを選択した背景にあったのは、パシフィコ横浜ですら「通過点」とする意識だったのではないでしょうか。

自身最大規模のワンマンライブ、ラインキューブ渋谷の2000人を大きく超える5000人キャパ。普通に考えれば、この場を「これまでの集大成」として位置づけることもできたはずです。

ですがシーオンは既に、これから先の未来を見据えているように思われました。

これから先、もっと大きくなるためにまず必要なこと。

それは、今日初めてシーオンに出会った人々の記憶に残ることです。

初めましての人に、自分たちを好きになってもらい、また次のライブにも足を運んでもらう。

リピーターはもっと深くハマらせて、地盤をがっちりと固める。

後述するアンコールでの発表を思えば合点がいく部分でもありますが、本編の時点でこうした姿勢は強く感じられ、とても好印象でした。

そんなことを思いつつ、ここでもやはり印象的だったのは栞音の語り。

「ジャジーな曲も、ロックな曲もあって……」「メンバーも個性豊かだし、ビジュがいいとも言われてて!」と楽しげに話す彼女からは、自慢の仲間やグループとしての良さをたくさん伝えたい、初めての人にも知ってほしい!という気持ちが伝わってきました。

「こんなに素敵なグループだから、今日はみんなシーオンの虜になっちゃうと思います!」と胸を張る彼女は可愛らしくも誇らしげで、大好きなメンバーと大舞台に立てる幸せを全身で噛みしめているようでした。その言葉の通り、彼女たちの魅力には誰もがきっとハートを掴まれたことでしょう。



・狙いを明確にしたセットリスト

前述した「覚えてもらう、好きになってもらう」方針は、セトリにも一貫していました。「エロティカセブン」「SHAKE」と幅広い世代に訴求するカバー曲を二つ入れてきたことも、その表れでしょう。

一方で前半戦のその他の楽曲を振り返ると、キュートでキャッチーな「等身大ガール」「鼓動PARADE」があったり、はたまたジャズセッションと題したパートでしっとりと聴かせたりセクシーに魅惑する曲を固めたりと、総じてグループの総合力の高さ、シーオンワールドの幅広さを見せつける構成だったように思われます。

そんな中、突如「どうしてもここで歌いたい曲があるの」という栞音の切り出しから始まった「となりの愛佳」(トトロの替え歌)。

最初の空気こそシュールそのものでしたが、ボーカル二人の華と歌唱力があまりにも圧倒的だったことで、茶番になるどころかミュージカルの感動的なワンシーンを見ているようでした。彼女たちならいつかはそちらに進出するのもありじゃないかと、つい期待してしまうほどです。

そんな色とりどりのエンターテイメントを展開した前半戦から、後半戦は一転してアクセルを全開!「MAHORAMA」からの加速たるや凄まじく、同曲の序盤で愛佳が髪を解いたのが着火の合図か、それまでとはガラリと変わってダブルボーカルの熱唱が解禁。一気に会場のボルテージを上げてきました。

そこからの愛佳はまさに「地上最強の18歳」(※私が勝手に呼んでいるだけです)の本領発揮。アドリブもアレンジもシャウトもフェイクも自由自在、ステージを所狭しと駆け回り、その底知れないポテンシャルを存分に発揮していました。いったい、このひとはどこまで進化していくんでしょうか。まことに末恐ろしい、本物の怪物です。



・パシフィコ横浜という舞台で

音を楽しみ、のびのびと遊び、笑い合うシーオンメンバーの姿。

それを見て私が想起したのは、以前日産スタジアムで見たB'zのLIVEでした。

日本最大級の会場で、7万2千人の観客を目の前にしながら、まるで慣れ親しんだ地元のライブハウスかのように羽を伸ばして遊ぶB'zの二人。

名実共に国民的アーティストである彼らにしかできないあの振る舞いを、まだメジャーデビューすら果たしていないシーオンが思い出させたのです。

初めての大会場のはずが、あたかも勝手知ったる庭のように、その身に喜びを溢れさせながら駆け回る彼女たち。

その奔放でエネルギッシュな姿からは、緊張も力みもついぞ感じられませんでした。

いやはや、計り知れない大物ぶりです。

そんな大器たる彼女たちは、既に個人個人の存在感も一流でした。変幻するレーザーライトや、ハイセンスで目を引く映像も、シーオンメンバーの前ではあくまで「従」であり、彼女たちこそがこの日の「主」。ド派手な演出やスポットライトさえも自然な背景だと感じられるほど、その華やかさは規格外の域に達していました。

そんな様子を眺めながら、自然と思い浮かんだのは「武道館に手がかかった」という感想です。2階席の様子こそ角度的に見られませんでしたが、楽曲の質も量も、パフォーマンスのレベルも、会場の盛り上がりも。これで武道館に行かなければ嘘だろう、と言えるほどのものでした。

それでもMCで栞音が語ったのは、この日チケットSOLD OUTを達成できなかったことへの悔しさでした。

正直に言えば、ストイックすぎるのでは、とも感じます。けれど、「来年あたりにリベンジしたい」と控えめな言葉に留めた彼女からは、やはりその責任感の強さが伝わってきました。ここを埋めずに一足跳びで次へ進むことは、彼女たちの真摯さが許さないのでしょう。

プロモーションや戦略を事務所任せにするのではなく、自分たちが、そしてリーダーである自身が責を負うという強い覚悟。招待チケット制により、ファンに負担をかけてしまったことに感謝しつつも謝る場面には、何よりもその誠実さが滲み出ていました。

商業面だけを考えれば、口にするのは適切ではなかったとも思えます。それでも彼女がこの場で自ら伝えることを選んだこと、そしてどこまでも愚直に足元を踏みしめて進む姿勢に、私もまた「この人にならついていける」と思わされました。

この日を迎えるまでに彼女たちが直面した困難については、既にご存じの方が多いかとも思いますし、あえて私がここで何かを言うことは控えたいと思います。

ただ、今日のライブを見て、栞音というリーダーに胸を打たれた。ついていきたいと思わされた。

ここでは、それだけを記しておきます。



・メジャーシーンでシーオン、しましょ

そしてアンコールにて、一度は白紙になったかと思われたメジャーデビューが再度発表!

何を置いてもまずは、純粋に最大級の祝福を贈りたいと思います。現在の邦楽業界について、私は何らの知見も意見もありませんが、確かなのはシーオンのスタイルそのものが二つとない個性であること、そしてその実力は既に十二分であり、残る課題が「知られてないだけ」であることです。その決定に、疑問などあろうはずがありません。

そんなシーオンがメジャーデビューシングルとして繰り出す新曲「しましょ」もまた、本日初披露。

いやー、これがまた凄かった!

メジャー一発目ということで、曲の展開は複雑さを抑え、キャッチーな振り付けとサビが一瞬で覚えられるようにデザインされています。

しかし、それでいて内に秘めたメッセージは確かなもの。リリックの端々からは、これから進む新世界に向けた挑戦心が垣間見えました。

「太陽が昇るように」というフレーズは特にメジャーシーンへの殴り込みにふさわしく、歌う愛佳の魂の熱さにもピッタリです。また、サビの「しましょ しましょ ならしましょ」は「鳴らしましょう」とのダブルミーニングな言葉遊びでしょうか。遊び心がたっぷりで、リピートするのが今から楽しみですね。

文句なしのキラーチューンに、これで覚えられるぞ!売れるぞ!という意思を感じました。


・シーオンに続け、Finally!

こうなるとどうしても、シーオンと同じ事務所に籍を置く我が最推しグループ・Finallyにも言及したくなってしまいます。

MCで栞音が強調していた「驕らない」「回り道でも一歩一歩」という言葉は、年末のFinallyのワンマンでJuriが語った決意にも通じるところがありました。親交が深く、互いにグループを背負うこの二人ならではですね。

先日はunseaも加えた事務所3グループでの対バンイベント「トイモイ祭」も大盛況でしたが、同所属という近い環境にこれだけの実力と勢いのあるグループがいるというのは、Finallyにとって何より理想的な環境です。

それも、シーオンの場合は単なる先行・成功例というだけでなく、個人の技量やエンターテイナーとしての魅せ方をとっても、学ぶことはきっと多いでしょう。

Finallyがシーオンに大いに刺激を受け、切磋琢磨しつつも、背中を見ているだけではなく追いつけ、追い越せの精神で奮起することに、私としては期待せずにはいられません。

発表されたメジャーデビュー記念ライブは4月9日、シングルリリースは翌週16日。すごいスピード感です。

一方でFinallyの次回ワンマンは、それよりも先の5月3日。

果たして、旧来の盟友であるシーオンの二度のワンマンライブとメジャーデビューを目にした彼女たちは、何を思い、どんな進化を見せてくれるのでしょうか。

これ以上ないほど見事なステージで飛躍への期待が高まったシーオンと、その勇姿を目に焼きつけた我が最愛のFinally。

二つのまばゆい星から、今年は片時も目が離せません。

彼女たちの輝かしい前途を祝して、本稿を終わります。

お読みくださり、ありがとうございました!

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