2020.1.9草の根の集いopen session参加者レポート
【保健所からの現場の悲鳴を聞いて既に限界超えていると感じ、公務員の方から「公務員とは、どんな存在か?」と直接尋ねられて話し合った対話の時間】
「保健所:生きづらさと社会を繋ぐ行政機関」をテーマにお喋りしました。コロナ禍のため保健所の存在が取り上げられたものの、馴染みが無く、知りたかったので参加させて頂きました。
行政機関で働いている方や、このテーマに興味を持った方、立場も住んでいる地域も年齢も違う方々が参加し、視点の違う発言を聞けて新鮮でした。対話はやっぱり楽しいです。
対話は楽しいと感じつつ、保健所の現状は知っておいて欲しい、とも同時に感じているのでレポートと感想を書いています。
何かお役に立ちますように。
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【「保健所の役割と現状」のプレゼンテーション】
はじめに、ファシリテーターの方が参加者に「保健所の印象」を聞き、現場の状態や保健所の説明に関してのプレゼンを聞きました。
「保健所で働いている人は保健師さん?」「健康管理する人」「食中毒起こした所の対応をする機関」等々が参加者の方の保健所のイメージでした。
私もですが、具体的にわかっている!という方は居なかったように感じました。プレゼンの内容は「保健所の役割」「保健所で働いている方の実際の声」「必要なのに削られてきた福祉・医療」でした。
保健所は、憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」の考えのもと、設置されていて、業務内容は多岐に渡っているとの事
その業務の為、保健所で働いている方は保健師の方だけでは無く、医師、獣医師、精神保健衛生士、臨床検査技師・・・あらゆる分野の医療職の方が働いています
普段から感染症対策、精神保健、難病対策、母子保健の業務を行っている機関でコロナ対応の主な内容は、電話相談対応、受診調整、検体採取、搬送のやり取り、入院、ホテル療養、自宅療養などの患者さんの調整、そして患者移送、積極的疫学調査、濃厚接触者や感染疑いの方への検査、心を病んでしまった方の相談業務・・・まだまだありました(覚えきれない程です)。
…大阪は、現在どこも満杯で患者の方の療養先の調整が困難になっています。また、心を病んでしまった方々がコロナ渦で増えているようで、神経を張り詰めさせながらの相談対応をしているそうでした。
感染症対策のチームリーダーの方は、休む暇も無く、4月は休日無しで残業が160時間を越えています。
詳しい事は「保健師の声(@fusyokuro)」のツイッターで見る事が出来ます。
保健所の数は、以前は大阪市で21ヶ所、しかし現在は1つ(京都から参加して頂いた方によると京都市も現在1つ)・・・全国的に保健所の数は減らされていっているようでした。
大阪府全体で2000年では保健所の数は61ヶ所、2020年では18ヶ所です
最後に、プレゼンの締めで
「経済優先、競争の社会ではなく、命と暮らし、安全・安心最優先の自治体が求められている」
「憲法25条の精神に立ち返る事」
「医療、福祉、介護職・・・社会的な役割、必要性をもっと知らせたい」
「現場の労働者の方と共に成長出来る、したい」
と想いを語ってくださいました。
こちら、大阪府の保健所職員の方を増やして欲しい、という署名活動です。良かったらお願いします。
署名したい方はこちら⇨ change.org/SaveHokensho
【質疑応答、感想共有】
「これから感染が増えたら、何か業務を諦めなくちゃいけない、と思うけれど、どうなると考えている?」という質問の、プレゼンをしてくださった方の回答が、妥当でしたが深刻な日本の危機を表していると感じました。
感染拡大防止を諦めると思う、具体的には検査拒否をしている人の説得・・・3日かかる人も居るのだとか。
お話を聞いていて、現場の方のやりがいを頼りに、通常事も常に綱渡り状態をギリギリ保ってきたが、このコロナ渦で糸が切れ・・・「公助」が機能しなくなってきている、と感じています。
【あなたにとって公務員とは、どんな存在ですか?】
休憩後、「公務員とは、どんな存在ですか?」から対話が始まりました。
様々な対話が生まれましたがファシリテーターは「公務員の方々は、構造上の事で、府民、市民と話が出来ない状況になっている」「府民、市民の方々は「窓口が公務員じゃない可能性がある」と考えながら行政機関に関わっている」と場で感じている事を総括してくださいました。
【大阪に関する政策を実行出来るなら、どんな事を叶えたい?】
ファシリテーターの方が最後にどんな事を皆が望んでいるのか知りたい、と「出てきたアイデアの中から1つだけ選んで欲しい。全部叶えたいと思うけど」とアイデアを募集しました。
出た意見は以下の通り(少し纏めています)
1.適当に選ばれた利害関係の無い人で、住んでいる地域について話し合いの場を作る。
2、職員の相対評価制度を決めている職員基本条例の撤廃(府も市も)
3、所得の徹底的な再分配とベーシックインカム導入(お金の面の政策)
4、様々な当事者が集まる対話の場に公務員さんも参加する制度
5、トップダウンが酷いから、それを無くして欲しい。そして現場に権限を渡して自治が出来るようになったら良い
6、正規雇用、非正規雇用の制度自体を無くす、安心して失業出来る社会とセット
7、介護・医療職の人手不足→労働条件が悪い→辞める→人手不足、の悪循環を止める制度
手を挙げると、2番の職員基本条例の撤廃が8票、3番の所得の再分配が3票、6の安心して失業できる社会が1票となりました。今後もこの取り組みを続け、市民マニフェストを構築していきたいですね。
【チェックアウト - 参加者の感想 -】
・学者チックな話がやっぱり出てきたから、身近な話から話したいな、議論も楽しかったけど、って感じた。
・公務員がどう見られているか、という話はあまり聞かないから、刺激的な話でした。
・議論色強めの場か、聴き合う事を強めの場か、色を決めて場を開こう、って感じた。
・職員基本条例に手を挙げてくれて、個人的に嬉しかった。
・勇気を貰った、今まで提案をしてこなかった気がした。
【最後に】
公務員の方からの「住民の方のフィードバックが欲しい」「意見を直接聞ける場が本当に貴重」と言う感想を聞いていると「住民の方が、公務員の自分達をどう思っているのか不安(疑問?)」を抱えているのかな、と思いました
色々な事情で声を上げられない人もいるけど「市民の為、府民の為」って思って働いている人は大勢居る、と感じられる場でした
こうした場が沢山増えて、住民と行政、住民と住民、行政と行政が話し合う機会が沢山出来れば良いな、と感じます
ありがとうございました!
改めてのお願いですが、こちら、大阪府の保健所職員の方を増やして欲しい、という署名活動です。良かったらお願いします。
署名したい方はこちら⇨ change.org/SaveHokensho