ピロリ菌除菌薬による重症薬疹で死にかけたお話
薬疹は薬を飲む人であれば誰でも起こりうる副作用です。ピロリ菌の除菌薬(サワシリン/クラリスロマイシン/オメプラゾール)を服用した結果、重症薬疹で全身炎症し内臓発疹で呼吸器官も危うくなり緊急病院にお世話になりました。この経験を忘れないために、そして薬疹のブログ情報が少なかったので、闘病記録をつらつらと書いてみました。
闘病生活の大まかな流れ
《薬疹になるまで》腹痛→胃カメラ→胃潰瘍&ピロリ菌発見→除菌薬を服用
《薬疹になってから》重症型多形滲出型紅斑の治療→2ヶ月近く続く熱
《薬疹が治ってから》交通事故に遭い首怪我(←いまここ)
そもそも薬疹の病状とは?な方は最後に症状経過写真を載せたので見てみてください。(苦手な方は見ない方がいいかもです)
-薬疹とは-
薬疹とは、薬を内服したり注射したりすることにより生ずる発疹、ごく一部の人に生ずるアレルギー性薬疹です。重症薬疹とされているものに、中毒性表皮壊死症、スチーブンス・ジョンソン症候群があります。これらの重症薬疹では原因となった薬を中止しただけで良くならず、どんどん悪化しますので、早く対応することがとりわけ重要となります。(一部省略)引用元:日本皮膚科学会
(参考)NHK クローズアップ現代 身近な薬の落とし穴 警告!「市販薬」の意外な副作用
薬疹の原因になったピロリ菌の除菌薬について
ピロリ菌の除菌薬は2013年2月21日から「慢性胃炎」が健康保険の対象に加わったことによって保険適用となりました。
(参考)薬事法の承認と薬価収載のプロセス
(参考)オムロン vol.119 保険適用になった「慢性胃炎」のピロリ菌除菌
胃ガンや胃潰瘍を引き起こす原因になるピロリ菌を死滅できる薬が保険適用となれば、当然胃カメラ検査して慢性胃炎と診断された人の中で服用する人も増えるはず。ただ、除菌薬のサワシリンなどの抗生物質はアレルギーを起こすこともあり薬疹被害者が増えてしまうかも?と私は感じています。除菌の需要が増える分、治療をされるお医者さんは薬疹(副作用)のリスクをきちんと患者さんに伝えてくれることを願います。
私が重症薬疹になるまで
2016年年明け、食後の吐き気が止まらなくなり、街のクリニックで胃カメラ検査をしました。結果、軽い胃潰瘍(胃炎レベルかも?)と逆流性食道炎で、ついでにピロリ菌も発見。
「このピロリ菌がいると胃潰瘍や胃がん等のリスクが上がるので、除菌薬を一週間飲むように」とお医者さんに指示され飲むことに。この時、副作用の説明は一切ありませんでした。除菌薬を飲み始めてから気持ち悪くなる日が続き、固形物を食べるのも困難になりました。でも飲みきらないと除菌失敗になるので、一週間飲みきりました。
除菌薬を飲みきった日の夜、腕と足と首に赤い発疹が発症。胃の治療を始めてからは2週間はお粥くらいしか食べてなかったので食物アレルギーはありえない。ネットで調べると明らかに薬疹の症状と一致。
翌日、胃カメラしてもらった内科で「明らかに薬疹ではないか」と訴えたものの相手にされず、「ウイルス性かもしれないし、原因不明」と言われました。「とりあえず飲み薬を出すね」と言われたので「それは何に効くお薬ですか?」と聞いたら、呆れた顔をされ、「じゃあ今日はもう胃の薬だけ出すから帰って。」と言われ診断は強制終了。
薬疹ではないの?と、不安になりながらも帰宅。小さいクリニックなので院内で薬も処方されており薬剤師さんもいなくて薬の説明を受けられなかったんですが、不注意な自分に後で後悔しました。夜になるとさらに発疹は太ももやお腹まで広がりました。なす術がないので明後日月曜日なら皮膚科もやってるし...と思い眠りました。
重症薬疹で目覚めた朝
その翌朝、早朝に身体中全身が痒くて目が覚めました。全身くまなく蕁麻疹が広がってました。そして、目は開くものの視界が悪い。鏡を見てみると、顔が腫れて目は半分くらいしか開かず唇は腫れ上がり閉じれない状態。まさに整形レベル。首を軽く絞められているように喉がちょっと苦しい。熱もある。
流石にまずい!
と思い、東京都緊急病院案内に電話。すぐに緊急病院で診てもらうことに。息が苦しく声が出にくくなっていたので「もしかしたら病院着いた頃には喋れなくなってるかも」と思い、急いで胃の治療開始から今日までのメモを書きました。(焦ってたから1ヶ月日付間違えてる)
予想的中で、病院に着く頃にはパニックもあるし息苦しくてうまく話せなかったのでお医者さんにはこのメモで指差し説明しました。緊急外来の担当医が皮膚科の先生だったのでラッキーでした。その先生の一言めは「かなり重症だねー、入院しましょうか」でした。
「そんな大袈裟な」という私の心の声が聞こえたのか、先生の説明が淡々と始まる。重症型の薬疹である多形滲出形紅斑と診断するが、難病であるSJS(スティーブンス・ジョンション症候群)の可能性もあるとのこと。目がゴロゴロするなど角膜に違和感を感じていたら特に注意が必要だそう。この難病の場合、最悪失明したり死に至ると知り頭が真っ白に。
アナフィラキシー症状ではあるけど、入院しても点滴するくらいだし何より病院に恐怖心が強くなってたので入院拒否して帰宅。ただ、症状悪化があればすぐに救急車呼ぶようにと言われました。
翌日、プレドニン(ステロイド薬)治療のお陰で口内と唇の腫れが引いてきて難病の危険はひとまず安心モードに。でも油断できないので1~2週間は通院以外外出禁止に。炎症による熱の他、ステロイド薬の副作用で免疫が急激に下がり他の病気をもらいやすいことが理由のようです。休まない人もいるかもしれませんが休んだ方がいいとのこと。
ここからが本当の戦い・・・薬疹つらみポイント
1:熱。
アイス枕をひいて頭冷やすものの身体中の炎症で37度後半~38度台が1日中続きます。
2:ステロイドの副作用。
毎食後プレドニン(ステロイド錠剤)を飲むのですが、その薬の副作用で免疫の急低下以外に、私の場合お腹が凄く減ったり感情的になる等、交感神経レベルMAX!みたいな状態に。このプレドニン治療は1日20gから始まり、徐々に量を減らしていきました。他に、アンテベート軟膏(強いステロイド外用剤)も全身に塗ってました。こちらは2、3日分あたり25g処方されました。顔にはロコイド軟膏(弱いステロイド外用剤)を塗りました。
※ステロイドは依存性もあるので2週間以上連続で使うのは注意が必要だそう。お医者さんとよく相談して治療方法を考えるのがおすすめです。
3:かゆみと不眠とお風呂。
かゆみ症状を抑える薬としてアレロックが処方されましたが、全然効かずかゆくて1、2時間ごとに起きてしまう。
シャワーも大変。ぬるめのお湯をあてると痛い。傷口が開いているところに塩水かけられているような感覚。水シャワーにして水圧を弱くしてやっと浴びれました。2月始めでまだまだ寒く、全身震えるわ炎症部分は青紫に変色するわで苦しいです。
4:何と言っても見た目
顔も首も胸も腹も腰も背中もおしりも太股も膝も腕も掌も足の裏まで、全身赤い発疹が出ます。顔に関しては、炎症でマダラ模様なだけでなく唇の腫れやまぶたの腫れもあるので本当に別人の顔になります。病院の待合室で待っている時に近くに座っていた人が、私の顔や腕を見るなりぎょっとした表情になり私から離れた所に座り直しました。あれは一番ショックでした。
重症薬疹の治療中にやって良かったこと
1:とにかく「水分」を取りまくる!
治療開始一週間は毎日1日2リットル近く飲みました。薬疹はアレルギー反応なので水分補給で体内に残っている炎症の原因である薬の成分をどんどん排出することができます。
2:寝るときは綿の手袋をつける!
全身の炎症で寝る間もかゆくて仕方なく寝ぼけてかいてしまう危険があったので、綿製の手袋を必ず装着しました。
3:テンションの上がるパジャマを着る!
全身くまなく炎症しているのはなかなかショックを受けます。私は自分の肌を見ないためにジェラートピケのパジャマを着てました。真っ白シロクマ状態。プレゼントしてくれた友達に本当に感謝です。
4:ひとりで塞ぎ込まない
治療中は家で一人になることがほとんど。熱もつらいですが治るかの不安や恐怖などに支配されやすくなります。不安な人は入院する方が安心かもしれません。私はお見舞いに来てもらったり漫画のナウシカを読んで壮大な気持ちになることで恐怖を遠ざけました_(:3 」∠)_
治ったはずなのに・・・再発。熱との長い戦い
治療から1週間半経ち炎症も治まり始め、ようやく会社復帰だ!と盛り上がる矢先、胸からお腹にかけて炎症復活。下半身はまだ炎症残ってるものの上半身はほぼ治まっていたのでショックでした。エクラー軟膏(ステロイド外用剤)を処方され3日くらいで炎症は治まりました。
ただ、熱が下がらない。薬疹発症してから2週間して37.5℃が私の平熱になり、この後2ヶ月この熱は続きました。当時は微熱だと軽く見てましたが、寝起きは37度台で、起きて動くと38度台にまで上がる日もあり今思えば微熱ではなかったかも。
起きている間中、倦怠感がずっと続き頭がぐらぐらしてまともな思考ができない。熱が上がってくる感覚を体が覚えてしまっているので上がってきたなという瞬間に恐怖に襲われます。
せっかく会社復帰したというのに、通勤自体がきつく、品川から渋谷までの山手線に乗っていられない。車内で立っているのもままらなくなり、あとちょっとで着くのに恵比寿で降りて意識朦朧が収まるのを待って会社に向かいました。チームの助けがありなんとか仕事を続けることができましたが、罪悪感が増加して精神的にきつい日々でした。熱の原因は内臓に残った炎症のせいだと病院では判断されました。発病から2か月経った4月からは熱も完全に落ち着きました。
最後に
病気は本当に人を変えてしまいます。私の場合、炎症や熱が続いたことで精神不安定になってしまい周りの方々にかなり迷惑をかけました。勤務先で倒れ、駅で倒れ、人に頼りまくり依存しまくり...。普段何も意識せずできていたことができなくなり、自信が全て損なわれたような気分になります。
そんな時でも周りに支えてくれる人がいたおかげで頑張れました。八つ当たりで酷く傷付けてしまった人もいてその罪悪感は今も残りますが、元気になれた今の身体で自分にできることをして、周りに恩を返していきたいです。早期発見してなければもっと悪化していたので緊急病院の連絡先を教えてくれた人には本当に感謝です。せっかく救われた命なので、精一杯頑張っていこうと思います。
そしてお薬手帳の電子化や病院間の情報連携の仕組みも変わって、薬疹になる人が一人でも減ることを願います。薬の危険を病院側がしっかり伝えてくれるようになることも願います。
※ここからは重症薬疹(多形滲出形紅斑)の症状経過記録写真のため閲覧注意です!
もっとひどい炎症が出た部分もありますが、撮りやすかった手と足だけ撮りました。これらの蕁麻疹のような炎症が顔や耳から足のつま先まで全身に現れました。痒みに負けてかいてしまった部分は炎症の点々が繋がってしまいより酷くなりました。かくのは絶対NG。早期治療ができたので5月現在後遺症はなく、本当にラッキーです。
↓
腕の症状経過(症状発生2日目~2週間後)
脚の症状経過(治療開始日~3週間後)
上半身の炎症が先に治り脚は治るのが一番遅かったです。全身炎症の場合は治るまで2週間はかかると思った方がいいかもしれません。
症状記録メモ
闘病中、症状をメモっていたのでそちらも載せてみます。(汚くて読めないかもですが)
・2月8日(薬疹発症4日目)~2月9日(薬疹発症5日目)
・2月10日(薬疹発症6日目)
(・2月11日(薬疹発症7日目)~2月15日(薬疹発症11日目)は不安定だったので書いておらず。)
・2月16日(薬疹発症12日目)~2月19日(薬疹発症15日目)
絵柄が発症時からいつもの感じに戻ってるので、だいぶ精神安定したのかもしれません。不安なことがある時はこのメモを見ながら担当医に毎回相談質問していました。メモを取っておくと相談しやすいのでオススメです。
ありがとうございました。
最後まで読んでいただきありがとうございます!グラレコを活用した「見える化」教育活動をしているのでよかったら他の記事も読んでもらえたら嬉しいです🙏