デザイナーが技術書典で初めて『ノート学』本を頒布してみたお話
こんにちは、2024年5月26日に開催された技術書典16でノート学サークル代表者をしていた わなみんです。今回初めて共著で『ノート学』という技術書を作り頒布しました。デザイナーのサークル参加経験談や、メルカリ技術書典部の新刊で表紙デザインも担当したのでその学びをまとめてみました。
技術書典とは
技術書典との出会い
前回の技術書典15のオフラインイベントに所属企業がスポンサーとして参加しており、「メルカリ技術書典部」として頒布する本の表紙デザインを担当したので、せっかくなら会場で売り子もしようと参加したのが私の技術書典との出会いです。
ブースに立って衝撃を受けたのは、まずお客さんの熱量です。見本誌をじっくり読んでくれる方もいれば、「表紙がかわいい」「表紙が猫ちゃんなので」と購入してくれた方もいました。(表紙が後押ししてくれたなら嬉しいです😊
会場の熱気が楽しく、気付いたら私もさまざまなサークルの技術書を手に取っていました。
「ノート学」サークル参加きっかけ
東京都新宿区の公立小学校で株式会社グラグリッドさんが小学生1年〜6年生向けに授業を実施してきた「ノート学」プロジェクト。グラグリッドさんにお声がけいただき、グラフィックレコーディングを実践してきた私も講師メンバーとして6年間活動してきました。今年度でプロジェクトは終了したのですが、最後の授業後「活動の節目として、活動をまとめたい!」「同人誌出したい!」と皆で話した結果、技術書典に挑戦しようとなりました。
ノート学とは?
小学生なら誰もが使っているノート。そのノートの描き方を創意工夫することで子どもたちの学び方や捉え方を自律的に変え、自主的に探究しあえる学習しあえる環境を生み出してきました。その経緯もあり、ノート学は第15回キッズデザイン賞(子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門)を受賞しています。
共著を作るにあたっての役割分担
共著として8名で一冊にまとめるために、サークルメンバーで以下役割分担をしていきました。みんな普段は別の組織に所属しているため、夜や休日にオンラインミーティングを重ねながら進めました。
サークルメンバーの役割分担
原稿はページを分けて各自書きたいことをそれぞれ好きに書いたのでページのデザインもバラバラです。ただ、一冊を通した体験も大事なので全体バランスを考え、論じる項目とワークショップとの間に絵本の見開きを挟んだりしました。
オフライン会場でいざ頒布
ついに本が刷り上がり大喜びです。他の技術書とジャンルがだいぶ異なるものの本の審査も無事通り、会場ブースで頒布しました。
有難いことに会場販売の紙の本(+電子版)は完売しました!🎉
完売後も「紙の本で欲しい」お声がけいただき、急ぎ増刷することを決定しましたので、6/9までオンライン販売しております。
SNS投稿を見て早速買ってくれた方もいました。ありがとうございました😊
学んだこと〜会場ブース編〜
会場で足りないものは後で追加できるようにしておく📦
運営さんからいただける完全手ぶらセットにブース出典に必要なほとんどの物は入っていて大変便利なんですが、ブースに立っていると「急にPOPが作りたくなった!」→画用紙必要、「本をもっと立てかけたい→」イーゼル増やす、など要望が出てくるので午前と午後などメンバーで売り子シフトを決めて後からでも物を追加できるような体制にしておけると安心です。
レイアウトやお声がけは常に改良していくのがおすすめ💬
最初は見本誌を閉じて置いていましたが、もっと中身に興味持ってもらいたいとなり見開きにして設置したり、参考ノートを追加で展示してみたり。さらに興味を持ってくれた人にはサークルメンバーの著書を参考にお見せしたりもしました。結果、段々と足を止めてくれる人が増えました。声掛け内容もより伝わりやすいメッセージを考え何パターンか試しました。
@na0kaの著書『ビジュアル思考大全』
学んだこと〜技術書の印刷編〜
印刷にこだわるなら印刷可能可否と入稿工数を確認📅
変形版やページ数によっては印刷対応できない会社さんもあるので、最優先で仕様決めと印刷可能可否を確認するのが大切です。(私達は全ページカラーの横長、中綴じで刷ろうとしたら意外と期限間に合う印刷会社さんがなくて焦りました…)
同人誌を取り扱う印刷会社さんによっては「A4 or B5、A5版縦の無線綴じ、表紙込み40P以内」など特化していたり、同人誌イベント被りで受付終了している可能性もあるので早めに相談できると安心です。
PhotoshopやIllustratorでの入稿になる場合もあるので、デザインデータを扱える人に頼んだり入稿工数も余計にかかることを想定しておくと安心です。
表紙データは背表紙に注意📚
本のページ数によっては、背表紙部分の厚みが変わるので、厚みを計算した上でデザイン調節する必要があります。
メルカリ技術書典部の新刊表紙デザインのレポート
今回『ノート学』本とは別に、メルカリ技術書典部の新刊2冊の表紙イラストデザインを担当していたので、その入稿までの流れも書いてみました。
1日目:手書きイラスト
表紙イラストに入れたい要素を募り、手書きラフでアイデアを考えチームに共有して1つのイラストに案を絞ります。
ちなみに前回vol.3表紙を作った時は、Adobe Fireflyを使って生成AIでアイデア出しもしました。
2日目:手書きを元にデジタルデータ化
3日目:入稿データ作成&入稿
最終的に各表紙このように印刷していただきました。
日光企画さんは入稿データで困っても優しく対応してくれてありがたいのでおすすめです🙏
悩む前に早めに見せる
アイデアに煮詰まった時はサークルの人に手描きラフを見せてレビューを受けたのでスムーズでした。手描きラフ時点で共有すると方向転換もしやすくて楽です。
細部も確認してから入稿
IllustratorやFigmaでイラストを作る場合、塗りデータがずれてないか、線幅がおかしくなってないかも確認してから入稿するといいです(印刷して確認できるのがベストです)
まとめ: 技術書典は、みんな優しい!楽しい!
近所のブースの人たちがみんな優しい、どのブースの人も楽しくて優しい
両隣のブースの方々が私たちのサークル本も買ってくれましたし、困ってたらアドバイスもくれたり優しくてあたたかい気持ちになりました。(私も両隣さんの本を購入)
両隣さんのブースの技術書
本さえあれば参加できる!
運営様がご用意してくださる手ぶらセットがあるので、本さえあれば当日オフライン会場で頒布することができます。今回使わせてもらい大変便利でしたしデザインもかわいいです。なんという至れり尽くせり。運営様には感謝の気持ちでいっぱいです🙏✨
あと払い体験が和む
オフライン会場での購入のアプリあと払い決済の体験が最高です。お客さんとサークル代表者のアプリに表示された動物が同じかどうかで決済成功を確認するんですが、これがかわいいのです。
「あ、ウサギさんですね🐰」「ワニもいるんだ🐊」 「カタツムリまでいるの!!?🐌」とお客さんとスマホを見せ合うことで動物話までできてほっこりします。
最後に
技術書典は、技術者のそれぞれの強い好きが詰まったお祭りでした。各サークルさんの本それぞれに想いがぎゅうぎゅうに詰まっていて、まるで東京駅でこだわり抜かれた駅弁を選ぶ時のような感覚です。駅弁と違って良いところは満腹にはならないので何冊でも購入できる点です。
今後も参加したいですし、また何か書いてみたいと思いました。
勢いで長々書いてしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後まで読んでいただきありがとうございます!グラレコを活用した「見える化」教育活動をしているのでよかったら他の記事も読んでもらえたら嬉しいです🙏