【驚愕】後継者が家業を継ぐ本当の理由【#2 中小企業白書データから読む】
家業を継ぐとなると地元に戻るなどして生活が変わるものです。
会社に迎え入れてくれる当代の家族の快い受け入れも大切ですが、後継者候補の配偶者や子どもなど生活をともにしている人の理解も必要不可欠です。それと同時に、その会社の従業員とも良好な関係を築けていれば、事業を継承するハードルも低くなるでしょう。
そして、実家の事業自体の将来性も気になるところです。
将来性があり、事業承継した後も継続的に安定するであろう事業であれば、安心して継ぐことができるのでモチベーションにも繋がります。
家業を継ぎたい人・継ぎたくない人、継ぎたい理由・継ぎたくない理由など、家業に対する思いは人によって様々です。
同じ「家業持ち」であっても、家業の状況や従業員・取引先との関係性も千差万別であり、それぞれに悩める部分があると思います。
この記事では中小企業白書を基に、後継者候補が家業を継ごう・継ぎたくないと思う理由をデータから読み取っていきたいと思います。
ここでは、中小企業庁が発表している中小企業白書で使われている定義に従って、家業を継ぐことに対して前向きな後継者候補を「積極的後継者候補」、前向きでない後継者候補を「消極的後継者候補」と標記します。
積極的後継者候補は事業の社会貢献性を意識
第2-2-57図は積極的後継者候補が事業を継ぎたい・継いでも良いと思う理由をグラフで表したものです。
引用:中小企業白書
多く回答が集まった順に、
事業がなくなると困る人(取引先・従業員等)がいるから
事業に将来性があるから
自分の家族が協力的だから
事業の関係者と一緒に働きたいから
やりたい仕事をできるから
社会の役に立てるから
となっています。
「事業がなくなると困る人(取引先・従業員等)がいるから」「社会の役に立てるから」という理由は、親などの身内がその事業を続けてきたことによって提示してきた社会的意義を後継者候補が感じ取っているからではないかと推測できます。
また、「やりたい仕事ができるから」も、事業を行っている身内の姿に幼少期から触れる機会があり、潜在的に憧れをいただいているのかもしれません。
消極的後継者候補は経営の大変さを懸念
積極的に事業を承継したい後継者候補がいる一方で、事業承継に前向きでない消極的後継者候補もいます。
消極的後継者候補が事業を承継したくない・事業承継をためらっている理由は何なのでしょうか?
第2-2-58図は消極的後継者候補が事業を継ぐことに前向きでない理由です。
引用:中小企業白書
こちらも回答が多かったものを見てみると、
自身の能力の不足
事業の将来性
現在の仕事への関心
プライベートとの両立
自分の家族(配偶者、子ども等)の都合
のような回答になります。
「自信の能力不足」や「プライベートとの両立」は、親をはじめとする身内が苦労して経営を行っている姿を幼いころから見ているからではないでしょうか。会社経営の大変さを間近で見てきた後継者候補ならではの感覚かもしれません。
また、事業を継承することで職が変わったり居住地が変わったりするなど大きな変化があることは確かです。
「現在の仕事への関心」を強く持っていたり、「配偶者や子供など家族の都合」で家業を継いで事業を存続させるのが難しいと感じている場合もあります。
いざ、自分が家業を継ぐとなるとその事業の将来性は気になるところです。業績が芳しくなく、事業を引き継いでも安定しないのであれば承継することをためらってしまいます。
事業の将来性の有無で分かれる消極的な理由
事業の将来性は消極的後継者候補とって関心の高い事項であると言えます。それでは事業の将来性への懸念の有無は、消極的後継者候補が事業承継に前向きでない理由に影響を与えているのでしょうか?
第2-2-59図は事業の将来性への懸念有無別で消極的後継者候補が事業を継ぐことに前向きでない理由をまとめたものです。
引用:中小企業白書
将来性への懸念の有無にかかわらず、回答者の半数以上が「自信の能力不足」を理由として挙げています。事業の将来性に懸念がある場合、「どのようにして事業を盛り上げていくか」に手腕が問われ、懸念がなくても「業績を維持し続けられるか」というプレッシャーがかかります。
経営を行う身内の大変さを目の当たりにしている後継者候補は、自分の能力に自信が持てなくなってしまいやすいかもしれません。
その他、事業の将来性の有無によって傾向が分かれた項目を見てみると、将来性に懸念がある場合
雇われる方がメリットが大きい
事業を継ぐために何をしたらいいのかわからない
事業の関係者(従業員・取引先等)との人間関係 etc
などの理由を回答しています。逆に将来性に懸念がない場合では
プライベートとの両立
を理由に挙げている人が多いです。
承継後の展望別に見る 継ぎたい理由
事業を承継した後、事業をどのように継続していくかは人によってそれぞれです。ここでは事業承継後の事業規模の意向を「新しい事業分野への進出・新商品やサービスの開発をしたい」又は「新しい顧客・取引先を開拓したい」者を「拡大型」、「現状を維持していきたい」者を「維持型」、「事業規模を縮小のうえ経営したい」者を「縮小型」と呼び、それぞれの継ぎたい・継いでもよい理由について見ていきたいと思います。
第2-2-60図に結果がまとまっています。
引用:中小企業白書
拡大型の後継者候補は
事業がなくなると困る人がいるから
事業に将来性があるから
事業の関係者(取引先・従業員等)と一緒に働きたいから
企業文化、技術、ノウハウを守りたいから
等、家業に社会的意義があると捉えており、愛着を持っていると感じられる回答をしています。
維持型の後継者候補は
自分の家族が協力的だから
プライベートとの両立ができるから
などの回答が多く集まっており、継いだ後、どのような生活を送ることができるのかが判断の重要なポイントになっているようにいます。
縮小型の後継者候補は
他の後継者候補が成長するまでの中継ぎが必要だから
という回答が多く集まり、事業を縮小させてでも存続させるために承継すると言う意向が見て取れます。
今回は中小企業白書のデータから後継者が家業を継ぎたい・継ぎたくない理由を見てみました。
次回は事業継承の決断を現経営者・後継者候補はどのように行っているかについて、データを見ていきたいと思います。
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