リスニング指導での倍速変更アプリについて

 リスニングのディクテーションでは、「NHK語学プレーヤー」を活用して授業を行なっている。このアプリには音声速度を変更でき、0.5倍速から3倍速までの調整ができる。最初は通常の速度である1倍速で音声を流すが、ディクテーションの後半では0.5倍速まで落として授業をすることが多い。
 教育的な効果としては、2つある。1つは聞き取れない理由を生徒が把握しやすく、今後の学習の指針を立てやすくなるということが挙げられる。速い音では聞き取れなかった音が遅い音で書き取ることができれば、その生徒の苦手は速度の問題ということになる。一方で、遅い音であっても聞き取れない場合、その生徒の学習方法の指針として英語特有の音のつながりや発音記号通りの発音練習の訓練が考えられる。
 2つ目の理由としては生徒の学習意欲の喚起である。段階を踏んで正答に迫るため、生徒は達成感を感じることができる。次のゆっくりの速度であれば、聞き取れるかもしれないような期待を持つことができ、結果的に生徒は集中して授業に取り組んでいる。
一概に「聞き取れない」には様々な理由がある。そもそも一定の速度で理解することができないのか理解できないのか、それとも一定の速度で理解することはできるが英語特有の音のつながりや個別の音が聞き取れないために英語を聞き取れないのかは学習者次第である。個別最適化の指導が現在叫ばれているが、この指導法で一斉授業の枠組みの中でできる限り個別化した指導ができると考える。
 今後の課題としては、このリスニング学習の個別化が挙げられる。生徒が各自端末を持つことになるので、各自で倍速変更機能を活用して自分の能力に相応しい負荷で学習を進めることが可能にある。

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