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『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリデイ』鑑賞。
映画館で観たかったけれど、仕事が忙しい時期が重なり、観られなかった作品。その作品がもうU-NEXTに来てる!と喜び勇んで、先ほど鑑賞したところ。
こういうハートウォーミングな映画に弱くて、笑いながら、泣きながら観た。想像通り、気持ちが温かくなる、他者と関わることの素晴らしさを改めて思う、とても良い映画だった。
私は長年教育関係の仕事をしているのだが、いつだったか、とても手こずる生徒がいた時に読み漁っていた教育書のある一冊の中に「困った子は、困っている子」というような言葉が載っていたのをずっと覚えている。というかこの言葉を心に刻んで、ずっと仕事をしている。
この作品の中に出てくる高校生の男の子アンガスは、何かと問題を起こすのだが、家庭に問題を抱えていることが徐々に分かってくる。両親は離婚していて父はおらず、母親は再婚してしまい、寄宿舎に入れた息子にきちんと向き合えていない。アンガスは明らかに心に孤独を抱えている。
問題を起こす子に対して、自分に迷惑をかける悪い子だと大人が判断してしまうと、その子はどんどん孤立して、ますます大きな問題を起こし、心の闇を深める。だが、このアンガスのように、もしも血の繋がった存在ではなくても、誰かその子の周りにいる大人がその子を心から信じてあげたら、その子の人生は少しずつでも良い方に変わると思う。そして変わると信じて今の仕事をしている。
アンガスと時間を過ごす中で、彼を信じるようになる教師役のハナムは頑固で凝り固まっているところがある。そして自分自身もコンプレックスや生きづらさを抱えている。だが、汚れた大人が多いなか、間違ったことは許さず、きちんと生徒を導こうとする姿は教師として素晴らしいと思った。
私の大好きな映画に、やはり男子高校生と教師の心の交流を描いた『いまを生きる』があるが、今回の『ホールドオーバーズ』もこれから自分が仕事を続けていく上での心の支えになる一本になりそうだ。
寄宿舎の料理長役のメアリーも、夫も息子も失い、大きな悲しさを抱えて生きてはいるが、人生にこなれた感じが魅力的で、作品に味わいを持たせており、とても良かった。また、彼女の作る料理も美味しそうで、彼女の手作りのクリスマスのご馳走を食べるアンガスが、笑顔で「こんな家庭的なクリスマスは初めてだ」とハナムも含めて3人で過ごす場面はとても素敵だった。
人は人と関わることで傷つくこともあるけど、人と関わることでしか孤独を癒せないと思うから、この映画の3人のように一見全く違う人同士が心を通わせることが出来たら、互いの人生を豊かにすることが出来ると思う。
機会があったら生徒達と一緒に観たいなと思える一本だった。まだまだ心が柔らかい生徒たちと、このような良い映画を一緒に観て、その反応を見たり、感想を聞くのが大好きだ。学校の教師は本当に大変な仕事で辞めたくなることもあるが、一方でなかなかやめられないかなり面白い仕事だなとも思っている。この映画のなかのハナムもきっと同じ気持ちだと思う。