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水俣の地に新たに誕生!?大園地区の「御神木若葉祭」

水俣の街の中心部、大園地区にどどん!と鎮座する大きなムクノキ。今回は、そのムクノキを大切に愛で、守り続けている地域のみなさんの想いから生まれようとしている、新しいお祭りの話題です。

◆樹齢500年の天然記念物・荒神神社の「ムクノキ」
新緑まばゆい5月の良き季節、今年も水俣市大園のひときわ目立つ巨木、ムクノキが芽吹き始めていました。平成29年に天然記念物に指定されたこの木はなんと、樹齢500年近くと言われ、熊本県では2~3番目に古いとされています。きっと、水俣の中心部に住む人ならば一度は見かけたことがあるはずの、このエリアのシンボル的存在です。


このムクノキに引き寄せられるように根元へ近づくと、「荒神神社」と書かれた鳥居の奥に、古い小さな社がありました。ムクノキは、この荒神さんの御神木だったのです。


◆野点にてづくり饅頭、地元のオイシイがもりだくさん!
この日は、「御神木若葉祭」と題し、地域のみなさん手づくりのお祭りが開催されていました。荒神さんの前には真っ赤な野点傘が置かれ、表千家の野点が体験できる空間が演出されています。ここでいただく野点のお抹茶の美味しいこと!贅沢です。

年季の入った木製の縁台もこの空間にピッタリで、訪れた人たちは気軽に腰掛けることができます。夏のように日差しの強い日でしたが、大きなムクノキの下は広い木陰でとても涼しく、子どもから大人までが集ういわば避暑地のような癒しのスポットになっていました。

地元婦人会、手づくり饅頭も登場です。旬のヨモギが生地にねりこんであり、ニッケの葉の香りがなんとも爽やか!振る舞い饅頭とのことでお一つどうぞ、といただきましたが、思わずもう一つ!と手がのびてしまいそう。


この荒神さんの境内のすぐ隣には地元の病院の広い駐車場があり、ここでも同時開催で小さなマルシェが行われていました。
地域の飲食店・酒屋さん・婦人部などが出店し、かき氷やお弁当、パン、野菜、フリーマーケットコーナーもあって内容盛りだくさんです。

子どもたちのために地元消防団による車両の展示や、射的コーナーもあり、楽しそうにはしゃぐ子どもたちの姿も見られました。


◆独自の祭りや行事を生み出してきた「ムクノキ会」
でも実はこのお祭り、今回が初めての開催だといいます。
「今年はプレ開催で、来年から本格的にこのお祭りを始めたいと思っています!」と話すのは、長年この荒神さんで祭りや子ども会の行事を続けてきた「ムクノキ会」の福田さんです。

福田さんは今から30年前、平成のはじめ頃からこの荒神さんの境内を中心に、大園地区の活性化を目的にあらゆるイベントを企画・運営してこられました。「荒神さん=火の神であり、ここを大事にしたら火事が起こることはない。実際に、大園では火事が起きない。この荒神さんに関する昔の記録は何も残っていなかったけど、ムクノキの御神木があるここは地域のシンボルでもあり、ここを中心にまちおこしをしたいと思って活動をしてきた。」と、福田さんは言います。

過去の記録がないからこそ、福田さんを中心としたムクノキ会では、独自の行事も生み出してきました。それが、平成2年に始めたという新年祭、「若水汲み」です。大晦日の夜に、当時はすぐそばにあった井戸から水を汲み、荒神さんで火おこしをして火を焚き、その水を沸かしてお茶を点てていたそうです。なんと、その作法も全てオリジナルで考案されたのだとか。

かつて行われていたオリジナルの新年の行事「若水汲み」


荒神さんの境内で、火を焚いていたそう

残念ながら、この新年祭、現在は行われていません。また、大変盛大に行われる年に一度の例大祭の御夜祭り(前夜祭、10月14日)も三カ月におよぶ準備期間が必要で、運営側にも大きな負担となっています。そのため、今後無理なく続けられるようにと、新たな試みとして、この「御神木若葉祭」が企画されたのでした。

地区のシンボルであるムクノキの若葉が一番美しいこの季節は、新茶のシーズンでもあります。若葉を愛でながら、美味しい水俣のお茶を飲んでほしい。これは、そんな主催側のあたたかい想いがこもった新しいお祭りなのです。

◆来年5月は是非、御神木若葉祭へ!
さて、来年から本格的に開催されるこの「御神木若葉祭」。水俣の美味しいものもたくさん食べることができて、きっとお腹も心も満たされます!是非、みなさん来年5月は水俣の大園荒神神社へお集まりくださいね!



ムクノキになる実

※最後に秘密の?情報…!
ムクノキになる実は、秋には食べることができるそう!「まるでレーズンの味です!」と、福田さん。昔の人たちは枝ごと切って、荒神さんの屋根に隠して熟れた頃に食べていたそうです。


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