父からの性的虐待を認めない母
鬱になって高校に通えなくなった私は
学校から「精神科に通わないなら退学せよ」
という、少し不思議なミッションを与えられ、
学校から紹介された精神科に通うことになった。
(今思えば排他的な雰囲気の学校だった)
初診の日、母が書いた医師宛の手紙を渡した。
開封して医師は音読した。
「〜〜〜
娘は父から性的虐待を受けたという嘘を言っています。
〜〜〜」
この瞬間のことは今もフラッシュバックする。
診察室の、見つめていた机の上の、
レースのカバーの柄まで思い出せるくらいだ。
私はこの少し前、母に
小学生の頃の父からの性的虐待を告白していたのだった。
その時の母は
「好きだからやっただけでしょ(性欲ではない)」
という、ある意味その行為があったことを認めた反応をした。
スキンシップだ、という解釈だった。
これは私にとって少し救いで
「父が行為をしたことを認めてくれた」
と思っていた。
(もちろんスキンシップだとは酷い逃げ方だとも思ったが。)
医師への手紙では「嘘つきの娘」として
綴られていて絶望したのだった。
医師は、親戚などを頼って
母と離れて暮らす術が見つけられるか私に聞いた。
あなたはお母さんとはうまくいかないから、と。
今思えば医師は理解者だった。